

株式会社アグレックスは、1965年の設立以来、デジタル技術や業務ノウハウを基盤として顧客のビジネスプロセス最適化を支援してきた企業です。業務設計から運用までを一貫して担い、効率化と品質向上の両立を目指したサービスを展開しています。
今回は、Salesforce上で稼働するSMSサービスの代替手段を検討する中で、日本初となる「Vonage Conversations for Salesforce」の構築を実現した背景や導入後の運用状況、そして今後見据える活用について、お話を伺いました。
当社は、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)、SS(ソフトウェアソリューション)、SI(システムインテグレーション)を軸とした総合情報サービス企業です。1965年の創業以来、企業の煩雑な業務を担うアウトソーシング事業を展開し、システム開発や運用へと領域を広げてきました。現在はTISインテックグループの一員として、業務とITのノウハウを融合させたソリューションを提供しています。
10年以上前からSalesforceの導入支援に取り組んでおり、現在までに3,500件以上の導入を手がけてきました。SFA(営業支援)、コンタクトセンターシステム、コミュニティサイトなど、Salesforceを活用しながら、お客様のニーズに合わせた支援を行っています。特に金融・製造・コールセンター領域で数多くの実績があり、提案から構築、運用までの一貫したサポートを強みとしています。
当社では、2年ほど前からSalesforceのインテグレーションや保守を含め、継続的に支援しているお客様がいらっしゃいます。そのお客様が利用していたSMS送信サービスが終了することになり、代替サービスの検討が急務となりました。
複数の候補を比較した中で、最終的に3つのサービスに絞りました。そこにVonage Conversations for Salesforceも含まれていたのです。Vonageのサービス名自体はそれよりも前から耳にしていたため、今回、検討対象となりました。
採用の決め手となったのは、Salesforceとの親和性とコストの合理性です。
Vonage Conversations for SalesforceはAppExchangeからパッケージとして提供されており、テンプレートの設定や送信処理をSalesforceの画面上で完結できます。さらに、Salesforceの標準機能であるフローと連携できる仕様になっているため、Salesforce導入ベンダーである当社にとって非常に扱いやすいと感じました。
従来のサービスや一般的なSMS送信は、月額料金が一定額かかることが多く、利用頻度が低い企業にとっては割高となる場面もあります。その点、Vonageは共用番号を送信元番号にできるため、電話番号取得にかかる初期費用や月額費用が発生しません。また送信料も比較的安価な従量課金制のため、使う頻度が少ないお客様にも優しい仕組みだと感じました。
そのほか、共用番号は国内直収による送信となるため、SMSの到達率が高い点も魅力です。
本番運用まで、約1ヶ月で進めることができました。
まずはSalesforceの開発環境にパッケージをインストールし、当社側で初期設定とテストを実施。その後、検証環境に移行し、お客様にご確認いただきながら受け入れテストを行いました。問題がないことを確認したのち、本番環境への準備を整え、無事にリリースに至っています。
前サービスの提供終了という明確なタイムリミットに間に合わせるという緊張感がありましたが、KDDIウェブコミュニケーションズの迅速なサポートのおかげで、安心して進められました。
特に印象的だったのが、Vonageの初期設定時にSalesforce側の設定の影響でエラーが発生し、一時的に作業が中断してしまった場面です。
Vonageから提供されていたマニュアルやサポート情報はすべて英語で記載されていたため、自社だけで読み解いて解決するのには戸惑いがありました。しかしそこで、KDDIウェブコミュニケーションズの担当者がアメリカにいるVonage側の技術担当と連絡を取り、リードしてくれたのです。率先して仲介役になってくれたおかげで、問題点を素早く解決できました。
また実装のタイムリミットまで1ヶ月を切ったフェーズでは、いよいよスピード感のある対応が必要になりました。それまでは基本的にはメールでやり取りしていましたが、状況に応じてこちらからの電話にも切り替えて対応していただくなど、柔軟にサポートしていただきました。
想定スケジュール内に本番運用をスタートできたのは、こうした顧客目線の細やかな対応があったからだと思っています。
当社が開発したシステムについては、お客様がエンドユーザーである消費者へさまざまな情報を通知する際の手段として利用されています。
Salesforceと連携したフローの中でSMSが自動送信される仕組みになっているため、お客様はシステム内で該当のチェックボックスを選択するだけで、個別に文章を入力する必要はありません。
従来のSMSサービスでも同様のタイミングで通知していたため、お客様からは「今までと変わらず操作できている」との声をいただいています。Vonageへの切り替えに伴う混乱もなく、これまでどおりの業務フローで利用できている点は、導入効果の1つです。システムを提供している当社としては、お客様にとって違和感が生じていないことが大きな成果だと言えます。
SMSをエンドユーザーの元に正しく到達できているか、その明確な数値は把握できていませんが、お客様から当社に問い合わせが発生したのは今のところ1度きりです。導入時のトラブルが少なかったことからも、安心して活用していただいている印象です。
お客様の業務が広がるとともに、今後はSMS以外の機能の活用も視野に入ってくると考えています。電話やSMS、Webなど、消費者との接点が多様化する時代においては、複数のチャネルを組み合わせて情報を届ける柔軟さが必要です。こうしたチャネル連携は、特にBtoCブランドの価値を支える手段として有効だと感じています。
今後はSalesforceを導入するコールセンターもさらに増えていくと考えられるほか、SMSが通話対応を補完する手段としてより注目されるのではないかとも予測しています。それだけSMSの安定的な送受信のニーズも高まるでしょう。そうしたニーズに応える形で、Vonageの機能を活用して多くのお客様にシステムを提案できればと考えています。
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