まとめ
コールセンターやサポートセンターは、企業の製品やサービスの顧客満足度を向上させるうえで欠かせないものです。しかし効果的に運用するためには、高品質な対応を行えるオペレーターを育成したり、顧客情報を細かく管理して問い合わせと照合したりと、さまざまな手間やコストをかける必要があります。
そのため企業の中には「せっかくコールセンターを設置したのにうまく活用できていない」「コストを割けないため、サポートセンターの立ち上げが後回しになってしまっている」といった課題を抱えているところもあるのではないでしょうか。
このようなお悩みを解決するためのシステムが「CTI」です。
この記事ではCTIの基礎知識について解説するほか、導入時のメリットや注意点、他システムとの連携時のポイントについてもご紹介します。
CTIは「Computer Telephony Integration」の略語で、パソコンをはじめとしたコンピューターと電話システムを統合して動かす技術のことを指します。主にコールセンターやサポートセンターにおいて、電話応対や架電業務を効率化するための仕組みとして知られています。
「コンピューター上で管理している顧客データ」と「お客様の電話番号」を連携させることで、電話を取る前にお客様の名前や過去の対応履歴を確認できるようになるなど、オペレーターの対応業務を円滑化するのに役立つ機能です。
CTIの導入によって具体的にどのようなことができるのか、ここではよく利用されている主な機能を4つご紹介します。
着信元の電話番号を顧客管理システム(CRM)の情報から検索し、顧客名や以前に問い合わせのあった内容などの顧客情報をパソコン上の画面にポップアップで表示します。
電話に出る前に相手の情報を確認できるため、オペレーターがそれぞれのお客様に適切な対応を行えるようになります。特にクレームの電話やVIP待遇のお客様など、特別な対応が必要な相手であることが事前にわかっていれば、トラブルを回避したり顧客満足度を向上したりすることができるでしょう。
電話の着信履歴をシステムに保存することができます。電話対応が立て込んでしまい、応答できなかった「あふれ呼」が出てしまった場合でも、着信履歴機能があることで「いつ」「どこから」電話がかかってきたか確認することができます。
また顧客の名前や住所をCRMに登録しておけば、着信履歴をもとに検索や絞り込みを行い、「誰から」かかってきた電話かを把握することも可能です。
折り返し電話をする場合にも、着信履歴からかけ直すことで、番号の押し間違いによる間違い電話やタイムロスを防げます。
通話の転送にあわせて顧客情報も一緒に転送先に送ったり、着信に対してどのオペレーターが対応を行うかをルールに沿って振り分けたりできる機能です。
特に着信の振り分けは、電話制御機能の中でもコールセンターやサポートセンターに欠かせない重要なものです。この機能を使うことで、特定のオペレーターに電話が集中しないように振り分けられます。また特別な対応が必要なお客様からの電話は経験豊富なオペレーターに割り当てるなど、スキルに応じた振り分けも可能です。
その他にも「過去に対応したことのあるオペレーターを優先的に割り当てる」「業務時間外は音声ガイダンスを流す」など、優先順位や条件付けにもとづいた振り分けもカスタムできます。
オペレーターとお客様の通話内容を録音する機能です。コールセンターに電話したときに「サービス向上のため、やり取りを録音させていただいております」という音声アナウンスを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
通話内容を記録として残すことで、やりとりの聞き逃しを解消できます。また他のオペレーターが対応を引き継ぐ際にも、過去のやり取りやお客様の雰囲気を確認できるため大変便利です。
またオペレーター自身の言葉遣いや話し方も録音によって聞き返せるため、一回の対応ごとに改善点を見つけることができます。接客品質の向上にも役立てられるでしょう。
CTIシステムは提供方式によって「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つに分類されます。それぞれの種類の特徴について見ていきましょう。
オンプレミス型は自社内にサーバーやネットワーク機器を設置して構築する方式のことです。
