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コールセンターでのBCP対策とは?重要性や押さえるべきポイントを解説

公開日:2025.03.24

更新日:2025.03.24

KDDIウェブコミュニケーションズ

コールセンターでのBCP対策とは?重要性や押さえるべきポイントを解説

コールセンターは企業と顧客をつなぐ重要な窓口です。そのため、自然災害や感染症の流行などの緊急事態においても、オペレーターの安全を確保しながら業務を継続できる環境整備が求められます。

本記事では、コールセンターにおけるBCP対策の重要性や整備手順、押さえるべきポイントについて解説します。トラブル時でも混乱が起きないようしっかりとチェックしておきましょう。

コールセンターにおけるBCP対策とは

BCP(Business Continuity Plan)とは自然災害や人災、感染症などの非常事態が生じた際に業務を継続するための計画・対策のことです。日本語では「事業継続計画」と訳され、企業がリスクに備えるうえで欠かせない取り組みです。

特に顧客企業にとっては重要な連絡窓口であり、非常時には普段よりも重要性が高くなります。そのため大規模災害やパンデミックの際にも対応が滞らないよう、コールセンターでもBCP対策を講じていかなければなりません。

コールセンターでBCP対策が重要な理由

コールセンターでBCP対策を行うことは非常に重要です。ここではその主な理由3つについて詳しく見ていきましょう。

 

  • 緊急時でも顧客との接点を維持するため
  • オペレーターの安全を確保するため
  • 機密情報を保護するため

緊急時でも顧客との接点を維持するため

コールセンターは企業と顧客をつなぐ重要な窓口であり、非常時でもその役割を維持することが求められます。特に自然災害やパンデミックが生じた際には、多くの企業がその対応を急がなければなりません。そのため、顧客にとってコールセンターは非常時の重要なライフラインとなります。

仮にコールセンターにつながらず、顧客企業がサービスを継続できなくなれば、顧客からの信頼を失うリスクもあるでしょう。そのため、BCP対策によって非常事態発生時の初動や報告経路、人員体制などを整え、速やかな顧客対応を可能にすることが重要です。

オペレーターの安全を確保するため

コールセンター業務を継続するうえで、オペレーターの存在は欠かせません。顧客との接点を維持するだけでなく、オペレーターの安全を確保するためにもBCP対策は大切です。

しかし、コールセンター業務の多くはリモートワークへの対応が進んでおらず、緊急事態発生時でもオフィスへの出社が必要となるケースが少なくありません。

特に、自然災害やパンデミックの発生時には大規模な混乱が生じます。オペレーターを危険にさらさないよう、あらかじめ安全確認や出勤可否の確認経路を整えておかなければなりません。

オペレーターの安全を考慮しながら業務継続を可能にするためにも、あらかじめ非常時の行動を想定し、BCP対策を講じることが大切と言えるでしょう。

機密情報を保護するため

現代ではシステム障害やサイバー攻撃へのBCP対策も重要です。コールセンター業務では、膨大な顧客情報や機密情報を取り扱います。そのため、システム障害やサイバー攻撃が生じれば、業務が中断するリスクが高くなるのです。

特にサイバー攻撃によって情報漏洩が生じれば、業務停止だけでなく顧客とのトラブルに発展し、大規模な訴訟、損害賠償の発生につながる恐れがあります。

こうしたリスクを防ぐためには、障害・攻撃への予防策として定期的なバックアップやセキュリティソフトの導入が必要になります。さらに予備の通信手段や代替システムの導入、被害発生時の対応マニュアルの整備等のBCP対策を講じることが重要です。

コールセンターのBCP対策で押さえておくべき要素

コールセンターのBCP対策を進めるにあたっては、いくつかの重要な要素があります。ここでは、押さえておくべきポイントを3つ見ていきましょう。

  • 多拠点化
  • 在宅化
  • ノンボイス化・セルフサービス化

多拠点化

多拠点化を進めることで、一極集中のリスクを回避し、業務停止の可能性を分散できます。このように一極集中を避けることは業務継続の基本となる考え方です。例えば、関東圏において災害が発生し業務停止に追い込まれたとしても、関西圏に別拠点を設けておけば業務を継続できるでしょう。

ただし、拠点を分散することで、各拠点の連携がより重要になります。拠点同士で連携を図り業務を補完できる仕組みを構築するとともに、サイバーリスクに備えたセキュリティ体制の強化が必要です。

