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コンタクトセンターのオムニチャネル化とは?注目される理由やメリット、導入のポイントを解説

公開日:2025.04.10

更新日:2025.04.16

KDDIウェブコミュニケーションズ

コンタクトセンターのオムニチャネル化とは?注目される理由やメリット、導入のポイントを解説

コンタクトセンターのオムニチャネル化とは、既存のコミュニケーション方法である電話以外の多様なチャネル(メールやチャット、SNSなど)を活用して、顧客との接点を広げることを指します。オムニチャネル化の実現により、顧客はどのチャネルから問い合わせをしたとしても同じ品質のサポートを受けられるようになります。

今回の記事ではコンタクトセンターのオムニチャネルが注目される理由、メリット、導入のポイントを解説します。どのようなコンタクトセンターに適しているかもご紹介しますので、導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。

コンタクトセンターにおけるオムニチャネル化とは

コンタクトセンターにおけるオムニチャネル化とは

コンタクトセンターのオムニチャネル化とは、これまで主流であった電話に加え、メールやチャット、SNS、FAQ、問い合わせフォームなど多様なツールを活用し、顧客との接点を広げることを指します。

それぞれのチャネルを連携させて顧客情報を一元管理し、問い合わせの対応をシームレスかつ迅速に行える環境を整えることで、サポートの品質向上や顧客体験の改善が可能となります。これにより、顧客はどのチャネルを利用しても同じ品質のサポートを受けられるようになるのです。

またオムニチャネル化の導入によって、コンタクトセンターの業務効率化やオペレーターの負担軽減も実現できます。

マルチチャネルとの違い

オムニチャネルと混同されがちな言葉として、「マルチチャネル」が挙げられます。

「複数」や「多くの」という意味を持つ「マルチ(multi)」の名のとおり、マルチチャネルは複数の経路やチャネルを用意しておくこと自体を指します。あくまでさまざまなチャネルがある、というだけで、各チャネルが独立して運用されているのが特徴です。一方でオムニチャネルは各チャネルを統合・連携している状態を指すため、その点に大きな違いがあります。

たとえばマルチチャネルでは、過去に受けたメールの問い合わせ内容が電話対応を行うオペレーターに共有されていない、というケースがあり得ます。この場合、顧客は一度送ったはずのメールの内容を口頭でもう一度説明し直すはめになるため、ストレスや企業に対する不信感を覚えてしまうでしょう。

円滑な顧客対応を実現し、顧客満足度を維持および向上させるためには、単にマルチチャネルを用意するだけでは足りません。各チャネルをシームレスに連携させた、オムニチャネル化を進めることが重要です。

コンタクトセンターのオムニチャネル化が注目を集める理由

コンタクトセンターのオムニチャネル化が注目を集める理由

コンタクトセンターのオムニチャネル化が注目される理由は、大きく分けて2つあります。

顧客の問い合わせ手段が多様化しているため

スマートフォンやタブレットといったモバイル端末の普及により、従来の電話に加えて、メールやチャット、SNSなどコミュニケーション手段が多様化しました。これにより、顧客側に「電話以外の方法で問い合わせたい」というニーズが生まれています。

問い合わせ方法の多様化にあわせて、コンタクトセンターもさまざまなチャネルからの問い合わせに対応し、相互に連携できる体制を作る必要があります

価格や機能だけでは他社との差別化が困難なため

近年は技術の進歩により、商品やサービス自体での差別化が困難になっています。他社との差別化を図るための手段として、コールセンターを活用した顧客との接点(顧客体験価値)の見直しが注目されています

そこで重要になるのが、コンタクトセンターで対応可能なチャネルを増やし、相互に連携させて、顧客の利便性を向上させることです。たとえばチャットボットでの問い合わせで問題が解決できなかった場合に、即座に有人オペレーターへ接続を切り替えて対応することによって、顧客が抱える課題を迅速に解決できるようになります。

