コールセンターの人手不足を解決する7つの方法|原因や影響についても解説
更新日:
公開日:
KDDIウェブコミュニケーションズ
コールセンター業界では、慢性的な人手不足が深刻な課題です。その背景には、少子化の進行による労働人口の減少が挙げられます。
本記事では、コールセンターが人手不足になる原因を解説したうえで、具体的な解決策も紹介していきます。人手不足に悩んでいるコールセンター運営管理者の方は、ぜひ自社の改善に役立ててください。
コールセンターが人手不足に陥る原因

コールセンターが人手不足に陥る背景としては、主に以下の2点が挙げられます。
- 離職率が高い
- 人材が集まりにくい
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
離職率が高い
コールセンター業界は、他業種と比べて離職率が高い傾向にあります。
株式会社リックテレコムが実施した「コールセンター実態調査2022」によると、コールセンターの運営課題として「オペレーターの定着率向上」を挙げた企業は41.4%を占めました。こうした数値からも、人材の定着が難しい業界であることが分かります。
以下では、この高い離職率の原因となる主な要素について詳しく見ていきましょう。
業務内容の心理的ストレスが大きい
コールセンターの業務は、単なる問い合わせではなく、クレーム対応や謝罪対応といった「感情労働」を伴います。顧客の怒りや不満を直接受け止める場面が頻発するため、心理的ストレスは小さくありません。
また、応対品質を維持するためにスクリプトや評価指標が厳格に定められているケースも多く、オペレーターは常に緊張感のある状態で業務にあたらなければなりません。加えて近年では、暴言や威圧的な言動といったカスタマーハラスメントも深刻化しています。
こうした負担が蓄積すると、心身の不調やモチベーション低下を招き、離職につながります。
幅広い業務への対応が求められる
コールセンター業務では、商品やサービスに関する幅広い知識が求められます。
特に近年は、サービスの多様化によって覚えるべき情報や対応手順が増加し、業務内容が複雑になっているケースも少なくありません。通常の問い合わせ対応に加え、専門的な質問や個別事情に応じた柔軟な判断が求められる場面も増えてきました。
さらに、人手不足が続く現場では1人あたりの対応件数が増加し、業務量と難易度の両面で負担が大きくなっています。こうした状況が続くことで、オペレーター1人あたりの負担がキャパシティを超えやすくなり、離職リスクを高める要因となっています。
心身的負担を感じやすい労働環境
コールセンターは、電話のコール音や周囲の会話が常に聞こえる環境で業務を行うため、集中しづらく、知らず知らずのうちにストレスを感じやすい職場になりがちです。加えて、長時間同じ姿勢で話し続ける業務特性から、腰や首、喉への負担が蓄積しやすく、心身の疲労が離職の一因となるケースも見られます。
近年は在宅オペレーションを導入する企業も増えていますが、セキュリティ対策や応対品質の管理、労務管理の難しさから導入に踏み切れない企業も少なくありません。中には、経験の浅いオペレーターから、「万が一のトラブル発生時に、目の前にSVがいる出社環境で対応したい」という声が上がり、在宅オペレーションへ切り替えられないといったケースもあります。
このように、柔軟な働き方を選択しづらい状況や、心身に負担がかかる状況が続くことで、人材の定着が難しくなってしまうのです。
人材が集まりにくい
求職者から選ばれにくく、人材を確保しにくい点も、コールセンターの課題です。
日本コンタクトセンター協会による「『2024年度 コールセンター企業 実態調査』 報告」では、正社員比率が5割未満の企業が多数を占め、非正規雇用の割合は69.5%と過半数を占めていることが分かりました。
このように非正規比率が高い職場は、給与水準や昇給制度、キャリアパスが不透明になりやすく、安定した働き方を求める求職者から敬遠されがちです。
また、コールセンター業務はマニュアル中心であることから、「他職種に活かせる専門スキルが身に付きにくい」と思われることも少なくありません。こうしたネガティブなイメージも、応募不足の要因となっています。
コールセンターの人手不足によって生じる課題

コールセンターの人手不足は、さまざまな面で深刻な影響を及ぼします。代表的なものとしては以下が挙げられます。
- 業務効率の低下
- オペレーターの負担増
- 顧客満足度の低下
- 人材育成の不足
- コストの増加
各課題について、詳しく見ていきましょう。
業務効率の低下
コールセンターでは人手不足が進むと、日々の応対に追われて十分な準備や振り返りができなくなり、業務効率が低下しやすくなります。
特に、複雑な問い合わせが増えるなかで経験不足の人材が現場に投入されると、1件あたりの処理に時間がかかり、コールセンター全体の回転率も落ちてしまいます。
