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インサイドセールスにおけるKPIとは?代表的な指標や効果的な運用ポイントを解説

公開日:2025.05.16

更新日:2025.05.16

KDDIウェブコミュニケーションズ

インサイドセールスにおけるKPIとは?代表的な指標や効果的な運用ポイントを解説

インサイドセールスの業績を向上させるためには、適切なKPIを設定して運用していくことが欠かせません。しかしインサイドセールスにおけるKPIとは何なのか、どのように設定すればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、インサイドセールスの代表的なKPIの項目や設定する際の手順、効果的な運用のポイントなどについて解説します。インサイドセールスの業績向上にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

インサイドセールスにおけるKPIの重要性

インサイドセールスにおけるKPIの重要性

KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)は、目標達成の進捗状況を測定するための数値基準です。現在の業績を評価・管理することによって、目標達成までの過程が可視化され、具体的な行動計画を立てやすくなります。

特にインサイドセールスにおいては、ボトルネックや目標達成の進行状況を把握するために不可欠なものです。またKPIがあることによって進捗状況をチーム内や部署間で簡単に共有できるようになるため、業務の効率化や生産性の向上も期待できるでしょう。

さらにインサイドセールス部門に限らず、マーケティング部門やフィールドセールス部門、カスタマーサクセス部門なども一丸となって動く「THE MODEL型組織」においては、ファネル全体のボトルネックを把握するうえでもKPIが役立ちます。

インサイドセールスのKPI項目

インサイドセールスのKPI項目

インサイドセールスにおけるKPIは、目的やフェーズに応じて設定するとよいでしょう。ここではインサイドセールスを3つのフェーズに分け、それぞれの具体的なKPI項目を紹介します。

顧客へのアプローチ

顧客へアプローチするフェーズでのKPI項目は次のとおりです。

KPI項目

概要

架電数・メール配信数

顧客に対して架電をした回数およびメールの配信数

接続率

架電した見込み客に電話がつながった割合

開封率

見込み顧客に配信したメールが開封された割合

ターゲット接続数・接続率

特定のターゲットとの連絡が確立した件数およびその割合

フォローアップ数

見込み客に対し、電話やメールなどを通じて追加でアプローチをした回数

コネクタ数・コネクト率

フォローアップを実施した結果、実際に見込み客に情報提供や追加の質疑応答を行った回数およびその割合

有効会話数

見込み客に接触し、実際に会話が成立して顧客の課題感や興味をヒアリングできた数

 

架電数・メール配信数

架電数・メール配信数は、顧客に対して架電をした回数およびメールを配信した数を示す指標です。

主に「どのくらい電話をかけられたか」「どれくらいメールを送れたか」という行動量を測る指標であるため、インサイドセールスを始めたばかりの時期や、充分なデータがまだ集まっていない段階での使用に適しています。

なお、1時間当たりの架電数を算出する場合、以下の計算式となります。

1時間あたりの架電数=1日の架電数÷稼働時間×1時間

接続率

接続率は、どれだけ見込み客に電話がつながったかを示す指標です。行動量に加え、その行動が生み出した効果を測定できます。

電話の着信回数は、コンタクトを取るタイミングにより変動することが多いため、施策改善に役立つ指標としても効果的でしょう。

以下の計算式から算出されます。

接続率=接続した電話の件数÷架電数

開封率

開封率は、見込み顧客に配信したメールがどの程度の割合で開封されたかを示す指標です。インサイドセールスの手法としてメールマーケティングを採用する場合、開封率が高いほど顧客との接触効果が高くなります。

計算式は以下のとおりです。

開封率=(開封数÷配信成功数)÷100

ターゲット接続数・接続率

ターゲット接続数とは、特定のターゲットとの連絡が確立した件数のことです。具体的には着電数やDMの返信数、メールの返信数などが含まれます。「アプローチ対象と直接つながることができたか」を基準に判断し、経過指標として活用するとよいでしょう。

ターゲット接続率は、以下のように算出します。

ターゲット接続率=ターゲットに対する架電数やDM・メール配信数の総数÷接続数

大手企業の社長や役員にアプローチする場合、ほとんどのケースでは受付や秘書を経由するため、直接本人につなげてもらえることは稀です。そのためターゲットの業種や職種によって接続率は変動しますが、基本的に接続できる確率は低いと想定し、戦略的にアプローチを進めることが肝心です。