このように、シームレスなチャネル連携を実現することで、高品質な顧客体験を提供できるようになるのです。

コンタクトセンターをオムニチャネル化するメリット

コンタクトセンターをオムニチャネル化するメリット

コンタクトセンターをオムニチャネル化する主なメリットについて、詳しく見ていきましょう。

顧客満足度の向上につながる

各チャネル間で情報が分断されている状態は、顧客にとって非常に不便です。

たとえば、メールで問い合わせた内容について追加の質問がある顧客が、コールセンターに電話をかけたとします。この際、チャネル間で情報が共有されていなければ、顧客はオペレーターに対して、一度メールで行ったはずのやり取りをまた最初から説明しなければなりません。

情報が適切に連携されていれば、オペレーターは顧客の状況を把握した上で対応できるため、顧客は余計な説明をする手間が省けます。それだけでなく、「自分のことを理解してもらえている」という安心感も持てるのです。

特にクレームや何らかの不満をもった顧客の対応をする場合に、チャネル間の情報共有によりスムーズに問題を解決できれば、顧客の不快感や不信感を増幅させずに済みます。このような顧客体験の積み重ねが、顧客満足度の向上へつながっていくのです。

業務効率や生産性を向上できる

コンタクトセンターのオムニチャネル化は、業務効率や生産性向上にも寄与します。

たとえばチャットボットやFAQといった、人を介さずにいつでも回答を提供できるチャネルの設置は、コンタクトセンターの業務効率を大きく高めます。問い合わせをする前に顧客自身で問題を解決できるようになるほか、無人対応では解決できない場合にのみ電話やメールといった有人対応に切り替える仕組みを作ることで、オペレーターが対応すべき業務の負担を軽減できるのです。

また各チャネルを連携させてデータを一元管理することで、過去の問い合わせ履歴確認のためにそれぞれのチャネルへアクセスする手間を省けます。さらに、オペレーターの対応履歴がリアルタイムで他のチャネルにも自動的に共有されるようになるため、たとえば「顧客がECサイトで購入した商品を即座に顧客情報と結びつける」ことが可能となります。これにより、問い合わせが来た段階で「どの商品に関する問い合わせか」を把握でき、迅速な顧客対応を実現できるのです。

そのほかにも、購買データと過去の問い合わせ内容を関連づけて分析できるため、マーケティング施策の立案や改善に活用することも可能です。

オムニチャネル化が効果的なコンタクトセンターの例

オムニチャネル化が効果的なコンタクトセンターの例

オムニチャネル化は、さまざまな課題を抱えるコンタクトセンターにとって有効な解決策となります。その中でも特に効果を得られやすいコンタクトセンターがどのようなものか、見ていきましょう。

人材が不足している

企業規模が拡大すると、それに伴って顧客対応の件数も増加するため、人的リソースが不足しがちです。しかし人員が足りない状況が続くと、コンタクトセンター全体の問い合わせ対応件数を担保するために、1件当たりの顧客対応に時間をかける余裕がなくなってしまう場合があります。その結果として顧客対応の質が低下し、顧客満足度の低下や企業に対する信頼感の棄損につながってしまうこともあり得るでしょう。

オムニチャネル化を実施すれば、少人数でも効率的な顧客対応を実現でき、高い生産性を維持できる運営体制を構築できます

たとえばFAQやチャットボットを導入すれば、顧客に課題の自己解決を促すことができます。これにより対応件数そのものを削減でき、オペレーターは有人対応が必要な問い合わせだけにリソースを注げるようになります。

また各チャネルで収集した顧客情報を共有・連携することで、スムーズな顧客応対が実現され、問い合わせ1件あたりにかかる時間を削減できます。これによりオペレーター1人あたりの対応可能件数を増やすことが可能です。その結果、業務効率が向上し、少人数でもコンタクトセンターを円滑に運営できるようになるでしょう。

