
コールセンターが抱える課題の1つとしてよく挙げられるのが、オペレーターの人件費をはじめとする「運営にかかるコスト」の大きさです。コールセンターは顧客と企業をつなぐ重要な窓口ですが、直接的に利益を生み出せる部門ではないため、コストが増大すると企業の財務状況を圧迫しかねません。そのため多くの企業では、コールセンターのコスト削減を重要な課題としています。
本記事では、コールセンターにおける運営コストを削減する方法について解説します。
コールセンターの運営には、以下のようなさまざまなコストが発生します。それぞれのコストについて詳しく見ていきましょう。
オペレーターの給与や手当といった人件費は、コールセンターを運営するうえで避けては通れない、代表的なコストの1つです。このコストは以下の要素によって変動します。
またコールセンターでは、電話対応を行うオペレーターだけでなく、SV(スーパーバイザー)や品質管理担当者、管理者など、さまざまな役職のスタッフが働いています。それぞれのポジションがどのくらい在籍しているかによっても人件費は異なるため、注意が必要です。
コールセンターの運営には、オペレーターのスキル向上や人材育成のための教育費も欠かせません。これには定期的な研修や新人研修に加え、トレーニング計画の設計にかかる費用も含まれます。
人材教育によってオペレーターのパフォーマンスや対応品質が向上すれば、長期的なコールセンター運営の効率化や顧客満足度の向上にもつながります。逆に充分な教育が実施されないと、スキルを持つ人材が育たず、運営に悪影響を及ぼしかねません。
オペレーターの育成にかかる費用も、むやみに削減できないコストであると言えます。
コールセンターのコストの中には、設備やシステムの導入・運用にかかる費用も含まれます。具体的には、以下のようなものが該当します。
また、顧客情報のセキュリティを確保するための対策費用も重要なコストです。入退室管理システムや監視カメラ、ネットワークシステムなど、セキュリティ要件に応じた設備が必要となるため、これらも全体のコストに大きく影響します。
コールセンターのコストを削減する方法にはどのようなものがあるのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
オペレーターの負担が軽減できる補助ツールを導入すれば、対応効率も上がります。以下で具体的なツールを見ていきましょう。
コールセンターシステムとは、顧客から寄せられる問い合わせの対応や顧客管理、架電といったオペレーターの業務を支援するためのシステムです。コンピューターと電話を連携させるシステムである「CTI」、顧客情報を一元管理できるシステムである「CRM」、顧客から寄せられることが多い質問とその回答をまとめた「FAQ」を組み合わせて使用します。
たとえば着信履歴のシステム保存や通話情報の自動取得、CRMとの連携によるスクリーンポップアップ、クリックトゥコールなどが挙げられます。これにより「顧客から電話がかかってきた瞬間に、顧客情報や過去の対応履歴を自動でパソコン上に表示する」といったことが可能です。通話が始まる前から顧客の課題を把握できるほか、通話中にもリアルタイムでさまざまな情報を参照できるため、オペレーターがより的確な対応をできるようになります。結果として無駄なやり取りを省き、1件あたりの対応時間を短縮することにつながります。
また近年ではAIを活用して、通話内容の自動要約や文字起こし、感情分析なども行えるようになっています。通話後の事務作業を自動化できるほか、最適な顧客対応を実施するためのトークスクリプト作成にも役立てられるため、オペレーターの負担軽減や教育コストの削減にもつながります。
さらに昨今、クラウド型のコールセンターシステムも数多く登場しています。クラウド型であれば、インターネット環境がある場所ならどこからでもコールセンター業務が可能です。リモートワークへの対応を後押しできるため、交通費などの人件費を削減するのにも役立つでしょう。
チャットボットは、顧客からの問い合わせにチャット形式で自動的に回答するテキスト媒体のツールです。顧客が選択式に問い合わせ内容を入力していくことで簡単に回答を得られるため、顧客を自己解決に導けます。近年ではAIを搭載したものも多く登場しており、文章入力による自由な形式の質問にも対応できるため、より自然な会話が可能です。
