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電話業務のDX化とは?実現するツールやメリット、実施手順、ポイントを解説

公開日:2025.03.24

更新日:2025.05.07

KDDIウェブコミュニケーションズ

電話業務のDX化とは?実現するツールやメリット、実施手順、ポイントを解説

近年広がりつつある企業のDX化によって、電話業務にも効率化の取り組みが普及してきています。電話業務をDX化することで、電話対応の効率化はもちろん、人件費の削減やミスの防止などさまざまなメリットが得られます。

この記事では、電話のDX化の概要を解説したうえで、DX化を実現するためのシステム・サービスやDX化を実施するメリット、推進の流れ、選定のポイントなどについてご紹介します。

電話業務におけるDXとは

電話業務におけるDXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスを変革し、企業の競争力を高めることです。つまり電話業務のDX化とは、デジタル技術を活用して電話業務を効率化・自動化することを指します。

たとえば登録済みの電話番号を自動で担当者へ転送する機能や、AIを活用した自動応答システムの導入なども電話のDXの一種です。こうした取り組みは銀行やコールセンター、病院、ホテルなど、さまざまな業界で広がっています。

電話のDX化を実現するシステム・サービス

電話のDX化を実現するシステム・サービス

電話のDX化を実現するために、さまざまなシステムやサービスが活用されています。中でも代表的なものについて見ていきましょう。

CTI

CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話やFAXなどの通信回線とパソコンを統合する技術・システムのことです。CTIを導入することでパソコンの画面上で電話やFAXを受発信できるようになり、業務の効率化が図れます。

さらに通話録音や自動文字起こし、自動要約などの機能を搭載しているものであれば、対応履歴をテキストデータとして蓄積できます。VOC(Voice of Customer)の収集が容易になり、オペレーターの応対品質向上にも活用できるでしょう。

CRM

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客情報を一元管理し、分析・活用するためのツールです。顧客の属性や過去の問い合わせ内容を記録し、営業やマーケティング部門とデータを連携することで、店舗での購入履歴やWebサイトのアクセス履歴、会員情報などの管理を効率化できます。

IVR

IVR(Interactive Voice Response)とは、音声自動応答システムのことです。問い合わせの電話をかけてきた顧客に対し、「商品に関するお問い合わせは1番、価格に関するお問い合わせは2番を押してください」といった、機械による自動案内を行えます。

顧客のプッシュボタンの操作に合わせてオペレーターや担当部署が振り分けられるため、対応時間の短縮につながります。

ACD

ACD(Automatic Call Distribution)は、事前に設定したルールに従って、着信した電話を適切なオペレーターに振り分けるシステムです。オペレーターの稼働状況やスキルなどの条件を事前に設定しておくことで、問い合わせ内容に応じた最適なオペレーター、もしくは担当部署に自動で振り分けることが可能です。

クラウドIP電話

クラウドIP電話とは、インターネット回線を利用して通話できるサービスのことを指します。固定電話のような電話網を通じた音声の伝送ではなく、データ化した音声をインターネット上でやり取りすることで、ブラウザ上で通話可能です。場所を問わずに電話業務ができることから、テレワークにも適しています。

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ボイスボット

ボイスボット顧客からの問い合わせに対し、音声認識AIが自動で応答することによってオペレーターの電話業務を代行するシステムを指します。AIが人間の音声を自動認識し、その音声にもとづいた電話対応を行うことから、電話の自動応答システムの一種とも言えます。

あらかじめシナリオを設定しておくという点ではIVRと同じですが、IVRの場合はあくまで決められた音声ガイダンスを流すだけで、顧客からのプッシュ信号がなければ次のフローへの案内を行いません。一方でボイスボットは、AIが顧客の会話内容をリアルタイムで解析して、その内容に適したシナリオに沿って会話形式で手続きを進めます。リアルタイムでのコミュニケーションが可能なため、顧客にかかるストレスを軽減できるのです。

顧客の自己解決を促すことから、人的リソースの削減につながるのはもちろん、顧客満足度の向上にも貢献するでしょう。

電話のDX化におけるメリット

電話のDX化におけるメリット

電話のDX化によってどのようなメリットが生まれるのか、詳しく見ていきましょう。

電話対応の工数削減につながる

従来の電話業務では、すべての問い合わせが自社に寄せられる都合上、顧客対応や取次などに追われて本来の業務に支障をきたすケースが少なからずありました。そこでIVRを導入し、初期対応を自動化すれば、顧客が自己解決できるような問い合わせを無人対応で完結させられるようになります。

またCTIとCRMの連携などにより、電話がかかってきた瞬間にリアルタイムで顧客情報を表示させることが可能です。これによりどのオペレーターが対応することになったとしても、過去の通話履歴などを参照し、スムーズに課題解決へと移行できます。顧客が同じ説明を何度もする手間を省けるでしょう。

人件費や機器代金などのコストを削減できる

IVRやボイスボット・チャットボットを活用することで、オペレーターが対応しなければならない問い合わせの件数を削減できます。結果として、電話対応に必要な人員を減らせるようになるでしょう。