効果的にマルチチャネルを運用できていない

顧客接点の拡大や問い合わせの分散を目的として、電話以外のチャネルを導入しマルチチャネル化を進めている企業も多いでしょう。しかしチャネル同士の連携や情報共有がうまくいかず、顧客の手間が増えてしまう場合は、オムニチャネル化が必要です。

たとえばチャットボットやFAQを導入していても、顧客が問題を自己解決できなかったり、解決できなかった場合の適切な誘導がなかったりすると、顧客に「別の問い合わせ窓口を探させる」、「また最初から問い合わせをし直させる」といった手間をかけてしまいます。

またチャネル同士の連携が取れておらず、顧客情報の分散によってオペレーターが必要な情報を探すのに手間取る場合、1件1件の問い合わせ対応に時間がかかって「あふれ呼」状態を引き起こすこともあります。これにより顧客を待たせてしまい、ますますストレスをかけてしまうといったこともあるでしょう。

オムニチャネル化を導入し、各チャネルで獲得した顧客行動のデータを一元管理することで、オペレーターが問い合わせ対応にかける時間を短縮できます。また収集した各チャネルの情報から問題点を分析・改善することで、FAQやチャットボットの精度を向上させたり、顧客導線を最適化したりといったことも実現できるでしょう。これにより問い合わせ件数そのものの削減や、有人対応が必要になった場合のスムーズな移行が可能になります。

各チャネルの情報や顧客導線を継続的に最適化することで、問い合わせに関する顧客の不満を解消し、より満足度の高い対応ができるでしょう。

コンタクトセンターのオムニチャネル化のポイント

コンタクトセンターのオムニチャネル化のポイント

ここでは、オムニチャネル化を進める上で重要なポイントについて解説します。

統合的な顧客管理システムを構築する

オムニチャネル化では、顧客管理システムとデータベースを統一して管理できるシステムの導入が推奨されます。データや情報を円滑に共有できるシステムの構築は、オムニチャネル化における重要な要素の1つです。

CRM(顧客関係管理システム)を活用すれば、顧客情報の一元管理はもちろん、収集した情報を社内に共有することも可能です。これにより、どのチャネルから顧客がアクセスしても必要な情報を迅速に取得できるようになるでしょう。

顧客管理システムの導入と併せて、社内の情報を各部署間で共有できるよう、データベースの統合も必要です。そうすることで、顧客に関する情報を適切に管理できるだけでなく、異なるチャネル間でもシームレスに情報を共有できる環境が整います。

CRM連携が可能なコンタクトセンターシステムを導入する

オムニチャネル対応を実現するには、顧客の情報やデータを一元管理するシステムを導入するだけでは不十分です。高精度なFAQやチャットボットを構築し、必要に応じてオペレーターへスムーズに引き継ぐための仕組みも整えましょう。

そこでおすすめなのが、CRM連携が可能なコンタクトセンターシステムを導入することです。

まずはAIを活用したチャットボットで対応し、AIでは解決できない問題については、迅速に有人のオペレーターへ接続するという仕組みを作ることで、顧客の課題解決を円滑に進めることができます。その際にCRMに保存している顧客情報をコンタクトセンターシステム上で参照し、チャネルを切り替える際にもそのまま引き継げると、より迅速な問題解決が可能です。

顧客対応の迅速化だけでなく、業務の効率化にも寄与するため、非常に重要なポイントといえるでしょう。

チャネル同士の連携範囲やルールを定める

オムニチャネルでは、各チャネル間の情報共有や連携フローが規定されていることが重要です。顧客情報が各チャネルに分散している場合、そのデータをCRMなどの一元管理システムにどのように集約するか、データの流れを整理しておくことが求められます。

チャネルごとのフローが不明確で曖昧だと、顧客が同じ問い合わせを別チャネルで複数回行うはめになってしまったり、オペレーターのヒアリングが後手に回ってスムーズな応対ができなくなってしまったりする可能性があります。たとえばチャットボットから有人対応へ切り替えるタイミングなど、運用における細かい事項を明確にし、オペレーター間で十分に共有することが重要です。

