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コンタクトセンターのAI活用例|導入時のポイントや注意点も解説

公開日:2025.09.10

更新日:2025.09.24

KDDIウェブコミュニケーションズ

コンタクトセンターのAI活用例|導入時のポイントや注意点も解説

コンタクトセンターは、顧客と企業をつなぐ重要な接点です。しかし近年は、顧客接点の急速なデジタル化が進むなかで、人手不足や対応品質のばらつき、顧客満足度の低下といった課題が顕在化しています。

こうした状況の打開策として注目されているのが、AI(人工知能)の導入です。AIを活用することで、顧客対応の自動化や業務の効率化が可能となり、応対品質の向上やエージェントの負担軽減が期待できます。

本記事では、コンタクトセンターにおけるAI活用のメリットや事例、導入のポイントについて詳しく解説します。

コンタクトセンターでのAI活用例

コンタクトセンターでのAI活用例

一言で「AI導入」といっても、その活用方法は多岐にわたります。ここでは、コンタクトセンターにおけるAIの活用例として、以下の6点をご紹介します。

  • 応対内容の要約
  • 電話対応のサポート・分担
  • 新人エージェントの教育・対応
  • FAQの自動生成・チャットボットの導入
  • 多言語への対応
  • 顧客の感情分析

一つずつ見ていきましょう。

応対内容の要約

AI音声認識ツールや生成AIを導入することで、電話応対後の応対内容をシステムに入力する時間「ACW(After Call Work)」を短縮できます

これにより、エージェントの生産性向上や、待ち時間の減少による顧客満足度の向上が見込めるでしょう。さらに、要約内容は一定の品質で統一されるため、情報共有やトラブル時の記録確認にも活用できます。

電話応対のサポート・分担

AIは、電話応対中のエージェントをリアルタイムで支援します。例えば、AIに過去の対応履歴やFAQを学習させることで、会話内容をもとに最適な回答を提示し、応対の質とスピードを向上させることが可能です。

また、複雑な問い合わせはエージェントが対応し、よくある問い合わせにはAIが自動回答するといったように使い分けることで、1回の応対にかかる平均処理時間(AHT)の短縮にもつながります。その結果、顧客満足度の向上と業務効率化の両立が図れるでしょう。

新人エージェントの教育・育成

AI活用は、新人エージェントの教育・支援にも有効です。

例えば、ベテランエージェントの対応履歴や、模範の回答例・対応例をAIに学習させることで、適切な回答・対応候補を提示することが可能です。これにより、実践経験の浅い新人エージェントをリアルタイムに支援し、トラブルの防止や早期の戦力化を実現できます

また、エージェントの会話内容を分析し、改善点を提案すれば、さらなる応対品質の向上も期待できるでしょう。

FAQの自動生成・チャットボットの導入

生成AIやFAQシステムを導入すれば、消費者の問い合わせ内容やエージェントの回答を元に、よくある質問や回答例をまとめることが可能です。これにより、ユーザーは自分の知りたい情報を探しやすくなり、問い合わせ件数の削減にもつながります。

また、自然な会話に対応できるAIチャットボットを導入することで、ユーザー満足度を高めると同時に、24時間体制の顧客対応も実現できるでしょう。

多言語への対応

多言語対応が求められる場面でも、AIは大きな力を発揮します。複数の言語を学習したAIの導入は、外国語の一次対応を自動化できるため、特定のエージェントの負担を軽減できるほか、採用や育成にかかるリソースやコストを抑えることが可能です。

また、短期間で外国語対応の体制構築ができるため、インバウンド需要の機会損失を防ぎ、新たな市場や顧客層の開拓にも貢献するでしょう。

顧客の感情分析

AIによるユーザーの感情の分析も効果的な活用方法のひとつです。

AIの中には、音声や文体、表情などのデータからユーザーの感情を分析できるものがあります。これをコンタクトセンターの応対に活用することで、状況に合わせたAI対応からエージェントへの応対の切り替えや、ユーザーの感情の変化を確認しながらの応対が可能になります

