公開日:2025.03.25
更新日:2025.04.22

公開日:2025.03.25
更新日:2025.04.22
KDDIウェブコミュニケーションズ
コールセンターにおいて、オペレーターと顧客のやり取りを記録する「通話録音」は欠かせない機能です。通話内容を音声データで残しておくことにより、オペレーターの顧客応対を客観的に振り返ってブラッシュアップに活かせたり、聞き漏らしなどのヒューマンエラーを防止できたりと、さまざまなことに役立てられます。一方で通話録音には、プライバシーへの配慮などといった注意点もあるため、理解したうえでの運用が重要です。
この記事では、コールセンターにおける通話録音の必要性やメリット、導入方法、注意点などについて解説します。
通話録音とはその名のとおり、システムや装置などを用いて電話での会話を記録すること、またはその機能のことを指します。オペレーターと顧客のやり取りを音声で残すことで、聞き漏らしや「言った・言わない」のトラブルを防げるほか、テキスト化することで応対スキルの向上にも活用できます。コールセンターでは、顧客対応の品質管理や業務改善に欠かせない重要な機能です。
コールセンターに通話録音を導入する主なメリットについて、詳しく紹介します。
オペレーターと顧客の通話を録音することで、ヒューマンエラーによる聞き間違いや聞き逃しの防止に役立てられます。また録音データにはいつでもアクセスできるため、オペレーター同士の引き継ぎ時にも伝達ミスを防止できます。これにより正確な顧客対応が可能となり、オペレーターのサポート品質の向上につなげられるでしょう。
また通話録音によってやり取りした内容を正確に残しておくことで、顧客が次に問い合わせをした際、過去の問い合わせ履歴について同じ説明を繰り返す手間が省けます。ニーズや課題に合った対応をスムーズに受けられるようになるのも、顧客にとってのメリットとなるでしょう。
通話録音の導入は、クレーム対応にも活用できます。たとえば「言った・言わない」の問題に発展するケースでは、双方の認識にズレが生じていることが多く、解決には事実確認が欠かせません。そのようなときでも通話データを活用すれば客観的な情報を確認でき、適切な解決策を見つけやすくなります。
また録音データを分析すれば、特定のサービスに関するクレームの数や、会話のどの部分で誤解が生じやすいのかなども把握可能です。クレーム対応の成功例を共有することで、オペレーターの対応力向上にもつながります。
通話録音のデータを残しておくことで、発言や対応を分析し、オペレーターの強みや改善点を明確にできます。SVがオペレーター指導の参考にできるのはもちろん、オペレーター自身も自分の対応を客観的に見直しながら改善に取り組めるため、スキルや品質の向上が図れるでしょう。
また、優れた顧客対応を行うオペレーターの通話を保存・共有することで、新人オペレーターのコーチングに活用することも可能です。経験豊富なオペレーターの対応を学ぶことで、実践的なスキルの習得が早まり、トークの精度やマナーの向上も期待できます。
指導担当者の負担も軽減されるため、効率的で質の高い教育体制の構築にもつながります。
電話対応は書面やメールと異なり、録音しない限り正確な発言内容を記録できません。通話録音を行うことで会話の透明性が確保され、コンプライアンス違反の有無も確認しやすくなります。
具体的には、オペレーターによる不適切な発言の有無、顧客情報の取り扱い、法的リスクを伴う商品の説明といった重要な内容も管理できます。また、録音しているという事実がオペレーターの発言を慎重にさせる点からも、コンプライアンス意識の向上にも効果的です。もちろん、通話録音をしておけば違反が発覚した際も迅速に対応できます。
通話録音を導入する際は、以下のようなポイントに注意する必要があります。それぞれ見ていきましょう。
コールセンターで通話内容を録音する際は、プライバシーやデータ保護への配慮が欠かせません。
録音データには顧客の個人情報やビジネスに関する重要な情報が含まれます。そのため、録音する旨とその目的については、あらかじめ顧客に明示する必要があります。
