導入事例
アルティウスリンク株式会社(以下、アルティウスリンク)は、KDDIグループの中でもコンタクトセンターを中心とするBPO事業を手がける「KDDIエボルバ」と、三井物産株式会社の関連会社でコンタクトセンター事業およびバックオフィス事業を展開する「りらいあコミュニケーションズ」が経営統合して発足した企業です。
経営統合に伴い、アルティウスリンクでは、社員数が拡大した組織に合わせた大規模なシステムアップデートが必要となりました。中でも課題となったのが「総務」の受付システム。あらゆる関係者を迎える企業の入り口である受付業務を、「Vonageコミュニケーションプラットフォーム(VCP)」を活用してどのようにアップデートさせたのでしょうか。今回はVonage導入の経緯や具体的な活用方法、その効果について、アルティウスリンクのご担当者である室谷様・張様に伺いました。
グループ企業であるKDDIウェブコミュニケーションズ独自の手厚いサポート、料金設定が魅力だった
当社はコンタクトセンター/BPOサービスをはじめ、 エンジニア派遣・ ITアウトソーシング・システムインテグレーション・音声ガイダンス・104電話番号案内・電報サービス「でんぽっぽ」・クラウド型介護報酬請求サービス「けあ蔵」・コンタクトセンター運用で活用できるビジュアルIVR「VisualMenu」までを広く展開する企業です。 「KDDIエボルバ」と「りらいあコミュニケーションズ」の2社の統合により国内コールセンター事業のシェアはトップとなり、BPO業界のリーディングカンパニーとなりました。
2023年9月の経営統合時、当社の社員数は約58,000人となりました。それに伴い、本社事務所はコーポレートオフィス(新宿ファーストウエスト)とセールスオフィス(小田急サザンタワー)の2カ所に分かれることになったのです。
また本社以外にも、アルティウスリンクの拠点は都内に24か所、全国では70か所を超えます。そのすべての社内システム全般を統合していく第一歩として、本社であるコーポレートオフィスとセールスオフィスをつなぐシステムの構築がとりわけ急務でした。
今回構築した受付システムは、事前来訪予約ではなく、ご来訪者様が当日に受付から部署を直接呼ぶ形式となっています。ご来訪者様がタブレットを使用して目的別に担当者・部署を検索し、電話を発信して呼び出せるというもの。操作案内は当社オリジナルのアバター「こみゆ」が人工音声で応対します。このシステム開発と実装の基盤に、「Vonageコミュニケーションプラットフォーム(VCP)」を活用しています。
新しい受付システムの構築にあたり、担当部署である総務から現状の課題をリストアップしました。そこで挙がった悩みは、経営統合によるシステムの食い違いだけではありませんでした。
担当部署の数が多く、訪問先の部署を探すのに時間がかかっていました。既存のシステムはインターフェースも使いにくく、待ち時間よりも探すことに時間がかかっている状態でした。
従来の受付システムは、検索された担当者の社用携帯電話宛にSMSで通知する仕組みになっていました。そのため通知に気づかない場合や、担当者が休暇で別担当者に引き継いでいる場合など、連絡ミスが起きやすい状態でした。
受付システムには電話機が併設され、直接電話をかけることができるようにもしていました。上記2つの課題が原因となり、連絡先に迷われたご来訪者様が総務部に電話をかけて問い合わせることが常態化していたのです。これにより、総務部にかかる取次作業の負担が大きくなっていました。
国内・国外問わずCPaaSサービスはいくつか比較検討をしていました。Vonageを知ったきっかけは、コンタクトセンター系のカンファレンスに参加した際のKDDIウェブコミュニケーションズの担当者さんからの紹介でした。
「Vonage」をこれからKDDIウェブコミュニケーションズが取り扱うということで、日本語に対応したサポートが手厚く受けられることに安心感を覚えて検討したという経緯です。実際に話を聞いてみると、SDKで組むことができるために自由度が高い、という点も魅力でした。
また導入の決め手の一つにはコスト面もありました。当社のシステムは通話機能が必須であったため、通話料が【秒単位】での計算となることが非常に大きかったのです。
受付での応対は30秒程度ですが、多くのCPaaSは【分単位】の課金で、当社のシステムとは合わないと感じていました。当社には一日100名を超えるご来訪者様がいらっしゃる状況であるため、秒課金であることで、蓄積すると大きなコスト削減につながったのです。
Vonageは海外のCPaaSですが、KDDIウェブコミュニケーションズでは日本円での請求書払いができます。これも当社の状況にマッチしており、導入の後押しとなりました。
システムの話をすると、フロントはブラウザで、Vonage Voice APIのJavaScript SDKで構築しています。バックエンドはAWSのEC2の上にDocker(ドッカー)を載せて、そのうえでノードを動かしているという形式です。DBもEC2の中にDockerを使いローカルで構築しています。
まずはPoC※から着手しました。この点でかなりKDDIウェブコミュニケーションズからフォローしてもらえました。最初にブラウザ上で動くことを確認。その後、社内ネットワークでは稼働しない場合の確認を行いながら進めました。
※PoC(Proof of Concept):コンセプト実証・概念実証。そのシステムのアイデアに実現性があるかどうかを確認する検証作業のこと。
少し困ったのは、SDKのバージョンが公開されているドキュメントよりも新しい場合です。これは先にKDDIウェブコミュニケーションズの担当者さんから案内してもらって、大きなトラブルにはならなかったので、その点でもサポートを受けられて良かった点でした。最新版のSDKはドキュメントに反映されていないため、Githubで仕様を確認する必要があるなど、自分たちだけでやっていたらかなりハードルの高い作業になっていたと思います。
また開発のポイントだったのが、音声対応です。タブレットの内臓マイク・スピーカーではハウリングなどが起きないだろうかという心配がありました。加えて当社はアバターが合成音声で話すタイプで、音声周りのチューニングは重要でした。
こちらも、VonageのAPIでボリューム調整のパラメータを見つけて対応することができました。タブレット端末は、コーポレートオフィスではiPad、セールスオフィスではWindows端末を使用しており、端末ごとにパラメータを調整しています。またWindows端末は27インチのタッチパネルを用意することで、コーポレートオフィスと同じ操作感を実現しています。
こうしたサポートもあり、Vonageを導入してから1.5か月という短期間でシステムを開発・実装することができました。
新しい受付システムでは、従来のシステムで対応しきれなかった応対先も細かく設定できるようになりました。またSMSでなく電話で担当者に連絡するシステムを組むことができ、ご来訪者様の検索時間・待ち時間を短縮することにつながりました。これがもっとも大きな成果です。
部署ごとに来訪先を設定するだけでなく、必要に応じて「担当者名」を組み込む機能も加えることで、より効率的な呼び出しが可能になりました。配送された荷物などの納品も、部署でなく担当者ごとに回せるようになっています。
そして、懸念であった総務の取次対応。これまでは総務から担当部署に取り次ぐにあたり業務を中断しなくてはならないのが大きな悩みでしたが、担当者に直接つながるようにしたことで、ほとんどの取次作業がなくなったのです。
会社の入り口をアップデートすることによって、取引先や求職者など、当社を訪れる方々へのイメージアップにも貢献してくれたと実感しています。
取材:2024年6月17日
アルティウスリンク株式会社
本社(コーポレートオフィス):
〒160-0023
東京都新宿区西新宿1-23-7 新宿ファーストウエスト
コンタクトセンター事業、バックオフィス事業、ITソリューション事業、その他関連事業