こうした状況が続くと、組織全体としての応対品質や改善活動の停滞、1日に対応できる問い合わせ数が減少し、生産性の底上げがより困難になるという悪循環を招くでしょう。
オペレーターの負担増
人手不足により、オペレーター1人あたりの対応件数や業務範囲が増えると、日常的に高い処理能力を求められるようになります。
長時間の連続した応対や、複雑な顧客対応を強いられる状況が続けば、慢性的に負担が蓄積し、オペレーターの心身は疲弊していくでしょう。その結果、業務効率の低下や、ミスの発生、離職意向の高まりを招きます。
顧客満足度の低下
人手不足によって1人当たりの業務負荷が増すと、迅速かつ丁寧な対応が難しくなります。その影響で応対品質が低下し、顧客満足度の低下を招く恐れがあります。
特に、長く待たされたり、経験不足のオペレーターによる対応が増えたりすると、問題解決までに時間がかかりやすく、顧客の不満やストレスが高まりがちです。
応対品質のばらつきは顧客体験を不安定にし、顧客離れやブランド価値の低下といった中長期的なリスクにもつながります。
人材育成の不足
人手不足が続くと、教育や研修に十分な時間と人員を確保できず、人材育成が困難になりがちです。
コールセンターのオペレーターには、商品・サービスに関する知識だけでなく、柔軟な判断力やコミュニケーションスキルが求められます。そのため、事前研修やOJTを通じた、段階的なスキルの習得が不可欠です。
しかし、人手不足の現場では即戦力化が優先され、十分な教育を行わないまま現場に配置されるケースも少なくありません。その結果、応対品質が安定せず、対応ミスやクレームを招きやすくなります。
このような状況が続くと、現場の負担がさらに増大し、顧客満足度の低下や企業全体の信頼低下につながる恐れがあります。
コストの増加
人手不足が続くと、採用活動を強化せざるを得なくなり、求人広告費や選考工数といった採用コストが増加します。
さらに、経験不足のスタッフが多い環境では、初期研修やフォローアップ教育に多くの工数とリソースを割く必要があるため、教育コストの増大も避けられません。
こうしたなかで早期離職が発生すると、投下した費用が回収できない非効率な状態が生まれ、経営を圧迫する要因になります。
コールセンターの人手不足を解決する7つの方法

ここでは、コールセンターの人手不足を解決する7つの方法をご紹介します。
- システムやツールを導入する
- 安心して働ける労働環境を整える
- マルチチャネル化により電話の応対比率を下げる
- FAQの整備・チャットボットの導入を行う
- 待遇・評価制度を見直す
- 研修・教育体制を充実させる
- 相談しやすい環境を作る
自社の状況に合わせ、複数の方法を組み合わせて実施することがポイントです。
システムやツールを導入する
入電量の増加や業務の複雑化に対応するには、音声認識・自動記録・応対支援機能を備えたシステムやAIツールの導入が有効です。これらを活用することで、オペレーターの負担を抑えながら、業務効率を大幅に向上できます。
特に、クラウド型のコールセンターシステムやAI分析ツールを導入すれば、通話内容の自動テキスト化やトラブル要因の可視化が容易になります。オペレーターのスキル差も把握しやすくなり、教育工数の削減や応対品質の向上に寄与するでしょう。
さらに、フィードバック機能が一体化したツールを活用すれば、オペレーターの自己学習が促進されます。管理者の負担軽減や応対品質の標準化にもつながり、人手不足の現場でも生産性を維持できる環境を整えられます。
安心して働ける労働環境を整える
コールセンターの人手不足を解消するには、オペレーターが安心して働ける環境を整備し、心身の負担を軽減する取り組みが不可欠です。
在宅勤務や短時間勤務など、柔軟な働き方を導入することでワークライフバランスを保ちやすくなります。あわせて、休憩環境の改善やシフト調整の最適化を行えば、業務中のストレスを抑えられ、定着率の向上も期待できるでしょう。
さらに、定期的なストレスチェックや心身をサポートする制度を取り入れるといった、福利厚生の整備も大切です。この取り組みによってオペレーターのモチベーションが高まり、安定した就業につながります。
マルチチャネル化により電話の応対比率を下げる
チャットやメール、FAQ、LINEなど、複数のチャネルを活用する「マルチチャネル化」を実施すれば、オペレーターの負担軽減が可能です。
人手不足が続くコールセンターでは、問い合わせの電話が集中するとオペレーターの負担が増大しがちです。マルチチャネル化により問い合わせの受け皿を分散すれば、顧客が電話以外の手段で自己解決できる場面が増え、入電数の抑制につながります。別のチャネルに対応するツールや工数は必要となるものの、電話応対にかかる工数の中長期的な削減につながるでしょう。
また、文字ベースの対応は履歴の共有や属人化の防止にも役立ち、対応品質の安定に役立ちます。結果として、顧客満足度の向上と人手不足の抑制を両立しやすくなります。
