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【図解付き】コールフローとは?活用するメリットや効果的な設計方法を解説

公開日:2025.10.08

更新日:2025.10.08

KDDIウェブコミュニケーションズ

【図解付き】コールフローとは?活用するメリットや効果的な設計方法を解説

コンタクトセンターやコールセンターにおいて、顧客満足度向上と業務効率化を実現するうえで欠かせないのがコールフローです。適切に設計されたコールフローによって、顧客を適切な窓口につなげれば、オペレーターは専門性を活かした対応に集中できます。

本記事では、コールフロー作成の基本から具体的な設計手順、効果的な運用のポイントまでを詳しく解説します。コールフローを作成し、自社の業務改善に役立てたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

コールフローとは

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コールフローとは、顧客からの電話内容に応じて、適切な窓口や担当者につなぐまでの流れを図で可視化したものです。問い合わせ内容や顧客の属性、オペレーターの稼働状況に応じて接続先を整理することで、顧客を適切な窓口に導き、スムーズな対応を実現します。コールセンターの円滑な運営や顧客満足度の向上のために、コールフローの活用は不可欠です。

コールフロー設計に用いられるシステム

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効果的なコールフローの設計には、IVRやACDといった専用システムの活用が欠かせません。これらのシステムを組み合わせることで、より高度で柔軟な顧客対応が可能となります。

ここでは、IVRとACDについて、それぞれ解説します。

IVR (自動音声応答機能)

IVRは、顧客からの電話に対して自動音声で一次対応を行うシステムです。プッシュ操作などで問い合わせ内容を分類し、コールフローの入口として、最適な窓口や担当者に振り分ける役目を担います。

このシステムがあれば、顧客を最初から適切な窓口につなげられます。たらい回しにしてストレスを与えることもありません。

一方、オペレーターは、通話前に顧客情報や用件を把握できるため、準備が整った状態での対応が可能です。対応精度やスピードの向上にもつながるでしょう。

ACD (着信呼自動分配装置)

ACDは、IVRで分類された電話を、あらかじめ設定されたルールに基づいて最適なオペレーターにつなぐシステムです。たとえば、「専門知識を持つ担当者に優先的につなぐ」「応答件数の少ないオペレーターに均等に割り振る」といったルーティングが可能です。

これにより、オペレーターの負担の偏りを防ぎ、顧客に最適な担当者に早くつながるコールフロー設計が可能になります。

コールフローを活用するメリット

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コールフローの導入によるメリットは、大きく分けて以下の2つに分けられます。

  • 顧客満足度の底上げにつながる
  • オペレーターの負担軽減・運営の効率化が可能となる

それぞれ見ていきましょう。

顧客満足度の底上げにつながる

コールフローは、単なる自動振り分けではなく、問い合わせ内容に応じて最適な担当者へつなぐ仕組みです。

この仕組みがあることで、顧客は最初から自分の要件に合った窓口へつながります。これにより、意図しない部署に回されることを防ぎ、時間ロスやストレスの大幅な削減が可能です。

また、問い合わせ内容に詳しい知識を持つオペレーターにつなげられるため、疑問に対して的確な解決策を提示できるようになり、顧客満足度の向上にもつながります。

オペレーターの負担軽減・運営の効率化が可能となる

コールフローを導入すると、オペレーターは自分のスキルや知識に合った問い合わせに集中できるため、対応外の案件に追われる負担が減ります。担当分野に専念することで、スキルアップにもつながるでしょう。

また、IVRで顧客の要件や情報が事前に整理されるため、準備を整えたうえでの応対ができ、対応精度やスピードも向上します。これにより、応対時間の短縮やシフト配置の効率化、人件費削減などリソースの最適化を実現し、コールセンター全体の生産性向上が可能です。

コールフローを作成する流れ

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効果的なコールフロー作成には体系的なアプローチが重要です。以下のように、段階的に進めることで、実用性の高いフローを構築できます。

  • ステップ1.対応内容を洗い出す
  • ステップ2.業務を時系列順に整理する
  • ステップ3.対応する窓口を検討する
  • ステップ4.フローチャートに落とし込む
  • ステップ5.運用後も改善を重ねる

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

ステップ1.対応内容を洗い出す

コールフローの作成は、顧客からの問い合わせ内容を把握することから始めます。商品の注文受付が中心なのか、技術的なサポートが多いのか、クレームや相談まで幅広く受けているのかによって、最適な流れは異なります。

入電の種類ごとに、どのような対応をしているのか、注文処理・情報入力・記録管理など具体的にどのような処理が発生しているのかを具体的に書き出しましょう。過去の応対データやFAQを参考にすれば、頻出する問い合わせやトラブルも見逃さずに整理できます

さらに、通話中の音声をテキスト化し、データベースとして管理するシステムも有効です。導入すれば、情報の整理およびデータ分析も容易になります。

ステップ2.業務を時系列順に整理する

洗い出した対応内容を時系列の流れに沿って整理していきましょう。たとえば、注文受付なら「受電 → 顧客情報の確認 → 商品確認 → 注文処理 → 記録入力」といった順に並べます。

受電から終了までの流れを描くことで、どのタイミングで分岐するかが見えやすくなり、抜け漏れの特定もしやすいです。必要に応じてエスカレーションや代替ルートも加えていくと、より実用的なフローが完成します。

ステップ3.対応する窓口を検討する

対応内容を整理したら、その内容ごとに適切な窓口を検討します。窓口業務で最も大切なのは、顧客の課題を迅速に解決することです。そのため、洗い出した問い合わせに対し、必要なスキルや知識を持つ担当者の割り当てが不可欠です。

