インサイドセールスとは、訪問せずに非対面で商談を創出する営業手法のことです。
電話・メール・オンライン会議ツールなどを活用し、リード(見込み顧客)との関係を継続的に育てながら、最適なタイミングで営業部門(フィールドセールス)へ引き渡します。
しかし、「インサイドセールスを導入したのに、期待した成果が出ない」と悩んでいる企業のご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、インサイドセールスのよくある課題と、その解決策をご紹介します。

インサイドセールスを導入しても効果が出ない場合、まずは自社が直面している課題に目を向ける必要があります。
インサイドセールスにおける代表的な課題は以下のとおりです。
一つずつ解説していきます。
部門間の連携が十分にできなければ、インサイドセールスの成功は困難です。
インサイドセールスでは、マーケティング部門から共有された見込み顧客にアプローチし、関心度が高まった段階でフィールドセールスへ引き渡します。そのため、マーケティング部門やフィールドセールス部門との情報共有や連携が欠かせません。
しかし、「リード情報の共有方法が部門ごとに異なる」「各業務の担当者が不明瞭」といった理由により、連携が機能しないケースも見られます。
その結果、業務全体の流れが悪くなることで対応の遅れや顧客への連絡の重複が生じ、顧客体験の低下や機会損失を招いてしまうのです。
リードの優先度を判断する仕組みがないと、確度の高い顧客を見極めることができず、成果が上がりにくくなります。
顧客の興味関心度や検討フェーズを定量的に把握できなければ、購買意欲の低いリードへのアプローチに時間を費やしたり、有望なリードを逃すリスクが高まったりして、非効率な営業活動になりがちです。
顧客対応の成果は、担当者のヒアリング力やコミュニケーションスキルなど、個々の能力に大きく左右されます。
「成功パターンが共有されていない」「マニュアルが整備されていない」といった状態では、経験や感覚に頼った営業活動になりやすく、対応品質にばらつきが生まれるでしょう。結果として、商談化率や顧客満足度が安定せず、チーム全体で同じ対応ができなくなる恐れがあります。
これを解決するには、ロールプレイ研修や通話内容の分析・ナレッジ共有を通じて、スキルを平準化し、再現性の高い営業体制を構築することが重要です。
インサイドセールスは、ストレスやプレッシャーを感じやすく、離職率が高い傾向にあります。そのため、経験者の採用も簡単ではありません。ストレスやプレッシャーの主な要因としては、架電・メール・データ管理など多様な業務を担うことや、常に顧客への気配りや迅速な対応が求められることなどが挙げられます。
人手不足の状態が続くと、特定の担当者に業務が集中し、負荷が増すことでさらなる離職を招きかねません。この課題の解決には、採用と同時に、教育体制の整備や育成プロセスの標準化を進めて、安定的な人材確保と定着を促す必要があります。
インサイドセールスは、フィールドセールスに比べて会社への貢献度を数値で評価しづらい傾向があります。
そのため、KPI(重要業績評価指標)が架電数やアポイント獲得数など、短期的で数値化しやすい指標に偏りがちです。しかし、インサイドセールスの目的はリードとの関係構築であり、架電数やアポイント獲得数はそのための手段でしかありません。
KPIの達成を意識するあまり、数をこなすことを優先してしまうと、顧客理解や関係構築が後回しになり、結果として商談化率や成約率が低下しかねません。
インサイドセールスは、目に見える成果が出るまで時間がかかるため、モチベーション維持の難しさが課題になることもあります。さらに、他部署から「成果がわかりにくい」と見られやすく、社内での評価や承認が得られにくいケースも多いです。
そうなると、担当者は「業務の価値を見出せない」「評価されていない」と感じ、やりがいを感じられなくなる恐れがあります。こうした状況を防ぐには、成果を分かりやすいように共有し、チーム全体で称賛・振り返りを行うことが大切です。
インサイドセールスの課題としてよく見られるのが、効率化のためのツールを導入しても、入力作業や運用ルールが現場に浸透していないケースです。この場合、活用データが蓄積されず、分析や改善が従業員ごとの感覚頼みになってしまい、形骸化してしまいます。
最終的には、ツールを使うことが目的になり、業務効率化のための投資が無駄になってしまう可能性があります。

ここまで、インサイドセールスにおけるよくある課題をご紹介しました。では、これらを解決するためには、どのような取り組みが効果的なのでしょうか。
インサイドセールスの課題を解決する方法は、主に以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
