導入事例
株式会社サンリオ(以下、サンリオ)は、世界130以上の国・地域でキャラクタービジネスを展開するグローバルエンターテイメント企業として、サンリオグループ共通の会員サービス「Sanrio+(サンリオプラス)」を運営しています。
同社では、会員向けイベントやサービス提供時における公平な販売機会の提供を重視し、不正申し込みの防止に取り組んできました。その一環として、従来のパスワードに加え、電話番号による本人確認を取り入れた二要素認証システムとして、2025年3月にVonageをご導入いただきました。
その導入に至る経緯や実際の効果、お客さまの反応などについて、お話を伺いました。
サンリオは、ハローキティやマイメロディをはじめとする多彩なキャラクターを、世界130以上の国・地域に展開しているグローバルエンターテイメント企業です。キャラクターライセンス事業を中心に、物販事業、サンリオピューロランドやハーモニーランドといったテーマパーク事業、さらには新規事業まで幅広く手がけています。
Sanrio+(サンリオプラス)は、約292万人の会員を有するサンリオグループ共通の会員サービスで、2020年にアプリとしてリリースされました。サンリオオンラインショップ本店での購入やサンリオピューロランド来場予約時には必須のIDとなります。
人気イベントや限定商品の販売時には、ファンが熱心にアクセスしてくださいます。もちろんありがたい状況ですが、その一方で不正な申し込みが大きな課題となっており、その結果、当選確率が極端に高い人や、毎回のようにイベントに参加できる人が出てしまい、「公平ではない」という声がお客さまから寄せられるようになりました。
不正行為を行う人への批判だけでなく、具体的な対策を講じないままでは、当社の企業姿勢も問われかねない事態でした。当社や当社のキャラクターを愛してくださるお客さまが公平に参加できない状況は、ビジネス的な損失以上に、ロイヤルファンの信頼を失うリスクのほうが大きいと感じました。
そこで、本人確認を行うセキュリティ強化策として、電話番号による二要素認証を取り入れることに決めたのです。
電話番号認証はすでに世の中に浸透していて、多くの人にとってなじみのある方法だと考えました。Sanrio+(サンリオプラス)の会員は10代から70代まで幅広く、デジタルに不慣れな方も少なくありません。そうした背景を踏まえると、電話番号による認証が「使いやすさ」と「本人確認」のバランスを取る上で一番現実的だろうと判断しました。
システムとしてはSMSを基本にしつつ、もし届かない場合や固定電話利用者には自動的に音声通話へ切り替える仕組みを導入しています。一度認証を通過すると1年間は有効で、その間は認証済みのステータスとして扱えるので、イベント応募などもスムーズに進められるようになっています。



パートナー会社からの紹介がきっかけでしたが、導入を決めた大きな理由の一つは「固定電話にも対応できる」点でした。携帯電話を持たない会員も一定数いるため、すべての会員をカバーできることは欠かせない要件だったのです。
また、処理精度の高さも魅力でした。人気イベントの申し込み開始時には一斉にアクセスが一気に集中しますが、そこで少しでも遅延が発生するとクレームにつながりかねません。Vonageなら安定した処理が期待できると判断しました。
さらに、KDDIウェブコミュニケーションズの手厚いサポートも導入の後押しになりました。海外サービスではあるものの、日本の企業が窓口となってくれることで、やりとりに不安がなく、安心して進められたと感じています。
導入は「SANRIO FES 2025」に間に合わせたい一心で、急ピッチで進めました。年間を通じて、最も人気のある最大規模のイベントであり、不正申込みも多く発生していた場でもあったため、どうしても間に合わせたかったのです。
作業自体は驚くほどスムーズに進み、2025年2月に稟議を上げ、同年3月には導入完了できました。
システム導入にあたっては、ユーザーからの問い合わせが増えることもある程度覚悟していました。ところが、実際にはコンタクトセンターまで上がってくるような複雑な問い合わせは多くはありませんでした。これは、Vonageの認証システムが幅広い年齢層の会員にとって分かりやすく、ストレスなく利用できているからだと感じています。
具体的な数値化は難しいものの、効果は明確に表れていると言えます。イベントの現場スタッフ、物販担当者からも効果を認める報告が上がっています。二要素認証による本人確認のセキュリティ強化については、SNSでも前向きなコメントが見られ、当社の姿勢を評価してくださっていると感じています。
実質1〜2ヶ月という短期間で導入を実現できたのは、KDDIウェブコミュニケーションズのスムーズなサポートのおかげだと感謝しています。技術的な疑問が出てきた際にもすぐにご返答をいただけましたし、自社だけでは対応が難しい部分も丁寧にフォローしてもらえました。開発を担当した協力会社からも「安心して進められた」との声が上がっています。海外のサービスでありながら、日本企業であるKDDIウェブコミュニケーションズがしっかり支えてくれることは、大きな安心材料でした。
また、細かな要望としては、マーケティング担当者が自分でメッセージを作成・送信できるようなシンプルな管理画面があれば、さらに便利になると思っています。こうした要望を率直に伝えられるのも、顔の見える関係を築けているからこそだと感じています。
現在、Vonageを用いた二要素認証は一部でのみ導入していますが、対象サービスを増やして、たくさんの会員に公平な機会提供をしていきたいと考えています。
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