在宅化

在宅化とは、オペレーターがオフィスに出社しなくても顧客対応可能な仕組みを構築することです。具体的には、自宅に顧客対応に必要な機器を持ち込む、コミュニケーションツールや出勤管理システムを導入して管理体制を整えるなどの方法で実現できます。

先にあげた多拠点化は、一部拠点が業務停止に追い込まれた際の対応策としては有効です。しかし大規模災害や感染症流行など、国内全域に影響が及ぶ事態の際には、在宅化がより効果を発揮します。

在宅勤務を導入することで、従業員の安全を確保しながら、コールセンター業務の継続を実現できます。

ノンボイス化・セルフサービス化

ノンボイス化とは、電話対応に加え、メール・チャット・SMS・SNSなどのテキストベースの対応手段を導入することです。災害時には通話規制や通信障害が発生しやすく、電話対応が困難になるリスクがあります。そこでノンボイス化を進めることで、電話以外での顧客とのコミュニケーション手段を確保できるのです。

また感染症の流行時や人手不足の際にも業務を継続しやすく、先にあげた在宅化とも相性が良い点もメリットです。さらに、顧客が自己解決できる環境を整えることで、平常時の顧客満足度の向上も期待できます。

チャットボットやFAQの充実、セルフサービスの導入によって顧客が自ら問題を解決できる仕組みを構築すれば、非常時の対応力向上にも効果的です。

コールセンターにおけるBCP対策の策定手順

BCP対策の策定にあたっては、一定の手順を踏む必要があります。ここでは、コールセンターにおけるBCP対策の策定手順4つを見ていきましょう。

  • 優先して対応すべき業務の選定
  • 具体的な運用体制・ルールの策定
  • 勤務環境の整備
  • システム・設備の導入

優先して対応すべき業務の選定

災害や感染症発生時には建物の損壊や交通機関の停止、人手不足などさまざまな影響が生じます。この中ですべての業務を通常通り継続するのは非常に困難です。まずは人手や情報、物資などのリソースが平常時より少ない状況で、優先すべき業務を見極めておくことが大切です。

カスタマーサポートを最優先し、営業アウトバウンド業務を一時停止するなど、センターの特性に応じた対応を検討しましょう。特に顧客の生活に直結する業務は優先度を高く設定し、早期復旧のための対策を講じることが求められます。

具体的な運用体制・ルールの策定

BCP対策では具体的な運用体制・ルールの策定が重要です。非常時に迅速かつスムーズに対応できるよう、事前に以下の点を決めておくとよいでしょう。

  1. 従業員の連絡体制の確立
    安否確認や出社可否の連絡体制を確立し、自宅待機・他拠点出勤などの対応方針を定める

  2. 非常時の運用フロー策定
    出勤できない従業員が多い場合の業務継続手順や、拠点間の連携方法を定める

  3. 指揮系統の明確化
    非常時に誰が指示を出すのかを定めておくことで、混乱を防ぐ

加えて、感染症対策としてマスク着用や消毒の徹底のルール化も行います。また、サーバー攻撃や災害時の設備面での対策としては、通信回線の強化やシステムのバックアップ体制の整備等も重要です。

具体的にルールを定めることで、非常事態の発生リスクを低減できるとともに、万が一の際にも安定した運営を実現できます。

勤務環境の整備

具体的な運用ルールを確定したら、勤務環境を整備します。局地的なエリア災害に対しては多拠点化、より広域なリスクへの対策であれば在宅化が有効です。

また非常時でも業務を継続できるよう、十分な人材を確保できているか確認することも大切です。必要に応じてパートタイマーやアルバイトの採用などを検討し、人材育成を進めましょう。

システム・設備の導入

最後に緊急事態にコールセンターを運営できるように、自社に合ったシステムを導入します。例えば個人情報保護が可能なクラウドサーバーや、災害時の人的リソースを最小化するためのAI対応システムなどが挙げられます。

そのほか、ノンボイス化・セルフサービス化を推進するために、チャットボットやFAQの導入も効果的です。

コールセンターのBCP対策を効果的に進めるポイント

BCP対策を効果的に進めるにはいくつかのポイントを押さえて効果的にする必要があります。ここでは、コールセンターのBCP対策における4つのコツを見ていきましょう。

  • クラウド型のコールセンターシステムを導入する
  • セキュリティ環境の整備を徹底する
  • スタッフのメンタルケアを忘れない
  • 定期的なシミュレーション実施する