導入にあたって1からシステム開発を行う必要があるため、専門の技術者による構築・運用のコストがかかります。しかしその分、自社の環境にあわせてカスタマイズできるという利点もあります。既存のシステムとの連携も取りやすいでしょう。
また自社のネットワーク内に構築されるため、セキュリティリスクに強いのもメリットといえます。
メリット | デメリット |
---|---|
・自社専用の独自のカスタマイズが可能 ・セキュリティリスクに強い |
導入や管理にコストがかかる |
一方クラウド型は自社にサーバーを設置せず、CTIを提供している企業のサーバーにインターネットを用いてアクセスし、機能・サービスを利用する方式のものを指します。
インターネットさえあれば場所を問わずに利用できるため、導入コストが低く抑えられることが特徴です。また自社に専用機器を置く必要がないため、機器の管理コストなどを考えずに利用できます。
ただしクラウド型CTIは外部のサーバーにインターネットでアクセスする方式のため、顧客情報が漏洩するセキュリティリスクを常に考えておかなければなりません。導入の際にはクラウド型サービスのセキュリティ対策について、しっかり確認しておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・導入コストが低い ・機器故障のリスクがない |
・万全なセキュリティ対策が必要 ・カスタマイズしにくい |
またCTIの種類は、ここで紹介した提供方式による分類のほかにも、電話受付に特化した「インバウンド型」と電話発信に特化した「アウトバウンド型」によって分類されることもあります。
ここからは、実際にCTIを導入する際に押さえておきたいポイントを7つご紹介します。
CTIの機能の充実度はサービスによって変わってきます。まずは「自社で使いたい機能がきちんと備わっているかどうか」に注目しましょう。
以下にCTIに備わっている機能の一例を紹介します。
音声案内による自動応答を追加できます。複数の分岐を作成し、自動音声のみで一部の対応を処理できるため、オペレーターの負担軽減に役立ちます。
【導入例】自動予約、キャンペーンの受付、解約受付など
SMSを使ってメッセージを送信できる機能です。電話対応が混雑している場合などに、SMSを使って自社コンテンツのURLを送信できます。お客様自身に問題の自己解決を促せるため、オペレーターの対応数が減り、業務負担を軽減できます。
また通話で対応したお客様に対して、口頭で話した内容の補足を文字で送るといった使い方も可能です。
【導入例】FAQページの共有、パスワードの再発行など
サービス導入の際には、初期費用や月額の利用料金といったコスト面についても確認しておきましょう。かかる費用と使える機能のバランスを加味して、自社のサービスに合っているのか検討してください。
申し込みから実際に使い始められるまで、どれくらいの期間が必要なのかも確認しておきたいポイントです。
申し込みから2~3営業日で稼働開始できるサービスもありますが、機器を購入して導入するようなサービスの場合は設置作業にかかる時間も考慮しなければなりません。
いつから使い始めたいのかを決めておきましょう。
製品をどれだけの人数で利用できるかは、サービスによってまちまちです。また利用できる人数に応じて料金が変わるケースも多いため、「利用可能人数は多ければ多いほどよい」とは言い切れません。
数十人・数百人規模のコールセンターなのか、少人数規模のサポートセンターなのかによって、最適なサービスは変わってきます。どの程度の規模で運営していくのかを踏まえて選びましょう。
CTI機能はコールセンターやサポートセンターの土台になるものです。サービスを選ぶ際には、導入に対してスムーズなサポートが受けられるかどうかも見ておくべきでしょう。相談会を開催しているような企業なら、自社の環境に適しているのか事前に聞いてみてもよいですね。
また導入後のサポート体制についても、「専用窓口があるのか」「トラブルが発生したときに素早く対応してくれるのか」など、細かくチェックしておきましょう。
CTIを利用する際には、社内ですでに利用している電話システムや顧客情報データベース、CRMなどとの連携が可能かも事前に確かめておくとよいでしょう。
業務の形は会社によって変わるものです。自社の環境に合わせて柔軟にカスタマイズできるかどうかもチェックしておきましょう。
先述の通り、カスタマイズ性はクラウド型よりもオンプレミス型の方が高い傾向にあります。しかしクラウド型でもカスタマイズ可能なCTIはありますので、カスタマイズの制限事項や内容について確認して、ニーズに合致するものを選ぶとよいでしょう。