フォローアップ数

フォローアップ数とは、見込み客に対して、電話やメールなどを通じて追加でアプローチをした回数を指します。

「フォローアップのためにアプローチをした回数」を指すため、仮に架電した結果電話がつながらなくても、フォローアップ数は「1」とカウントされます。

コネクタ数・コネクト率

コネクタ数とは、フォローアップを実施した結果、実際に見込み客に情報提供や追加の質疑応答を行った回数です。コネクト率はその割合を示します。

コネクト率=コネクタ数÷フォローアップ数

おおよその目安として、見込み客1社に対して、電話とメールを合わせて3〜5回程度のフォローが一般的です。接触回数が多くなると信頼感が高まるため、接続数やコネクタ数を一定以上確保することが大切です。

有効会話数

有効会話とは、見込み客に接触し、実際に会話が成立して顧客の課題感や興味をヒアリングできた状態を表します

有効会話が成立するかどうかは、架電したタイミングでの顧客の状態にも影響されるため、有効会話率をKPIとして追求することにはあまり意味がありません。しかしあまりにも有効会話数が少ない場合は、架電のタイミングやアプローチ内容について見直す必要があるでしょう。

商談獲得

次に、商談を獲得するための指標について見ていきましょう。

KPI項目

概要

商談化件数・商談化率

アポイントメントから実際に新たな商談に進展した回数およびその割合

有効商談数・有効商談率

インサイドセールスによって獲得・育成したリードに対して、フィールドセールスが実際に商談を行い、受注の見込みがあると認定された商談およびその割合

 

商談化件数・商談化率

商談化件数とは、提案機会のアポイントメントから実際に新たな商談に進展した回数です。商談化率はその割合を示します。これにより、初回のアポイントメント時に商談として進められるかどうかを判断します。

商談化率の計算式は以下のとおりです。

商談化率=商談化件数÷接続数

商談化件数および商談化率は、リードを獲得したチャネルによって左右されます。

たとえばホワイトペーパー請求ページから獲得したリードの場合、顧客の興味関心がある程度は高い状態であるため、商談に結びつく可能性が高いです。一方でDM配信や展示会出展によって獲得したリードには、自社に対する興味がさほど高くない人も含まれています。

チャネルごとの特性を踏まえ、KPIを設定するのが望ましいでしょう。

有効商談数・有効商談率

有効商談とは、インサイドセールスによって獲得・育成したリードに対してフィールドセールスが実際に商談を実施し、受注の見込みがあると認定された商談のことを指します。したがって、有効商談かどうかの判断はフィールドセールスが商談を行った後にされます。

インサイドセールスの役割は、非対面手法によってリード獲得およびその育成を行い、受注・商談へとつなげることです。そのためフィールドセールスと連携し、有効商談となったアポイントメントの共通点を把握するなど、協力しながら進めていくことが大切です。

商談・受注

最後に商談・受注に関する指標を見ていきましょう。

KPI項目

概要

パーミッション獲得率

顧客から、自身に対しての営業行為を認められた割合

受注数・受注率

フィールドセールスに引き継がれたリード件数に対して、実際に受注に至った数およびその割合

受注額

インサイドセールスが関与した結果、成約に至った金額

パーミッション獲得率

パーミッション獲得率とは、顧客から、自身に対しての営業行為を認められた割合を示す指標です。いかに有効なリードを確保できたかを表します。

ここで注意すべきなのは、単なる連絡先の入手や接触とは異なる点です。ターゲットとコンタクトが取れたとしても、相手がこちらの商材に関心を持っていない状態で一方的に営業をかけると、迷惑な押し売りになりかねません。

そのためターゲットと連絡が取れた際には、「◯◯という課題に対し、このようなサービスを提供しているため、ご連絡を差し上げてもよろしいでしょうか」といった形で合意を得ることが重要です。この合意が得られて初めてパーミッション獲得が成立します。

受注数・受注率

受注数・受注率は、フィールドセールスに引き継がれたリード件数に対して、実際に受注に至った数およびその割合を示す指標です。

この指標は、営業活動全体におけるインサイドセールスの貢献度を測るために機能します。組織全体の営業実績において、インサイドセールス施策がどれだけ効果的に機能しているかを確認したい場合、有効なKPIとなるでしょう。