インサイドセールスの成果を安定させるには、業務の流れを整理し、誰がどこまで担当するのかを明確にすることが大切です。架電やリード管理・商談引き渡しなどのプロセスを洗い出し、重複や抜け漏れが起きないように整備しましょう。
特に、「マーケティングで獲得したリードをどの段階でインサイドセールスに渡すか」というように、判断基準を共有しておくと、認識のズレを防げます。このように役割分担を明確化しておくことで、チーム全体で成果を出しやすくなるでしょう。
インサイドセールスでは、マーケティング部門やフィールドセールスとの連携が重要です。
チャットツールやCRM、SFAなどを活用して、顧客情報・対応履歴・商談状況をスピーディに共有できるようにしましょう。
また、管理・運用にあたっては、「誰が・いつ・どんな情報を更新するか」を明確化することで、情報の重複や漏れを防げます。
そこで、部門やチーム間の連携に役立つツールを3つ下表にまとめました。
| ツール分類 | 主な機能 |
| MA |
|
| SFA |
|
| CRM |
|
これらのツールを活用することで商談引き継ぎや対応履歴の共有がスムーズになります。また、CTIシステムも、これらのツールと連携できるとより一層効果的です。
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マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスが別々の指標を追っていると、方向性が食い違います。そのため、全体で共通のゴールを設定し、同じ目標に向かう体制をつくることが大切です。最終目標の達成に向けて、各部門は自部門で担う役割・業務範囲をもとに、そこから逆算してKPI(重要業績評価指標)を設計しましょう。
たとえば、インサイドセールスなら「架電数」「アポイント数」だけではなく、「有効商談率」や「有望リード数」など、最終成果につながる指標を多角的な視点から設定します。その結果各部門が目的に沿った数値を追えるようになり、短期的な成果に偏らない評価・改善が可能になります。
商談化率が伸びない要因の一つが、「どんなリードを有望とみなすか」の基準が曖昧なケースがあります。この課題を解決するには、CRMやSFAに蓄積された通話ログ・行動履歴・購買履歴などのデータを活用しましょう。そのうえで、実際に成約につながった顧客の傾向を分析することが効果的です。
これにより、温度感の高いリードに優先的にアプローチでき、商談化率の向上が期待できます。
インサイドセールスでは、担当者の経験や勘に頼った対応になりやすく、成果にばらつきが出やすい傾向があります。そのため、チームとして成果を上げるためには、スキルを問わず、誰でも同じ成果を出せるように育てる仕組みをつくることが大切です。
たとえば、成果を出している担当者のトーク例やメール文面を共有したり、ロールプレイ研修を実施したり、OJTを行ったりして、実際の会話力や提案力を磨きます。さらに、AIを活用して担当者ごとの応対のくせを分析し、改善に役立てることも効果的です。このように教育体制を整えることで、担当者が変わってもチーム全体の対応品質を維持でき、安定した成果につながります。
インサイドセールスの課題解決は、KPIを設定・実行して終わりではありません。定期的なレビューを通じてプロセスを改善していくことが重要です。
架電ログや商談データをもとに、成功パターンと失敗パターンをチーム全体で共有し、さらに改善を積み重ねていきましょう。こうした振り返り文化が根づくことで、課題の解決、ひいては成果につながるインサイドセールスチームの実現につながります。
インサイドセールスの課題は、個人のスキル不足やモチベーションだけにとどまりません。「部門間の連携不足」「KPI設計の曖昧さ」「リード育成の仕組み欠如」といった構造的な要因が根本にあります。
これらを解消するには、各部署の役割範囲を明確化し、共通目標のもとでチームをつなぐ仕組みづくりが不可欠です。さらに、顧客データを活用したリードスコアリングやナーチャリング体制の構築を進めることで、「量」ではなく「質」で成果を上げる組織へと変化できるでしょう。
インサイドセールスの課題解決には、外部ツールの活用も効果的です。「MiiTel」のようなクラウドコールシステムを導入することで、通話内容の可視化や担当者のスキル向上、部門間の情報共有がスムーズになります。
MiiTelのフル機能プランでは、AIによる音声解析や自動文字起こし機能に加え、「トーク分析」や「抜粋共有」などの高度な機能も搭載。話速・沈黙・被りなどの可視化により会話の改善ポイントを明確化できるほか、重要なトークを抜粋してチーム内で簡単に共有できるため、教育や振り返りの効率が大きく向上します。インサイドセールスを始め、営業活動や顧客対応の品質向上を目指したい企業様は、ぜひMiiTelの活用を検討してみてください。