
DX化による業務効率化の取り組みは、電話業務にも普及しているのが現状です。電話業務のDX化には、電話対応の効率化や、人件費の削減、ミスの防止など、さまざまなメリットがあります。
この記事では、電話のDX化の概要を解説したうえで、実現するためのシステム・サービスや、実施するメリット、推進の流れ、選定のポイントなどについてご紹介します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスを変革し、競争力を高めることです。電話業務のDX化とは、デジタル技術を活用して電話業務を効率化・自動化することを指します。
例えば、登録済みの電話番号を自動で担当者へ転送する機能や、AIを活用した自動応答システムの導入なども、電話のDXの一種です。こうした取り組みは、銀行やコールセンター、病院、ホテルなど、さまざまな業界で広がっています。
電話のDX化を実現するには、さまざまなシステムやサービスが活用されます。そのなかでも代表的なものは、以下のとおりです。
それぞれのシステム・サービスの詳細について解説します。
CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話やFAXなどの通信回線とパソコンを統合する技術・システムのことです。CTIを導入すると、パソコンの画面上で電話やFAXの受発信が可能になり、業務の効率化が図れます。
さらに、通話録音や自動文字起こし、自動要約などの機能により、対応履歴をテキストデータとして蓄積できます。VOC(Voice of Customer)の収集が容易になり、オペレーターの応対品質向上にも活用が可能です。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客情報を一元管理し、分析・活用するためのツールです。顧客の属性や過去の問い合わせ内容を記録し、営業やマーケティング部門とデータを連携することで、店舗での購入履歴やWebサイトのアクセス履歴、会員情報などの管理を効率化できます。
IVR(Interactive Voice Response)とは、音声自動応答システムのことです。「商品に関するお問い合わせは1番、価格に関するお問い合わせは2番」のように、機械による自動案内を行うことができます。
顧客のプッシュボタンの操作に合わせてオペレーターや担当部署が振り分けられるため、対応時間の短縮につながります。
ACD(Automatic Call Distribution)は、事前に設定したルールに従って、着信した電話を適切なオペレーターに振り分けるシステムです。オペレーターの稼働状況やスキルなどの条件を事前に設定しておくことで、問い合わせ内容に応じた最適なオペレーター、もしくは担当部署に自動で振り分けることが可能です。
クラウドIP電話とは、インターネット回線を利用して通話できる機能です。固定電話のような電話網を通じた音声の伝送ではなく、データ化した音声をインターネット上でやり取りすることで、ブラウザ上で通話ができます。場所を問わずに電話業務ができることから、テレワークにも最適です。
ボイスボットやチャットボットは、顧客の問い合わせに自動で回答するサービスです。ボイスボットは音声を、チャットボットはテキストを、それぞれ用います。
あらかじめ設定したシナリオやAI機能を活用し、蓄積したナレッジから最適な回答を提供できるため、人的リソースの削減が可能です。顧客の自己解決を促すため、顧客満足度の向上にもつながります。
電話のDX化には、主に以下のようなメリットがあります。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう
IVRによる自動振り分けを導入すれば、同一の顧客に同じオペレーターが対応できるようになり、重複した説明の手間が省けます。
また、従来の電話業務では、自社にかかってくる営業電話への対応が、本来の業務に支障をきたすことがありました。電話のDX化による自動化を進めれば、営業電話への対応が不要になり、業務の効率化につながります。
IVRやAIを活用すれば、オペレーターの対応が不要になり、電話対応に必要な人員も削減できます。また、クラウドIP電話を導入することで主装置が不要になり、インターネット回線も利用できることから、社内間の通話料金の削減にもつながります。
電話業務のDX化は、顧客満足度の向上にもつながります。
例えば、自動音声応答を活用すれば待機時間を短縮し、顧客が迅速に回答を得られるようになるため、対応待ちによる不満やストレスの軽減にも効果的です。
また、CRMを導入すれば、電話番号から自動的に顧客情報を照合し、年齢・性別・住所、購入履歴や過去の問い合わせ内容も即座に確認可能です。情報を社内で共有しやすくなり、属人化の解消やサービス品質の向上にもつながります。
一方、顧客も何度も同じ内容を説明する必要がなくなることから、スムーズな対応を受けられるというメリットがあります。
通話内容をメモに取る従来の方法は、正確な記録が残りにくく、記入ミスや情報の漏れが原因でトラブルが発生しやすいという課題がありました。
このような課題は、自動音声録音や自動文字起こしを活用したDX化によって解消が可能です。正確な情報管理や効率的な顧客対応、ミスの削減につながり、クレームの予防にもなります。
また、情報が社内へスムーズに共有されるようになることで、「言った・言わない」といったトラブルも減少できます。
電話のDX化は、テレワークなど柔軟な働き方の推進を後押しします。例えば、クラウドIP電話を導入すれば、インターネット環境が整った場所ならどこでも会社宛の電話に対応できます。電話対応のためだけに出社する必要がなくなるため、テレワークと相性の良いサービスです。特別な機械を購入する必要がなく、アプリをインストールするだけで簡単に利用可能です。
従来のビジネスフォンは、外線・内線機能を利用するためにPBXと電話端末を事務所内に設置する必要がありました。この方法は、事務所が被災したり、社員の出勤が困難な状況になったりすると、電話業務の継続が難しくなるという課題があります。
クラウドPBXなら、インターネット環境があればどこからでも電話対応が可能です。さらに、顧客情報をクラウド上で一括管理することで、オフィスのサーバーダウンによるデータ紛失リスクも低減できます。