24時間365日いつでも受付可能で、大量の問い合わせにも迅速に無人対応を行えます。これにより顧客側は電話をかける手間を省けるほか、待ち時間を取られることもなく自身の課題を解決できます。オペレーターとしても、チャットボットがあることで有人対応が必要な問い合わせにのみ集中できるようになるため、業務効率化とコスト削減にもつながります。
ボイスボットとは、音声認識AIがオペレーターの電話業務を代行するシステムのことを指します。顧客の音声を自動認識し、その音声にもとづいて、オペレーターの代わりに無人で電話対応を行います。自動音声応答システムの一種ですが、顧客からのプッシュ操作を必要とするIVRとは異なり、AIが顧客の会話をリアルタイムで解析するのが大きな特徴です。
解析された内容に適したシナリオを事前に設定されたものの中から見つけて、そのシナリオに沿って会話形式で手続きを進めます。
先に挙げたチャットボットのように24時間対応が可能で、リアルタイムでのコミュニケーションが行えることから、顧客満足度の向上にも寄与します。また多言語対応やデータ分析によるサービス改善が容易なほか、複雑な問い合わせのみをオペレーターへ転送する仕組みづくりも可能なため、人件費削減とサービス品質向上を両立します。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ロボットによって定型業務を自動化するツールです。
たとえば問い合わせ内容の転記やレポート作成を自動化することで、後処理時間を短縮し、コア業務である顧客対応に時間を割けます。その結果、人的リソースの効果的な分配が可能になり、コストの最適化が可能です。
また、勤怠管理や営業リスト作成などの事務処理もRPAが担うことで、人的ミスを防止でき、業務精度および生産性の向上に貢献します。
オペレーターの離職防止は、採用・教育コストの削減につながります。長く勤めて経験を積んだオペレーターが増えていくことで、生産性の向上にもつながるでしょう。ここではオペレーターの離職を防ぐための代表的な施策を見ていきます。
「研修期間が短い」、「学習する時間が限られている」といった環境下では、新人オペレーターが安心して顧客応対に取り組めません。
不安な気持ちを抱えたまま日々の業務に当たるのはそれだけで大きなストレスになります。また顧客応対に慣れていないために言葉選びや案内を失敗してしまい、クレームを受けるリスクも高いでしょう。こうしたことが原因となって、離職に至ってしまうケースも少なくありません。
そのため新人には、オペレーターとして業務に入る前に実務に近い研修を行うことが大切です。業務をある程度習得したうえで実践に臨むことで、本番での失敗を減らし、自信を持って業務に取り組めるようになるでしょう。
さらに、実務経験が豊富なオペレーターが教育を担当することで、実際の業務内容と研修内容の間にあるギャップを縮められます。オペレーターと顧客とのやり取りを記録するモニタリングや、指導者と本人が共に考え、自発的な行動を促すコーチングなどの取り組みが効果的です。
面談を通じてオペレーターの率直な意見を引き出すことで、コールセンターの課題を明確にし、より良い社内環境を整備できます。
個室で面談を行うなど、オペレーターが本音を話しやすい雰囲気を作り、傾聴を重視した面談を行うことが大切です。
オペレーターが納得できる評価制度を導入することで、モチベーションの向上が期待できます。モチベーションの向上は、離職率の抑制や組織全体のエンゲージメント向上にも関わるため、重視するべきポイントです。
評価制度を構築する際には、オペレーター全員が公平に評価されるよう、業務内容に見合った評価基準や報酬を整備しましょう。
一人ひとりのオペレーターが自分にあった働き方を実現できるよう、さまざまな勤務形態を導入しましょう。たとえば子育てや介護をしている方が働きやすい環境として、短時間勤務や在宅勤務の制度を導入することが挙げられます。
オペレーターが自分の状況に応じて働ける環境を整えることで、会社へのエンゲージメントが向上し、結果的に離職を防ぐ効果も発揮します。