受注額

受注額は、インサイドセールスが関与した結果、成約に至った金額のことです。受注数同様、インサイドセールス部門が会社全体に与える貢献度を測るための指標として適しています。

このKPIの達成度が高いほど、インサイドセールスの関与によって商談の質が向上したと評価できます。受注額をKPIとして設定することで、受注額を意識したヒアリング・質疑応答などのアプローチスキル向上も期待できるでしょう。

インサイドセールスのKPI設定の流れ

インサイドセールスのKPI設定の流れ

適切なKPIを設定するためには一定の流れを踏むことが大切です。各手順について、詳しく見ていきましょう。

1.KGIから逆算して必要なKPIを決定する

KPIを設定する際は、現在の状況を基準にするのではなく、ビジネスのうえで最終的に達成すべき目標(KGI=Key Goal Indicator)から逆算して決めることが重要です。全社の事業目標や売上目標を踏まえたうえで、インサイドセールスに求められる成果を明確にし、それに基づいて適切なKPIを設定しましょう。

たとえば「全体目標である受注数のためには商談が必要」→「商談のためにはコネクト数および架電数を確保する必要がある」というように行動を棚卸しして、KPIツリーとして可視化すると効果的です。

ただし目標となるKGIと現状との間には、一定のギャップが存在する可能性があります。そのため過去の実績も考慮しながら、現実的なKPIを設定することを心がけてください。理想を追い求めるあまり、達成が困難なKPIを設定しないよう注意しましょう。

2.KPIの条件や定義を設定・共有する

カウントすべきKPIを設定したら、それを単なる数値目標として定めるのではなく、背景にある条件や定義も含めて関係者間でしっかり共有することが不可欠です。特にフィールドセールス部門やマーケティング部門といった隣接する部署とは、事前に合意を取っておきましょう。

たとえばKPIとして「獲得商談数」を設定する場合、部門間で「商談」の定義を明確にする必要があります。インサイドセールス部門では「商談を設定した」と認識していても、フィールドセールス部門にとってはまだ商談と呼べない段階だった場合、部門間で認識のズレが生じる可能性があるためです。

このような齟齬を防ぐためにも「初回のアポイントメントを商談とする」「提案フェーズに入った段階で商談としてカウントする」など、条件や基準を事前にすりあわせ、KPIシートなどで明文化しておくとよいでしょう。

3.行動指標に落とし込む

KGIから導き出されたKPIは、あくまで成果目標を示す指標です。現場に展開する際は、マネジメントの視点から日々の行動指標として調整し、共有することを推奨します

以下に例を挙げましょう。

  • 量の指標:架電数・メール配信数、フォローアップ数
  • 質の指標:有効会話数、有効商談数

たとえばインサイドセールス部門の立ち上げ初期にもかかわらず、過度に高い目標を設定してしまうと、担当者の負担が大きくなってしまいます。結果として、それが離職リスクにつながってしまうかもしれません。このような状況にならないように、まずは行動量を重視した指標を設定し、段階的に成果目標へシフトしていくことがおすすめです。

インサイドセールスの効果を高めるKPIの運用ポイント

インサイドセールスの効果を高めるKPIの運用ポイント

インサイドセールスの効果を高めるには、適切なKPIを設定するのはもちろん、運用面でもさまざまなポイントを意識する必要があります。ここでは注意したいKPI運用のポイントについて、詳しく解説します。

他部門と連動したKPIを設定する

インサイドセールスの業務は、マーケティング部門から見込み客を受け取り、その顧客を育成することです。そして育成した顧客をフィールドセールスへ引き渡して商談へ進んでもらい、最終的に受注を目指す……というのが全体の流れになります。

そのためKPIの設定・運用は、他部門との矛盾が生じないようにする必要があります。たとえばインサイドセールス部門が「200件の見込み客を育成する」というKPIを設定していたとしても、マーケティング部門の目標が「100件の見込み客を提供する」だった場合、インサイドセールス部門の目標は達成できません。

