導入事例

  • Vonage
知るフォン

選挙支援サービス『知るフォン』の生命線
短期間・大量コールを実現した「Vonage」のハイブリット運用

株式会社ターゲットリサーチ 様

リサーチ部 部長 青嶌孝明氏

リサーチ部 部長 青嶌孝明氏

株式会社ターゲットリサーチ(以下、ターゲットリサーチ)は、選挙期間中の電話世論調査やオートコールサービスの提供、選挙コンサルティングなどを行っている企業です。クラウドを活用したアンケート調査・市場調査・世論調査サービス「知るフォン」を提供しています。

知るフォンのシステム構築を支えているのは、Vonageを含めた「CPaaSのハイブリット運用」です。今回はそうした運用方法になった経緯やその効果、またVonageを選定した理由について、リサーチ部 部長 青嶌孝明氏にお話を伺いました。

導入前の課題

  • 短期間で⼤量のコールを実現する電話回線の維持を1サービスに依存する、という運⽤リスクが懸念点だった
  • ⼤量コールによる通話料がかさんでおり、コスト削減が課題だった

導入の決め手

  • 2サービスを並行利用したハイブリット運用を構築
  • 秒単位での従量課金制のサービスを導入

導入の効果

  • システムの安定稼働を実現
  • 最大40%の運用コスト削減を見込み

システムに必要なのは一日数万件の発信を維持する通信体制

Q:Vonage導入前の課題を教えてください

当社が提供する「知るフォン」は、事前に録音したプロモーションメッセージを特定地域の固定電話に自動発信する「オートコール」と、市区町村名などの細かい地域分類によるリサーチを可能とした電話アンケート「コールリサーチ」の2つから成るサービスです。

オートコール
  • 事前録音した演説などのプロモーション音声を一斉に自動発信する
  • 宣伝費として選挙費用に全額計上できる数少ない手段であり、候補者から重宝されている
コールリサーチ
  • オートコールの仕組みとIVRを組み合わせて、有権者のニーズや政治的動向を調査する
  • インターネット調査よりも高齢者層へアプローチしやすく、シニアマーケティングと相性がいい

調査結果の正確性を⾼めるためには多くの回答を集める必要がありますが、電話調査に対する回答率は平均3%程度しかありません。つまり300件の回答を集めるのに1万件程度の架電が必要になります。従来の電話調査はボランティアの⽅が⼈⼒で⾏うのが⼀般的でしたが、選挙期間や選挙公⽰・告⽰前という限られた短い期間でその数の架電をこなすことはほぼ不可能です。

そこで知るフォンの「短期集中の⼤量コール体制」が活躍するのですが、この運⽤のためには、当然ながら⼤量の回線数を必要としました。

毎時数千件のオートコールを実現する「CPaaSのハイブリット運用」

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出典:知るフォン「コールリサーチレポートサンプル(23p)」

知るフォンではアンケート調査の所要期間が最短1日ということもあり、短期間での大量架電が行える強力なクラウドシステムを構築しています。選挙というスピード勝負の環境において、大量架電に耐えられることはオートコールサービスにとっての必須条件であり、また生命線とも言えます。そのためサービス継続の安定性を担保するにあたり、システム構築に関わるCPaaSを1社のみに依存するのではなく、既存のものとは別の新しいCpaaSを導入することにしたのです。

またサービスの並⾏利⽤には、⻑期的に⾒た場合のリスクヘッジも兼ねていました。外部のCpaaSを利⽤する以上、自社サービスを改修せざるを得ない可能性は常にあります。例としては、契約時点では特に制限がなかった回線使⽤数について、数年後に制限がかかってしまうといったケースなどが挙げられます。つまりCPaaSを提供する企業の⽅針転換次第で、⾃社サービスが望まない仕様になってしまう恐れがあったのです。