続いては、企業がCTIを導入することで得られるメリットを3つ解説します。
CTIを導入することで、オペレーターの業務効率の改善が期待できます。
ポップアップ機能によって顧客情報を事前に確認できれば、オペレーターはそれぞれのお客様に適した対応を行えるようになります。また混雑時や営業時間外には自動音声案内を利用することで、電話対応の件数そのものを削減できます。
このようにオペレーターの業務負担を減らし、かつ1件あたりのお問い合わせ時間を短縮することで、より多くのお客様対応に取り組めるようになるのです。
さらには従来のコールセンターで起こりがちだった「ひとりのオペレーターに電話が集中する」といった状況も、CTIに含まれる着信の振り分け機能によって改善できます。
CTIの導入によってオペレーターの負担が軽くなると、その分だけお客様の待ち時間も短くなります。さらに振り分け機能によってお客様のニーズとマッチするオペレーターが応答するため、スムーズに問題解決に至ることができ、顧客満足度の向上につながるでしょう。
また通話内容を録音しておくことで、情報の聞き逃しなどによるお客様とのすれ違いも解消できます。同時にオペレーターの接客品質の向上にも役立つため、より丁寧な対応を行えるようになります。
CTIによって業務効率化が達成できると、1件あたりの対応時間が短くなるため、少ないオペレーター数でも十分にお客様の対応を行えるようになります。オペレーター自身の作業コストを減らせるのはもちろん、人件費の削減にもつながるのです。
また通話履歴から架電数の少ない時間帯を見つけて人員を減らしたり、定型的なお問い合わせ内容を自動音声案内に任せて無人対応の領域を拡大したりと、CTIを導入することでより最適な運用スタイルを確立できるといったメリットもあります。
CTIを語るうえで頻出する単語に「PBX」があります。近年ではPBXの機能を備えたクラウド型CTIも登場しているため、同じようなものだと勘違いされやすいのですが、実は両者は大きく異なります。
ここではPBXとCTIの違いについて解説いたします。
PBXは「Private Branch eXchanger」の略で、構内交換機と訳されます。別名「電話交換機」とも呼ばれています。主に事業規模の大きな企業・団体・コールセンターなどで導入されている、音声通話によって社内外のコミュニケーションを円滑化する装置です。
企業のオフィスで、デスク上に複数の電話機が設置されている場面を見たことがある方も多いでしょう。それらの電話機で使える機能を制御しているのが、このPBXです。
PBXについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
一方でCTIは先述の通り、パソコンなどのコンピュータと電話装置を統合して動かすシステムです。そして電話装置には電話機やFAXだけでなく、電話機の機能を制御しているPBXも含まれます。
つまりPBXは、CTIによって連動して動くハードウェアの1つであるといえます。
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音声通話、メール、チャット、SMS、SNS(WhatsApp)などを利用したマルチチャネルに対応しており、消費者のニーズに合わせた自然なコミュニケーションを行えます。また自社で展開しているアプリにモバイルSDKを組み込むことで、スマートフォン側の動画/静止画を共有できるほか、スマートフォンが持つ生体認証機能や位置情報/OS情報なども取得・活用できます。これにより効率的な顧客応対が実現可能です。
そのほか、Google が提供するコンタクトセンターに特化したAI機能(CCAI)を、完全なクラウド環境で1席から利用できる点も魅力として挙げられます。
まとめ
この記事では、CTIの基本的な概要と、CTIによってどのようなことができるのかについて解説いたしました。
いまや企業に欠かせない存在となったコールセンターやサポートセンター。それらの土台となるシステムこそがCTIです。CTIの導入によって、オペレーターの業務効率の改善はもちろん、顧客満足度を向上させて企業のイメージアップを図ることも可能となります。
コールセンター・サポートセンターの構築や運営に課題を感じておられる企業の方は、ぜひこの機にCTIの導入を検討してみてくださいね。