また、録音データの漏洩や不正利用を防ぐための高度なセキュリティ対策も必須です。保管期間や破棄方法についても、法令や企業の規定に則りましょう。
通話録音は、オペレーターや顧客に警戒心を抱かせる可能性があります。
オペレーターが録音されていることを心理的な負担として感じ、顧客とのコミュニケーションや業務効率が低下する可能性は否定できません。また顧客側も録音を意識するあまり緊張してしまい、不具合などの状況を正確に伝えにくくなって、ヒアリングに時間がかかってしまうケースもあり得ます。
通話録音の目的は監視ではなく、オペレーターと顧客の双方を守ることだと伝えるのが重要です。
通話録音の導入方法は、大きく分けて3つがあります。それぞれどのような方法なのか見ていきましょう。
録音機能の付属した音声通話を導入する方法として、クラウドPBXの導入が挙げられます。
PBXとは「Private Branch eXchange」の略で、内線や外線などの音声通話を管理・制御するシステムです。オフィスやコールセンターで使用される複数の電話機を一括運用でき、録音機能が標準またはオプションで備わっています。
そしてクラウドPBXは、クラウドを利用してPBXを提供するサービスです。物理的な機器を追加導入する必要がないため、初期費用を抑えながら比較的短時間で環境を構築できます。またインターネット回線とデバイスさえあれば、どこからでも通話や通話録音が可能です。
なおクラウドPBXの場合、録音データはサーバー上に保管されるため、膨大な量のデータも漏れなく記録・活用できます。さらにCRMと連携して顧客情報と録音データを紐づければ、管理や活用の幅がさらに広がるでしょう。
多くのビジネスフォンには通話録音機能が標準搭載されており、録音データを本体や外付けの記録媒体に保存することが可能です。録音設定は手動・自動の切り替えが可能で、機種によって仕様が異なります。
録音機能を一元管理しやすく、システム統合にも適した方法ですが、買い替え費用や配線・設置工事などの初期コストが高額になりやすい点には注意してください。またビジネスフォンによっては専用回線にしか対応していない場合があります。自社の電話回線で使用できるかどうか事前に確認しましょう。
ICレコーダーなどの通話録音装置を後付けする方法もあります。ICレコーダーには、「電話機に接続するタイプ」と「受話器に接続するタイプ」の2種類があり、それぞれ録音の仕組みが異なります。
電話機に接続するタイプは、ICレコーダーにイヤホン型のマイクを取り付け、オペレーターの音声と受話器の音声を同時に拾いながら録音する仕組みです。一方で受話器に接続するタイプは、電話機と受話器の間に電話録音アダプターを設置し、そこにICレコーダーを接続して録音します。
いずれも既存の固定電話をそのまま活用できますが、機種によっては配線工事が必要になり、通話の音質が低下する可能性もあります。また端末ごとに個別の設置が必要になるため、大規模な導入には向いていません。
コストを抑えつつ通話録音を導入したい、小規模なコールセンターに適した方法と言えるでしょう。
通話録音システムを選ぶ際は、以下のポイントに着目してみましょう。
通話録音システムは、システムごとに搭載されている機能が異なります。システムの導入によってどのような課題を解決したいのか、そして解決のために必要な機能は何なのかを明確にしたうえで、その機能が搭載されているシステムを選びましょう。
たとえば「オペレーターのスキル向上」が課題ならば、日時や対応者ごとに録音データを検索できる機能があると便利です。また通話音声から顧客がどのような感情を持っていたかを分析したいのなら、AIによる感情分析機能が搭載されているシステムを検討するとよいでしょう。
充分にクリアな音質で録音できるシステムを選びましょう。音質が不十分な場合、内容の確認や分析が難しくなり、録音データの価値が低下してしまいます。
ちなみに、録音装置を後付けする場合や、録音機能付きのビジネスフォンを導入する際に配線を変更する場合は、音質が低下するリスクがあります。
通話録音のデータには、顧客の個人情報やビジネスに関する重要な情報が含まれるため、安全な保管が求められます。そのため、セキュリティ対策が充分に施されているシステムを選びましょう。