またクラウドIP電話を導入することにより、主装置が不要になるほか、インターネット回線を利用して通話ができるようになります。機器代金はもちろん、社内における通話料金の削減にもつながります。

サービス品質の向上により顧客満足度が高まる

電話業務のDX化は、顧客満足度の向上にもつながります。

IVRを活用して最適なオペレーターへ振り分けられるようにすることで、顧客の待機時間を短縮するとともに、迅速に回答を行うことが可能となります。これにより、顧客が電話口で待たされる不満やストレスを軽減することができるでしょう。

またCRMを導入すれば、電話番号から自動的に顧客情報を照合し、年齢・性別・住所、購入履歴や過去の問い合わせ内容も即座に確認できます。情報を社内で共有しやすくなるため、属人化の解消やサービス品質の向上にもつながります。

人的ミス・電話対応のクレーム減少につながる

通話内容をメモに取る従来の方法は、正確な記録が残りにくく、記入ミスや情報の漏れが原因でトラブルが発生しやすいという課題がありました。

このような課題は、自動音声録音や自動文字起こしを活用したDX化によって解消が可能です。正確な情報管理や効率的な顧客対応、ミスの削減につながり、クレームの予防にもなります

また情報が社内へスムーズに共有されるようになることで、「言った・言わない」といったトラブルも減少できます。

テレワークなどの働き方に対応できる

電話のDX化は、テレワークなど柔軟な働き方の推進を後押しします。

クラウドIP電話を導入すれば、インターネット環境が整った場所ならどこでも会社宛の電話に対応できます。特別な機械を購入する必要もなく、アプリをインストールするだけで簡単に利用可能です。電話対応のためだけに出社する必要がなくなることから、テレワークと相性のよいサービスだと言えるでしょう。

BCP対策につながる

従来のビジネスフォンは、外線・内線機能を利用するためにPBXと電話端末を事務所内に設置する必要がありました。しかしこの場合、自然災害などにより社員の出勤が困難になった際に電話業務の継続が難しくなる、といったリスクを避けられません。

クラウドPBXなら、インターネット環境があればどこからでも電話対応が可能です。さらに顧客情報をクラウド上で一括管理することで、オフィスのサーバーダウンによるデータ紛失リスクも低減できます。

今後起きると予想される「南海トラフ地震」などの災害リスクを考慮すると、DX化によるリスクヘッジは必要不可欠と言えるでしょう。

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電話のDX化を進める流れ

電話のDX化を進める流れ

電話業務のDX化を進める手順について、詳しく見ていきましょう。

1.DX化の目的の明確化

まずは、自社で電話のDX化を進める目的を明確にすることが重要です。現状の課題を把握し、それに応じた具体的な目標を設定しましょう。部署ごとに異なる課題を抱えている場合もあるため、各部署や従業員の役割ごとに課題を洗い出すことが大切です。

DX化を検討するうえでは、たとえば「後処理時間の長さによるあふれ呼の増加」「重要度の低い電話対応がコア業務を圧迫している」などの課題が考えられます。

2.電話業務内容の整理

次に、電話業務内容を整理し、過負荷になっている業務を洗い出します。受電内容ごとに業務の優先度や難易度の高さ、対応内容が定型・非定型かを分類し、DX化を優先すべき業務を見極めましょう。

また業務フローを可視化することで、業務上の問題点や無駄な工程が明確になります。業務フローの可視化には従業員へのヒアリングが一般的ですが、通常業務の負担にならないよう、配慮して実施することが大切です。

3.DX化ツール・サービスの選定

DX化の目的や現在の課題、業務の優先度に応じて、導入するツールやサービスを選定します。たとえば顧客情報の管理を効率化するならCRM、オペレーター業務の負担を軽減するならIVRやチャットボットが有効です。

選定時には、事業拡大を見据えた拡張性、顧客満足度向上への貢献度、初心者でも操作しやすいかといった点を考慮することがポイントです。

4.DX化の実装計画の策定

ツールを選定したら、DX化の実装計画を立案します。必要なコストや人員などのリソースを明確にしたうえで、実施スケジュールを立てていきましょう

なお計画時には、従業員の負担を配慮することも大切です。新しいシステムへの移行や業務フローの適応には一定の時間がかかるため、一斉にDX化を進めると混乱を招き、離職リスクや業務効率の低下につながる恐れがあります。

無理のないスケジュールを立て、段階的に導入を進めましょう。

5.社内体制の構築・従業員の育成

電話のDX化を進めるには、マネジメントを担う人材、電話業務に精通した人材、ITの専門知識を持つ人材が必要です。そのため、DX推進プロジェクトの立ち上げが重要になります。

デジタル人材が不足している場合は、社内での育成や新たな採用を検討し、必要なスキルを持つ人材の確保が求められます。また、デジタル人材を持つ外部企業と連携することも一案です。