必ず全社の目標をもとに他部署との目標のすり合わせを行い、各部門の目標に整合性がとれている状態を目指すようにしましょう。

実現可能な数値や期間を定める

あまりにも高すぎる目標を掲げると、担当者が目標の数字にばかり意識を向けてしまいがちになります。KPIを机上の空論にしないためにも、過去の実績を考慮しながら現実的な目標を定め、着実に達成していくことがポイントです。

現在のリソースでは目標達成が難しいと判断される場合は、人員の増強などリソースの拡充についても検討する必要があるでしょう。

PDCAを回して改善・見直しを継続する

KPIは一度決めたら終わりではなく、定期的に見直し、改善していくことが大切です。目標に対して実績を振り返り、課題を分析することで、より成果につながる施策を考えられます

仮に「KPIの達成が難しい」「成果が出ない」と感じたら、設定した数値や項目が適切かどうか見直しましょう。もしかしたら目標が高すぎたり、重要な指標が抜けていたりする可能性があります。

また、KPIの見直しタイミングも決めておくと効果的です。「毎月1回」「目標の70%以下なら再調整」など、ルールを決めることでスムーズにPDCAを回せるでしょう。

ITツールを導入する

インサイドセールスのKPIを適切に管理・運用するためには、各種ITツールの導入が有効です。

たとえばMAツールを活用することで、獲得したリードのリストを自動作成したり、フェーズに基づくアプローチを自動化したりできます。これにより、効果的かつ効率的なKPI運用が可能です。またSFAツールやCRMツールを導入すれば、各顧客ごとに一元的な管理・分析ができ、進捗状況の管理精度向上にも寄与するでしょう。

さらに、各種インサイドセールスツールの効果をより高めるためには、連携可能なクラウドコールセンターシステムの導入がおすすめです。クラウドコールセンターシステムは自動録音や自動文字起こし・要約、オートコール、IVR機能などを備えているものが多く、インサイドセールス業務全体をより効率化できます。またAIによるトーク分析・音声分析機能があるものを選べば、オペレータースキルの向上も期待できます。

効果的なITツールの導入・活用により、各KPI項目の目標達成を大きく後押しできます。結果として、顧客満足度および組織全体の生産性向上につながるでしょう。

クラウドIP電話&クラウドコールセンター
「MiiTel」のご紹介

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MiiTelは音声解析AIを搭載したクラウドIP電話&クラウドコールセンターサービスです。PCとヘッドセット、インターネット環境さえ整っていれば、固定電話いらずでどこからでもクリアな音質で通話できます。

また独自機能として、音声解析AIを活用した通話内容の録音、文字起こし、内容要約、感情分析をすべて自動で行えます。これにより担当者が顧客と「何を」「どのように」話しているのかを解析・可視化でき、電話応対の課題であるブラックボックス化を解消できます。

さらに応対記録を自動でデータ化できるため、議事録作成や報告といった事務作業の工数を減らせます。担当者がコア業務へ注力できるほか、蓄積されたデータをもとにしたセルフコーチングも可能です。さらに成績優秀者の話し方を分析してマニュアル化することで応対品質の向上や均一化も実現。生産性はもちろん、商談獲得率や成約率の向上にもつながるでしょう。

クラウドコールセンターの導入を検討されている方は、ぜひ一度MiiTelをお試しください。

まとめ

本記事ではインサイドセールスにおける代表的なKPIの種類と設定の流れ、効果的な運用ポイントについて解説しました。

インサイドセールスの成果を最大化するためには、適切なKPIの設定と運用が欠かせません。KGIから逆算し、他部門と連携しながら整合性のあるKPIを定め、定期的な見直しを行いましょう。加えてITツールを活用することで、KPI管理の効率化とインサイドセールス業務全体の最適化が可能です。

クラウドコールセンターシステム「MiiTel」は、インサイドセールスに特化した多彩な機能を備えており、KPI達成に大きく貢献します。インサイドセールスの導入を検討している企業におすすめのシステムのため、ぜひチェックしてみてください。

執筆者情報

KDDIウェブコミュニケーションズ
KDDIウェブコミュニケーションズ
2013年に、日本ではまだ黎明期であったCPaaSの取り扱いを開始。CPaaSやCCaaSなどコミュニケーションのDXの専門家として、「コミュニケーションの多様性」を活用するための記事をお届けします。