具体的には、「データ暗号化」「アクセス制御」「監視とアラート」といったセキュリティが導入されているかをチェックしてみてください。
通話録音は、外部システムと連携することで、その効果を最大限に引き出せます。
たとえばCRM(顧客管理システム)と連携すれば、着信と同時に顧客情報の確認が可能です。録音データを顧客情報と紐づけて管理できるため、顧客対応の品質向上にも役立ちます。また録音データと過去の対応履歴を活用することで、オペレーターへのフィードバックもしやすくなり、スキルの向上にもつながります。
通話録音システムを選ぶ際は、すでに導入しているツールとの連携が可能なのかも確認してみてください。
MiiTelは音声解析AIを搭載したクラウドIP電話&クラウドコールセンターサービスです。電話営業や顧客応対の録音から文字起こし、内容の要約、さらに感情分析までを音声解析AIが自動で行うことで、担当者が顧客と「何を」「どのように」話しているのかを解析・可視化でき、電話応対の課題であるブラックボックス化を解消できます。
また応対記録を自動でデータ化できるため、議事録作成や報告といった事務作業の工数を減らせます。担当者がコア業務へ注力できるほか、蓄積されたデータをもとにしたセルフコーチングも可能です。さらに成績優秀者の話し方を分析してマニュアル化することで応対品質の向上や均一化も実現。生産性はもちろん、商談獲得率や成約率の向上にもつながります。
KWCPLUSでは、「通話専用プラン」と「フル機能プラン」の2種類のプランをご用意しています。「通話専用プラン」では高品質なクラウドIP電話をご利用いただけるほか、通話の録音、CRM連携、外部SFAなどとの連携が可能です。一方「フル機能プラン」は「通話専用プラン」の内容に加えて、文字起こしや自動要約、話し方解析、IVR設定や待ち呼設定など、充実した機能をご利用いただけます。自社の状況に合わせて適したプランをお選びください。
V Call プラグイン for kintoneは、kintoneアプリに登録されている電話番号に対して、アプリ上から直接クリックtoコールで電話とSMSを発信できるプラグインです。コミュニケーションをkintone上に統合して効率化を図れるほか、通話内容の録音・文字起こしをすべて自動で行えます。これにより通話内容の「言った・言わない」を解消できるのはもちろん、社内共有や引き継ぎも簡単に行えるようになります。
さらにV Call プラグイン for kintoneの特徴として、柔軟なカスタマイズ性が挙げられます。本製品は電話・SMSの発信のみを基本機能としているため、着信時の制御をユーザー側で自由にカスタマイズできます。また一斉架電やSMS配信など、発信側の制御についてもカスタマイズ可能です。
そのほか、ご利用に際して別途必要となるVonageアカウントも活用できます。Vonageのさまざまなチャネルや機能をkintoneと組み合わせることで、kintoneアプリをより便利に使えるようになるのです。
通話録音を活用すれば、顧客満足度の向上やオペレーターのスキル強化、社内コンプライアンスの強化など、多くのメリットが期待できます。
ただし、プライバシー保護やデータ管理、オペレーターや顧客の心理的負担といった点に配慮が必要です。通話録音システムを選定する際は、機能性や音質、セキュリティ対策を確認しておくと、自社に最適なシステムを見つけやすくなります。
通話録音システムの導入を検討中であれば、クラウドIP電話の「MiiTel」がおすすめです。MiiTelなら、高品質な通話録音機能に加え、CRMとの連携や音声データの可視化など、コールセンター運営に役立つ機能を低コストで利用できます。気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
また、kintoneをお使いであれば、V Callプラグイン for kintoneがおすすめです。お使いのkintone管理アプリより直接「電話」「SMS」の発信が可能なプラグインで、通話の自動録音・テキスト化ができます。電話もSMSもすべてkintone内で完結するため、別ツールを立ち上げる必要がなく一元管理が可能です。