FAQの整備・チャットボットの導入を行う
問い合わせの多くを占める定型的な質問に対しては、FAQの整備やナレッジの体系化を進めましょう。顧客が自己解決しやすい環境を整えれば、オペレーターが対応すべき案件の削減が可能です。
さらに、チャットボットやAI自動応答サービスを導入すると、営業時間外や入電集中時でも一定レベルの対応を自動で実施できます。人的リソースの不足を補いながら対応スピードの向上と業務効率化を同時に図れるでしょう。
待遇・評価制度を見直す
人手不足の改善には、オペレーターが「長期的に働き続けたい」と感じられる待遇や評価制度を整えることが欠かせません。給与水準や手当を見直し、努力と成果が適切に報われる仕組みを構築しましょう。
評価制度には、応対件数などの定量評価だけでなく、応対品質や顧客満足度、改善提案なども加味し、多面的な評価基準を設けましょう。日々の業務が正当に評価される環境は、モチベーションの向上と定着率改善にも直結します。
また、キャリアパスの明確化やスキルアップ支援制度を整備すれば、将来の成長イメージも描きやすくなります。優秀な人材の確保と育成が進むことで、組織全体のパフォーマンス向上に寄与するでしょう。
研修・教育体制を充実させる
基礎的な応対スキルから商品知識、クレーム対応まで、体系的に学べる研修や教育体制の整備が必要です。質の高い教育は、応対品質の維持と人材の早期戦力化を後押しします。
研修後のフォロー体制やロールプレイ、通話の振り返りなど、継続的な学習機会を設けることも大切です。学んだ内容が現場で定着しやすくなり、ミスの削減や顧客満足度の向上として結果に現れるでしょう。
外部研修や応対品質評価のアウトソーシング、音声解析ツールなどを活用すれば、管理者の負担を抑えながら、高度な教育の提供が可能です。
相談しやすい環境を作る
コールセンターでは業務負荷や心理的ストレスが蓄積しやすいため、オペレーターが悩みや不安を気軽に相談できる環境づくりが重要です。こうした心理的なケアは、定着率向上と離職防止に直結します。
定期的な1on1面談やチーム内のコミュニケーションを促す施策を取り入れることで、現場の声を拾い上げましょう。業務上の課題を早期に把握し、心身の不調やその兆候にいち早く気づけば、適切なフォローを行えます。
こうした取り組みを継続することで、職場全体の雰囲気が改善され、互いに助け合える文化が醸成されやすくなります。業務の属人化防止や品質維持にもよい影響を与え、人手不足下でも安定した運営を行えるでしょう。
コールセンターの人手不足に関するよくある質問
ここからは、コールセンターの人手不足に関するよくある質問を、回答とあわせて紹介していきます。
コールセンターの人手不足を招く原因は?
コールセンターの人手不足は、少子高齢化による労働人口の減少に加え、業務負荷の大きさや離職率の高さが重なって発生しています。問い合わせ対応やクレーム対応など心的ストレスが大きい業務特性に加え、人手不足による業務量増加がさらに負担を高め、慢性的な人材不足につながっているのです。
コールセンターの離職率が高い理由は?
離職率が高い理由としては、感情労働による心理的負担の大きさや、厳格な評価指標によるプレッシャーが挙げられます。近年はカスタマーハラスメントの深刻化も問題となっており、心身の不調やモチベーション低下につながるケースが少なくありません。結果として、離職を選ぶオペレーターが増えている傾向にあります。
コールセンターの採用が難しい理由は?
コールセンターは非正規雇用の割合が高く、給与水準やキャリアパスが不透明なことから、求職者に選ばれにくい構造となっています。また、マニュアル中心の業務で専門スキルが身につきにくいと感じられやすく、他職種と比較して職種としての魅力が伝わりにくいことも採用難の要因です。
コールセンターの人材不足を解決する方法は?
人材不足の解消には、システムやAIツールの導入による業務効率化、FAQ整備やチャットボット活用による入電削減が有効です。あわせて、働きやすい労働環境の整備や研修体制の強化、評価制度の見直しなどを組み合わせて進めることで、定着率向上と安定運営が期待できます。
まとめ
コールセンターの人手不足は、離職率の高さや業務ストレス、業務量の増加、顧客対応の複雑化といった、複数の要因が重なって発生しています。
これらの状況を改善するためには、システム導入やチャットボット活用による業務効率化、問い合わせ対応の自動化など、現場の負荷を減らす取り組みが有効です。
また、職場環境の整備、研修体制の強化など、多面的な施策を組み合わせて実行することが不可欠となります。これらの施策を着実に実行していけば、人手不足を解消し、持続可能なコールセンター運営を実現できるでしょう。
※本記事に記載されている製品名・サービス名は、各社の商標または登録商標です
執筆・監修者
- カテゴリ:
- コールセンター