そういった側⾯から、知るフォンのシステム構築にはハイブリット運⽤が必要だと考えました。

サービス選定のポイントは「円滑なコミュニケーション」

Q:Vonageを知ったきっかけを教えてください

サービス選定のポイントは「円滑なコミュニケーション」

既存で導入していたのはVonageとは別のサービスでした。Vonageについては、代理店であるKDDIウェブコミュニケーションズの担当者から紹介を受けたのがきっかけです。

新しくVonageを導⼊しようと決めた⼀番の理由は、フォロー品質でした。
選挙対策ではスピードが求められる機会が多く、何か困りごとが起きたときにテキストやチャットサポートだけでは処理しきれない部分があります。しかしCPaaSは海外企業が提供しているものが多いため、サポート体制について、⽇本の商習慣を理解してもらえていないと感じることが多々ありました。

その点で、⽇本の企業であり通信業者でもあるKDDIウェブコミュニケーションズは、⾃分たちの要望を理解したコミュニケーションが取れました。この部分に何よりも安⼼感を覚えたことが、導⼊の決め⼿となりました。

互換性を活かして1.5か⽉でのスピード実装を達成

Q:Vonageによるシステム構築について教えてください

Vonegeでのシステム開発は、既存システムのライブラリをVonege Voice APIのものと差し替えて対応する、といったものでした。既存システムと一定の互換性があったため、フルスクラッチでシステムを組まずに済んだことはコスト面・納期面でも助かりました。
既存で利用していたサーバーに追加で1サーバーを契約して、1.5ヶ月ほどで組み上げることができました。2つのサービスを併用する形になりましたが、実装面でのハードルは想定していたよりも低く、開発もスムーズに進められたと思います。

Vonageを操作した感覚としては、ダッシュボードの日本語表示が可能なために分かりやすい、というのがあります。ログの取得方法や独自のログ表記については把握するのにやや時間が必要な印象ですが、担当者の方に問い合わせながら知見を深めていきたいと思っています。

なお現在はVonegeのシステム調整が大詰めで、本格導入を目指している段階です。Vonegeが安定稼働できたらハイブリッド運用を続けながら回線数を増やして、ゆくゆくはメインAPIとして利用することを想定しています。

既存システムと比較して40%のコスト削減が見込めた

Q:Vonage導入後の効果を教えてください

前述したように、コールリサーチの回答率は地域にもよりますが数%ほどです。メッセージが流れてからすぐに受話器を置かれてしまうことも珍しくありません。しかし既存のサービスは分単位での課金で、たとえ1秒で電話を切られたとしても1分間分の料金がかかります。

その点、Vonegeは「秒単位」の課金形態になっているため知るフォンとの相性がよく、コスト削減にもつながると思いました。検証では既存システムと比較して、最大で40%程度のコストダウンが見込めています。

Vonageを導入した理由のひとつには、サービスの状況にマッチする料金体系に魅力を感じた、というのもあります。

デジタルを活かした、より有用な選挙支援ツールの開発へ

Q:Vonageを使って今後実現したいことはありますか?

デジタルを活かした、より有用な選挙支援ツールの開発へ

Vonegeは拡張性が高く、ほかのAPIと組み合わせることもできるため、知るフォンから派生させた新しい事業を始められるのではないかと思っています。現在は電話を活用していますが、ショートメールや動画などといった、新しくて便利かつ有効な手段も検討中です。選挙において、デジタルが支援できる領域はまだまだあるのではないかと考えています。

昨今はWebやSNSを駆使した政治家の台頭もめまぐるしく、デジタルと候補者の関係性はこれからより密接なものになっていくのではないかと予想されます。そのときに政治活動に有用なツールを生み出せていることを目指していきたいと思っています。

取材協⼒

会社名

株式会社ターゲットリサーチ

住所

〒103-0027
東京都中央区日本橋二丁目2番3号 RISHEビルUCF 402

事業内容

電話世論調査及びオートコールサービスの提供

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