企業のホームページに掲載するFAQ情報を充実させることで、顧客の自己解決を促し、コールセンターに問い合わせる回数を減らせます。
FAQでは回答項目を増やすだけでなく、顧客が必要な情報に迅速にアクセスできるよう、ページの見やすさにも配慮することがポイントです。これにより顧客が「FAQを見たけど結局わからなかった」と問い合わせし直す手間を防げます。結果として顧客満足度の向上やオペレーターの負担軽減につながるでしょう。
コールセンター業務のアウトソーシングを活用することで、コスト削減につながるケースがあります。
たとえばマニュアル的な顧客対応を代行会社に依頼し、よりサービスや商品の専門知識を必要とする問い合わせ対応を社内のオペレーターに割り振ることで、コールセンター全体の工数や人件費の削減が可能です。自社のリソースをコア業務に集中させることができ、結果的にコールセンター以外の業務も含めた全体的な業務効率の向上も期待できるでしょう。
ただし、アウトソーシングには費用がかかるほか、管理の難しさや品質維持の課題が生じることもあります。コスト削減と品質の維持を両立させるためにも、委託すべき業務の見極めや、綿密な委託業者選びが不可欠です。
ここでは、コールセンターのコスト削減を進める際に注意するべきポイントを2つご紹介します。
コールセンターは自社と顧客をつなぐ大事な接点です。そのため、コスト削減を進める際にも応対品質を維持・向上させることが求められます。
自社でコールセンターを運営する場合、コストの多くを占める人件費に注目し、オペレーター数の削減を検討する企業も少なくありません。しかしむやみにオペレーター数を減らしてしまうと、1人あたりにかかる業務負担が増え、新人教育やスキルアップのための研修を充分に行えなくなる恐れがあります。結果、オペレーターの知識やスキル不足によって、応対品質の低下が引き起こされてしまいます。
人件費削減を進める際には、コールセンターへの問い合わせ数を減らす工夫や業務の効率化を図り、オペレーター数が減少しても応対品質を保てる体制を整えることが望ましいです。
無駄なコストの削減は欠かせませんが、必要な人件費やシステム導入費を削ることは、従業員の負担を増加させる恐れがあります。
人件費については先述のとおりで、人件費削減によって残ったオペレーターの業務負担が増えてしまう恐れがあります。また初期費用がかかるからとシステムや機器への投資を怠ると、業務の効率化が妨げられてしまい、こちらもオペレーターに負担を強いることになりかねません。結果、オペレーターのモチベーションが低下してしまい、コールセンター全体の運営効率が悪化する可能性があります。
まずはコスト削減の目的や必要性を共有し、従業員全員がポジティブに取り組める環境を整えたうえで、施策を検討しましょう。
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また独自機能として、音声解析AIを活用した通話内容の録音、文字起こし、内容要約、感情分析をすべて自動で行えます。これにより担当者が顧客と「何を」「どのように」話しているのかを解析・可視化でき、電話応対の課題であるブラックボックス化を解消できます。
さらに応対記録を自動でデータ化できるため、議事録作成や報告といった事務作業の工数を減らせます。担当者がコア業務へ注力できるほか、蓄積されたデータをもとにしたセルフコーチングも可能です。さらに成績優秀者の話し方を分析してマニュアル化することで応対品質の向上や均一化も実現。生産性はもちろん、商談獲得率や成約率の向上にもつながるでしょう。
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コールセンターには、人件費や教育コスト、設備やシステムの導入・運用コストなど、さまざまなコストが発生します。運営の最適化を図るには、これらのコストを適切に管理・削減することが必要です。
コスト削減の方法としては、業務効率化につながるツールの活用、オペレーターが定着しやすい環境の整備、FAQの充実、アウトソーシングの検討などが挙げられます。
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