その結果、一人ひとりに寄り添った対応がしやすくなり、ユーザーの不満や悩みの早期解決が期待できるでしょう。

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コンタクトセンターにAIを導入する際のポイント

コンタクトセンターにAIを導入する際のポイント

コンタクトセンターにAIを導入する際は、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

導入目的を明確にする

一概にコンタクトセンター向けのAIと言っても、その種類はさまざまです。前述のチャットボットに加え、ナレッジベース構築ツールや音声認識システム、自動ルーティングなど、幅広い種類のツールが存在します。

こうしたAIの中から安易にツールを選択してしまうと、自社の課題解消につながらない可能性が生じます

そのため、事前にコンタクトセンターの主要な課題を洗い出し、何のためにAIを導入するのか、目的を明確にすることが大切です。

利用頻度が高そうな業務・チャネルからAI化する

機械学習やディープラーニングにより、自ら学習して回答や分析の精度を高められるのがAIの特徴です。しかし、利用頻度が少ないAIは、精度がなかなか上がらずにますます使われなくなり、最終的に廃止されるケースもあります。

AIシステムを導入する際は、できるだけ組織内でAIの利用頻度が高そうな業務プロセスやチャネルを特定し、優先的に導入することがポイントです。利用頻度が高くなるほど、システム内に蓄積されるデータも多くなり、AIの学習範囲も広がります。

AIの学習スケジュールを作成する

AIは初めから精度の高い作業を行えるわけではなく、学習をくり返してその精度を高めます。そのため、AIに学習させる準備期間も考慮に入れて、導入するシステムやツールを検討しなければなりません。

中には、ある程度の学習を済ませた製品も存在するため、製品ごとに学習レベルが異なる点に注意が必要です

コンタクトセンターへのAI導入における注意点

コンタクトセンターへのAI導入における注意点

コンタクトセンターにAIを導入しても、エージェントが不要になるわけではない点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

AIの活用は業務の負担軽減、効率化に大きく寄与しますが、顧客の利便性向上と現場の生産性を真の意味で実現させるためには、運用のための人的リソースを確保することが必須です。

AIはデータの蓄積や分析、定型的なやり取りでは力を発揮するものの、イレギュラーな対応は不得意なため、やはりエージェントの力が求められます。AIの得意・不得意をしっかりと理解し、高品質な対応に向けた体制を整えることが重要です

クラウドコンタクトセンター
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「ujet.cx」は、スマートフォンの普及によって大きく変わったコミュニケーション手段に適応する、スマートフォンの機能をフル活用できるコンタクトセンターソリューション(CCaaS)です。モバイル端末の機能を最大限に活用し、シームレスで優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供します。

音声通話、メール、チャット、SMS、SNS(WhatsApp)などを利用したマルチチャネルに対応しており、消費者のニーズに合わせた自然なコミュニケーションを行えます。また自社で展開しているアプリにモバイルSDKを組み込むことで、スマートフォン側の動画/静止画を共有できるほか、スマートフォンが持つ生体認証機能や位置情報/OS情報なども取得・活用できます。これにより効率的な顧客応対が実現可能です。

そのほか、Google が提供するコンタクトセンターに特化したAI機能(CCAI)を、完全なクラウド環境で1席から利用できる点も魅力として挙げられます。

UJETの詳細を知りたい方は、ぜひ下記ボタンよりサービス紹介ページをご覧ください。

まとめ

AIは、顧客満足度の向上や対応品質の均質化、AHT・ACWの短縮、人件費の削減など、コンタクトセンターが抱える多くの課題に対する有効な解決手段となります。さらに、感情分析や新人教育など、応対の質を高める活用方法も広がっています。

一方、成果を上げるためには明確な目的の設定と、自社業務に適したAIの選定、適切な導入体制の構築が欠かせません。導入のポイントや注意点を理解したうえで、AIを効果的に活用し、業務の効率化と顧客満足度の向上を両立させましょう。

執筆者情報

KDDIウェブコミュニケーションズ
KDDIウェブコミュニケーションズ
2013年に、日本ではまだ黎明期であったCPaaSの取り扱いを開始。CPaaSやCCaaSなどコミュニケーションのDXの専門家として、「コミュニケーションの多様性」を活用するための記事をお届けします。


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