クラウド型のコールセンターシステムを導入する

コールセンターのBCP対策では、クラウド型システムの導入が有効です。オンプレミス型システムでは、災害時に電源の喪失やサーバーの破損が発生すると、業務継続が困難になります。

クラウド型システムを導入していれば、場所を選ばず情報の管理・閲覧ができます。特にクラウドIP電話を実装すると、効率的な他拠点化・在宅化への対応が可能です。インターネットとパソコンがあればどこでも顧客対応が可能なため、オペレーターの出社は不要になります。

安全性を確保しながら顧客接点の維持を実現できるため、非常事態の発生範囲に関わらず有効なBCP対策です。優先的に検討してみましょう。

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セキュリティ環境の整備を徹底する

コールセンターは顧客情報や相談内容など機密性の高い情報を扱うため、事業が継続できても情報漏洩が発生すれば大きな信用問題になります。そのため、BCP対策ではセキュリティ環境の整備が重要です。非常時でも情報を適切に管理できる体制を整えておきましょう。

特に拠点を分散する場合は各拠点のセキュリティ環境を統一し、顧客情報の取り扱いに関する明確なルールの策定が必要です。

災害時や緊急事態では平時のような細やかな注意が行き届かないこともあります。「どんな状況でも顧客情報の保護を最優先する」という意識を徹底し、セキュリティ対策を強化しておくことが求められるでしょう。

スタッフのメンタルケアを忘れない

災害や緊急事態の際にオペレーターは業務の継続が困難になるだけでなく、精神的なストレスや不安を抱えることが多くなります。そのためオペレーターのメンタルケアも重要な要素です。

自身や家族の安全が脅かされる状況では、通常の業務に復帰することが難しくなります。そのような状況下でも適切に対応できるサポート体制を整えることが必要です。

具体的には以下が効果的です。

  • 相談窓口の設置
  • メンタルケア専門家の確保
  • 緊急時の給与保証などの金銭的支援

コールセンターを円滑に運営するためにも、オペレーターが安心して業務に取り組める環境確保も優先的に行いましょう。

定期的なシミュレーションを実施する

災害や緊急事態が発生した際、迅速かつ的確に対応するためには、日頃から避難訓練やBCP訓練を行い、対応フローをしっかりと理解することが大切です。

具体的には、地震や台風、サイバー攻撃などのリスクごとにシナリオを作成し、時系列に沿って避難や復旧のシミュレーションを実施します。実際の対応フローを把握でき、課題や改善点を発見できるでしょう。

訓練結果をもとにBCPを随時見直し、より実効性の高い対策へとブラッシュアップしていきましょう。

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また独自機能として、音声解析AIを活用した通話内容の録音、文字起こし、内容要約、感情分析をすべて自動で行えます。これにより担当者が顧客と「何を」「どのように」話しているのかを解析・可視化でき、電話応対の課題であるブラックボックス化を解消できます。

さらに応対記録を自動でデータ化できるため、議事録作成や報告といった事務作業の工数を減らせます。担当者がコア業務へ注力できるほか、蓄積されたデータをもとにしたセルフコーチングも可能です。さらに成績優秀者の話し方を分析してマニュアル化することで応対品質の向上や均一化も実現。生産性はもちろん、商談獲得率や成約率の向上にもつながるでしょう。

クラウドコールセンターの導入を検討されている方は、ぜひ一度MiiTelをお試しください。

まとめ

コールセンターのBCP対策は、緊急時に機密情報を保護しつつ顧客との接点を維持できるうえ、オペレーターの安全を確保するためにも不可欠です。各手順を理解し、着実に体制を整えておきましょう。

また、クラウド型システムの導入、セキュリティ環境の整備、スタッフのメンタルケア、定期的なシミュレーションの実施なども重要なポイントです。コールセンターのBCP対策を適切に行うことで、非常事態においても業務継続と顧客満足度向上の両立を実現できます。

MiiTelは、AIを活用したクラウド型コールセンターシステムを提供し、BCP対策の強化をサポートします。非常時における業務の継続性と安全性を確保するために、ぜひご活用ください。

執筆者情報

KDDIウェブコミュニケーションズ
KDDIウェブコミュニケーションズ
2013年に、日本ではまだ黎明期であったCPaaSの取り扱いを開始。CPaaSやCCaaSなどコミュニケーションのDXの専門家として、「コミュニケーションの多様性」を活用するための記事をお届けします。


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