なお、既存の窓口で十分対応できる場合もあれば、内容によっては新しい窓口を設置する必要も出てきます。顧客を待たせないよう、窓口を過不足なく整備することが望ましいです。

ステップ4.フローチャートに落とし込む

ここまで整理した内容をもとに、コールフロー図に落とし込みましょう。設置した窓口までの分岐や音声ガイダンスの内容を決め、フローチャートや表の形でまとめます。基本は上から下へ、時系列に沿って並べると分かりやすいです。

また、対応と作業では枠の形を変えたり、内容ごとに色分けしたりといった工夫を加えると、全体の流れがより視覚的に理解しやすくなります。さらに、営業時間外の入電をどう扱うか、転送先および転送方法をどう設定するかなどの運用ルールも図に盛り込んでおくと安心です。

ただし、プッシュ操作の選択肢や、やり取りの回数が多すぎると、顧客は負担を感じ、迷いや離脱の原因となりかねません。顧客がストレスなく利用できるよう、選択肢の数やフローの複雑さのバランスを適切に保つことが重要です。

ステップ5.運用後も改善を重ねる

コールフローは作成して終わりではありません。実際に運用しながら改善していくことが重要です。

運用を続ける中で、「抜け漏れが発覚した」「オペレーターにつながる前に電話が切られてしまう放棄呼が多い」「特定の窓口に問い合わせが集中する」など、さまざまな課題が見えてくるはずです。

収集したデータや現場からのフィードバックを定期的に確認し、必要に応じてフローを見直しましょう。改善の繰り返しによって、顧客はより快適にサービスを利用でき、オペレーターにとっても効率的に業務を進められる、実用的なコールフローになっていきます。

コールフローの具体例

ここでは、入電が営業時間内かどうか、さらに問い合わせ内容によってどの窓口につなぐかを分岐させたコールフロー図の例をご紹介します。

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効果的なコールフローを設計するためのポイント

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コールフロー設計で大切なのは、顧客視点での使いやすさと運営効率の両立です。以下のポイントを押さえることで、実用性の高いフロー設計を実現できます。

  • 音声ガイダンスは短くわかりやすくまとめる
  • 選択肢に「その他の問い合わせ」項目を設ける
  • ほかのチャネルとの連携を視野に入れて設計する

各ポイントについて、詳しく見ていきましょう。

音声ガイダンスは短くわかりやすくまとめる

IVRの自動音声ガイダンスは、できるだけ短く、要点を絞ってまとめましょう。

案内が長すぎると、顧客は先に進むまでに時間を取られ、ストレスや不満の原因となりかねません。また、わかりにくい表現は誤解を招きやすく、誤った窓口への誘導やたらい回しにつながる恐れがあります。顧客は、自身が抱える課題を一刻も早く解決したいと考えているため、宣伝や不要な挨拶を入れるのは逆効果になります。

コールフローは、顧客にスムーズに選択肢を提示し、適切な担当者へ素早くつなぐための仕組みです。そのため、短く、わかりやすく、誤解のない内容に設計することが求められます

選択肢に「その他の問い合わせ」項目を設ける

コールフローを設計する際には、「その他の問い合わせ」という選択肢を設けましょう。

顧客の悩みは多岐にわたるため、すべての内容を想定して選択肢に落とし込むのは現実的ではありません。「自分の用件がどの選択肢に当てはまるのか分からない」という顧客の救済措置として、「その他」を準備しておくと安心です。

よくある問い合わせには専用の選択肢を設け、それ以外を「その他」にまとめるとよいでしょう。これにより、必要以上に項目を増やさずに済むため、シンプルで利用しやすいフローが実現します。結果として、顧客にとっても迷いにくく、コールセンターにとっても柔軟な対応が可能です。

近年では、顧客が番号をプッシュする代わりに、顧客が口にした要件をAIが認識し、自動的に適切な窓口へ振り分けるシステムも登場しています。顧客は自身の悩みに適した選択肢を選ぶ手間がなくなり、オペレーターも効率的に対応できる利点があります。

ほかのチャネルとの連携を視野に入れて設計する

コールフロー設計の際には、電話だけでなく、SMS・チャット・メール・SNSなど、ほかのチャネルも取り入れましょう。これにより、顧客は使いやすい手段を選べるため、顧客満足度の向上が期待できます。

例えば、通話が混んでいるときにSMSで待ち時間を通知したり、電話のトラブル時に窓口をチャットに切り替えたりすることで、ストレスを減らせます。オペレーターにとっても時間の有効活用や早期解決が可能となり、組織全体の生産性向上にも貢献するでしょう。

まとめ

コールフローは、顧客満足度向上と業務効率化を同時に実現するための重要なツールです。IVRやACDシステムを活用した適切な設計により、顧客を最適な窓口へスムーズに案内し、オペレーターの専門性を最大限に活かせます。

コールフローを作成するためには、対応内容の洗い出し、時系列での整理、窓口の検討、フローチャートへの落とし込み、継続的な改善という5つのステップを踏むことが重要です。さらに、簡潔な音声ガイダンスや柔軟な選択肢の用意など、ユーザビリティを意識した設計も欠かせません。
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執筆者情報

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KDDIウェブコミュニケーションズ
2013年に、日本ではまだ黎明期であったCPaaSの取り扱いを開始。CPaaSやCCaaSなどコミュニケーションのDXの専門家として、「コミュニケーションの多様性」を活用するための記事をお届けします。


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