6.DX化の実装・定期的な改善

社内体制の構築が完了したら、いよいよDX化を実施します。

トラブルを防ぐために、まずは一部の業務でテスト運用を行います。そのうえで問題がなければ、本格導入へと進めていきましょう

実装後は定期的にシステムを評価し、必要に応じて改善することが重要です。事前に決めたスケジュール通りに進んでいるか、顧客の反応はどうかなどをヒアリングし、分析・改善を行います。

その後は必要に応じてツールやサービスの設定を見直したり、オプション機能を活用したりしながら最適化を図ります。

電話業務をDX化するツール・サービスの選定のポイント

電話業務をDX化するツール・サービスの選定のポイント

電話のDX化にあたって、ツールやサービスを選定する際のポイントをご紹介します。

コストと機能性のバランス

ツールやサービスを実装すると、初期費用だけでなくランニングコストも発生します。少しでもコストを抑えようと、料金の安いツールやサービスを選びたくなるかもしれません。

しかし料金の安さを優先しすぎると、自社に必要な機能が不足していたり、既存システムと連携できなかったりして、期待した効果を得られない可能性があります。

料金が多少高かったとしても、自社のDX化の目的に即したツールを選んだ方が追加のシステム導入が不要になるため、結果的にコストを抑えられるでしょう。たとえばクラウドIP電話のスコアリング機能や外部SFAと連携できる機能は、その有無によって業務効率を大きく左右する機能です。

ツールを選定する際は、費用対効果を総合的に判断し、機能性とのバランスを見極めることが重要です。

セキュリティ

電話業務では顧客や取引先の個人情報、企業の秘匿情報を扱うため、堅牢なセキュリティ対策が必要です。

特にクラウド上で顧客情報を管理する場合、ハッキングや情報漏洩のリスクが伴います。DX化は業務効率の向上に寄与する一方で、セキュリティリスクも内包しているため、充分な対策が求められます。

導入するツールやサービスのセキュリティ対策や、提供ベンダーの信頼性を事前にリサーチし、慎重に比較・検討しましょう。

サポート体制

DX化を実現するツールやサービスには、専門知識が必要なものも少なくありません。特に導入直後は操作に慣れておらず、自社だけでは運用が難しい場面に直面する可能性があります。

このような事態に備えて、サポート体制が充実したサービスを選ぶのがおすすめです。具体的には、ベンダーのホームページに充実したFAQが用意されているか、サポートデスクの対応が受けられるかを事前に確認しておきましょう。

充分なサポート体制があるサービスであれば、トラブルが発生した際にも迅速な対応が可能になり、オペレーターが不安を抱えることなくDX化を推進することが可能です。また、サポートが手厚いサービスならトラブルが発生した際にも速やかに対応できるため、信頼の低下を回避することができるでしょう。

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「MiiTel」のご紹介

MiiTel

MiiTelは音声解析AIを搭載したクラウドIP電話&クラウドコールセンターサービスです。PCとヘッドセット、インターネット環境さえ整っていれば、固定電話いらずでどこからでもクリアな音質で通話できます。

また独自機能として、音声解析AIを活用した通話内容の録音、文字起こし、内容要約、感情分析をすべて自動で行えます。これにより担当者が顧客と「何を」「どのように」話しているのかを解析・可視化でき、電話応対の課題であるブラックボックス化を解消できます。

さらに応対記録を自動でデータ化できるため、議事録作成や報告といった事務作業の工数を減らせます。担当者がコア業務へ注力できるほか、蓄積されたデータをもとにしたセルフコーチングも可能です。さらに成績優秀者の話し方を分析してマニュアル化することで応対品質の向上や均一化も実現。生産性はもちろん、商談獲得率や成約率の向上にもつながるでしょう。

クラウドIP電話やクラウドコールセンターの導入を検討されている方は、ぜひ一度MiiTelをお試しください。

まとめ

電話業務のDX化には、業務効率の向上やコスト削減、顧客満足度の向上など、さまざまなメリットがあります。テレワークへの対応やBCP対策にもつながるため、今後も重要性が高まっていくでしょう。

DX化を推進する際には、目的の明確化や現状の棚卸し、適切なツール・サービスの選定、計画的な実装が求められます。また、コストと機能性のバランスやセキュリティ、サポート体制などについて考慮することが必要です。

自社の電話業務に課題を感じているのなら、音声解析AIを搭載したクラウドIP電話&クラウドコールセンターサービスMiiTelをご活用ください。

MiiTelは、通話の録音・文字起こし・要約・感情分析を自動化し、通話内容を可視化することで、オペレーターの応対品質向上や業務の効率化を実現します。電話業務のDX化をスムーズに進め、より生産性の高い環境の実現を目指すなら、MiiTelをぜひご検討ください。

執筆者情報

KDDIウェブコミュニケーションズ
KDDIウェブコミュニケーションズ
2013年に、日本ではまだ黎明期であったCPaaSの取り扱いを開始。CPaaSやCCaaSなどコミュニケーションのDXの専門家として、「コミュニケーションの多様性」を活用するための記事をお届けします。


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