問い合わせ内容や顧客の要望に応じて適切なチャネルへ誘導できるよう、ルールを策定し、全員に徹底して周知させましょう。

定期的にチャネルをアップデートする

オムニチャネル化したコンタクトセンターにおいては、導入した各チャネルの情報を定期的に更新することが重要です。単に最新情報にアップデートするだけでなく、オムニチャネルによって統合された多様なデータを分析して、顧客にとって価値のある情報へ更新していくことが求められます。

FAQを入口とし、そこから他のチャネルへ誘導する形を採用しているコンタクトセンターは多いです。しかし、FAQ自体が見直されず放置されているケースも少なくありません。FAQの内容を更新することはもちろん、アクセスのしやすさや、解決できなかった場合に適切なチャネルに誘導する仕組みを定期的に見直すとよいでしょう。また、情報を分かりやすく伝えられるよう、ページデザインやシステム自体の変更も検討する必要があります。

FAQ以外のチャネルについても、チャットボットのシナリオの定期的な更新、IVR(自動音声応答)の設定見直し、誘導方法や返信内容の改善など、常に顧客の視点に立って使いやすさを追求することが大切です。

PDCAを繰り返して運用体制をブラッシュアップする

オムニチャネル化は、単にチャネルを増やし、システム間を連携させるだけでは終わりません。継続的なPDCAサイクルを回し続けることが重要です。

オムニチャネルコンタクトセンターにおいては、チャットボットやFAQなど、各チャネル内の情報を継続的に更新することが求められます。加えて、実際に利用する顧客やオペレーターの意見を常に反映させながら、運用体制をブラッシュアップしていくことがカギとなります。

オムニチャネル化が最初から順調に進むことは多くありません。運用を続けながら課題や問題点を特定し、その都度改善を行うことで、顧客にも企業にも使いやすいシステムへ進化させていきましょう。

クラウドコンタクトセンター
「ujet.cx」のご紹介

UJET.CX

「ujet.cx」は、スマートフォンの普及によって大きく変わったコミュニケーション手段に適応する、スマートフォンの機能をフル活用できるコンタクトセンターソリューション(CCaaS)です。モバイル端末の機能を最大限に活用し、シームレスで優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供します。

音声通話、メール、チャット、SMS、SNS(WhatsApp)などを利用したマルチチャネルに対応しており、消費者のニーズに合わせた自然なコミュニケーションを行えます。また自社で展開しているアプリにモバイルSDKを組み込むことで、スマートフォン側の動画/静止画を共有できるほか、スマートフォンが持つ生体認証機能や位置情報/OS情報なども取得・活用できます。これにより効率的な顧客応対が実現可能です。

そのほか、Google が提供するコンタクトセンターに特化したAI機能(CCAI)を、完全なクラウド環境で1席から利用できる点も魅力として挙げられます。

まとめ

本記事では、コンタクトセンターをオムニチャネル化するメリットについてご紹介しました。

人材不足や応対品質の低さ、マルチチャネル運用の課題を抱えるコンタクトセンターにとって、オムニチャネル化は有効な解決策となります。顧客管理システムの構築やチャネルの連携ルールの策定、定期的な情報更新といったポイントを意識しつつ、PDCAサイクルによる継続的な改善を行ってオムニチャネル化を成功させましょう。

顧客対応の品質向上とコスト削減を両立するコンタクトセンター向けクラウドサービス「UJET」なら、CRMとの連携やAIを活用したチャットボットの導入など、オムニチャネル化に必要な機能を網羅しています。コンタクトセンターのオムニチャネル化に課題を感じている方は、ぜひ一度UJETの活用をご検討ください。

執筆者情報

KDDIウェブコミュニケーションズ
KDDIウェブコミュニケーションズ
2013年に、日本ではまだ黎明期であったCPaaSの取り扱いを開始。CPaaSやCCaaSなどコミュニケーションのDXの専門家として、「コミュニケーションの多様性」を活用するための記事をお届けします。


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