今後起きると予想される「南海トラフ地震」などの災害リスクを考慮すると、DX化によるリスクヘッジは必要不可欠といえるでしょう。
電話業務のDX化を進めるには、以下の手順を踏む必要があります。
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
まずは、自社で電話のDX化を進める目的を明確にすることが重要です。現状の課題を把握し、それに応じた具体的な目標を設定しましょう。部署ごとに異なる課題を抱えている場合もあるため、各部署や従業員の役割ごとに課題を洗い出すことが大切です。
例えば、「後処理時間の長さによるあふれ呼の増加」「重要度の低い電話対応がコア業務を圧迫している」などの課題が考えられます。
次に、電話業務内容を整理し、過負荷になっている業務を洗い出します。受電内容ごとに、業務の優先度や難易度の高さ、対応内容が定型・非定型かを分類し、DX化を優先すべき業務を見極めましょう。
また、業務フローを可視化することで、業務上の問題点や無駄な工程が明確になります。業務フローの可視化には従業員へのヒアリングが一般的ですが、通常業務の負担にならないよう、配慮して実施することが大切です。
DX化の目的や、現在の課題、業務の優先度に応じて、導入するツールやサービスを選定します。例えば、顧客情報の管理を効率化するならCRM、オペレーター業務の負担を軽減するならIVRやチャットボットが有効です。
選定時には、事業拡大を見据えた拡張性、顧客満足度向上への貢献度、初心者でも操作しやすいかといった点を考慮することがポイントです。
ツールを選定したら、DX化の実装計画を立案します。必要なコストや人員などのリソースを明確にしたうえで、実施スケジュールを立てていきましょう。
計画時には、従業員の負担を配慮することも大切です。新しいシステムへの移行や業務フローの適応には一定の時間がかかるため、一斉にDX化を進めると混乱を招き、離職リスクや業務効率の低下につながる恐れがあります。
無理のないスケジュールを立て、段階的に導入を進めましょう。
電話のDX化を進めるには、マネジメントを担う人材、電話業務に精通した人材、ITの専門知識を持つ人材が必要です。そのため、DX推進プロジェクトの立ち上げが重要になります。
デジタル人材が不足している場合は、社内での育成や新たな採用を検討し、必要なスキルを持つ人材の確保が求められます。また、デジタル人材を持つ外部企業と連携することも一案です。
社内体制の構築が完了したら、いよいよDX化を実施します。
トラブルを防ぐために、最初からすべての業務に導入するのではなく、まずは一部の業務でテスト運用を行い、問題がなければ本格導入へと進めていきましょう。
実装後は、定期的にシステムを評価し、必要に応じて改善することが重要です。事前に決めたスケジュール通りに進んでいるか、顧客の反応はどうかなどをヒアリングし、分析・改善を行います。
その後は必要に応じてツールやサービスの設定を見直したり、オプション機能を活用したりしながら最適化を図ります。
電話のDX化にあたって、ツールやサービスを選定する際は、下記のポイントを押さえておきましょう。
順番に解説していきます。
ツールやサービスを実装すると、初期費用だけでなくランニングコストも発生します。少しでもコストを抑えようと、料金の安いツールやサービスを選びたくなるかもしれません。
しかし、料金の安さを優先しすぎると、自社に必要な機能が不足していたり、既存システムと連携できなかったりして、期待した効果を得られない可能性があります。
料金が多少高かったとしても、自社のDX化の目的に即したツールを選んだ方が、追加のシステム導入が不要になり、結果的にコストを抑えられるでしょう。例えば、クラウドIP電話のスコアリング機能や、外部SFAと連携できる機能は、その有無によって業務効率を大きく左右する機能です。
ツールを選定する際は、費用対効果を総合的に判断し、機能性とのバランスを見極めることが重要です。
電話業務では、顧客や取引先の個人情報、企業の秘匿情報を扱うため、堅牢なセキュリティ対策が必要です。
特にクラウド上で顧客情報を管理する場合、ハッキングや情報漏洩のリスクが伴います。DX化は業務効率の向上に寄与する一方で、セキュリティリスクも内包しているため、十分な対策が求められます。
導入するツールやサービスのセキュリティ対策や、提供ベンダーの信頼性を事前にリサーチし、慎重に比較・検討しましょう。
DX化を実現するツールやサービスには、専門知識が必要なものも少なくありません。特に導入直後は操作に慣れておらず、自社だけでは運用が難しい場面に直面する可能性があります。
このような事態に備えて、サポート体制が充実したサービスを選ぶのがおすすめです。具体的には、ベンダーのホームページに充実したFAQが用意されているか、サポートデスクの対応が受けられるかを事前に確認しておきましょう。
十分なサポート体制があるサービスであれば、トラブルが発生した際にも迅速な対応が可能になり、オペレーターが不安を抱えることなくDX化を推進することが可能です。また、サポートが手厚いサービスならトラブルが発生した際にも速やかに対応できるため、信頼の低下を回避することができるでしょう。
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さらに応対記録を自動でデータ化できるため、議事録作成や報告といった事務作業の工数を減らせます。担当者がコア業務へ注力できるほか、蓄積されたデータをもとにしたセルフコーチングも可能です。さらに成績優秀者の話し方を分析してマニュアル化することで応対品質の向上や均一化も実現。生産性はもちろん、商談獲得率や成約率の向上にもつながるでしょう。
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電話業務のDX化には、業務効率の向上やコスト削減、顧客満足度の向上など、さまざまなメリットがあります。テレワークへの対応やBCP対策にもつながるため、今後も重要性が高まっていくでしょう。
DX化を推進する際には、目的の明確化や現状の棚卸し、適切なツール・サービスの選定、計画的な実装が求められます。また、コストと機能性のバランスやセキュリティ、サポート体制などについて考慮することが必要です。
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