
株式会社モノサスは、Web制作やIT開発といったWeb&デジタルソリューションをはじめ、ものづくりに関わる支援や人事支援など、さまざまなサービスを提供する企業です。近年では社食やケータリングなどのフード事業も手掛けており、事業の幅を広げています。
また働き方改革や地域活性化などにも積極的に取り組んでおり、東京の本社とは別に徳島県神山町や京都府、山口県の周防大島にサテライトオフィスを構え、地域と連携したプロジェクトを多数展開しています。
そうした中で、同社は地域の見守り活動を行う支援員向けのサービス「ルスログ」を開発しました。
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導入前の課題
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- 訪問先での手書きメモをもとに支援員が口頭で報告していたため、報告時の情報精度が低下していた
- 高齢の支援員にとってITツールの導入ハードルが高く、業務効率化が進まなかった
- スタッフ間の情報共有が不充分で、同じ家庭への訪問時に連携不足が生じていた
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導入の決め手
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- 開発環境が充実しており、エンジニアにとって使いやすい設計だった
- 秒単位の従量課金制により、短時間通話が多い用途に最適なコスト構造だった
- KDDIウェブコミュニケーションズによる手厚いサポートがあった
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導入の効果
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- 報告業務が半分以下の時間で完了するようになり、現場の負担が大幅に軽減した
- 報告の即時性と精度が向上し、訪問記録の質が高まった
- 高齢の支援員でも操作が簡単で、楽しみながら活用できるようになった
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当社では「キン担ラボ」というkintoneの活用を推進するプロジェクトチームを持っています。キン担ラボは正式な部署名ではなく、いわば部活動のような小さなグループで、現在3名のメンバーで活動しています。
そうした活動があった中で、メンバーのひとりである角南が徳島県神山町に移住したことをきっかけに、地域の課題解決にITを活用する取り組みを始めました。
神山町の町役場ではもともとkintoneを導入していたものの、充分に活用できていないという課題がありました。そこで角南が役場へ出向する形で、業務改善やDX推進の担当として、kintoneの活用を進めていったのです。
Q:今回開発された「ルスログ」について教えてください
「ルスログ」は、地域の見守り活動を行う支援員が、訪問後の報告を電話1本で完了できるシステムです。支援員が専用の電話番号に電話をかけて訪問内容を話すだけで、その音声が文字起こしされ、kintoneのデータベースに自動的に記録される仕組みとなっています。
このシステムは主に自治体の福祉課で活用されており、子どもの見守りや高齢者支援などの訪問活動を効率化しています。元は神山町役場の福祉課の包括支援センターから始まった取り組みでしたが、「家庭訪問を行う支援員の報告業務に取り入れたい」という千葉県の自治体からの問い合わせを機にサービスをブラッシュアップし、現在のシステムの形となりました。
メモと口頭報告により、長時間の作業と精度の低さが課題に
Q:ルスログ導入前の課題を教えてください
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もともと当該自治体の支援員は、訪問先で聞き取りした内容を手書きのメモで記録していました。1日の訪問業務を終えてから、メモを持ち帰って役場の職員に口頭で報告するというフローだったのです。
しかし、
- 口頭での報告は数時間かかるため非効率
- 複数の家庭に訪問しているため記憶が曖昧になり、情報が混ざる
- 高齢の支援員にITへの苦手意識があり、Excelのフォーマットを活用できない
といった状況から、報告精度の低下や連携不足が生じていました。
また、同じ家庭を複数回にわたって訪問する場合、訪問する支援員が毎回同じとは限りません。そのため前回の訪問内容がうまく共有されず、すでに別の支援員が聞いていた質問を繰り返してしまい、訪問先から不審がられてしまうといったことも起こっていました。
エンジニアに寄り添った開発環境が決め手に
Q:ルスログ開発にVonageを導入したきっかけを教えてください
Vonageを選んだ決め手は、開発環境が充実している点です。エンジニアの使いやすさを重視した設計に心を掴まれました。
またAPIの充実度が高く、扱いやすさと拡張性の高さがあることで、長期的な運用を見据えたときに安心して使い続けられると感じました。
Vonageの魅力

ドキュメント・
マニュアルなどの
リファレンスが整っている

開発環境がデベロッパー、
ステージング、
プロダクションと
分かりやすく分かれている

運用段階まで視野に入れた
設計がしやすい
Q:システムの導入にかかった期間を教えてください
システム導入は何のストレスも感じないほど順調で、Vonageを使ったプロトタイプは2〜3日程度で構築できました。現在のようなシステムとして仕上げるまでには1ヶ月ほどかかりましたが、これは今後利用者が増えていったときのトラブルを回避できるよう、準備に時間をかけたためです。
導入作業そのものは、KDDIウェブコミュニケーションズのサポートのおかげもあって非常にスムーズでした。通話に必要な電話番号の発行やその他の手続きもすばやく対応してもらえて、かつレスポンスも迅速なため、ストレスなく進められました。
報告時間は半分以下に。高齢の支援員でも楽しみながら活用
Q:運用開始後、ユーザーからの評価はいかがでしょうか

ルスログの導入によって、当該自治体の支援員の業務は大きく改善されたと聞いています。これまで2人で4時間かかっていた報告業務が、半分の2時間程度で済むようになりました。
訪問直後の車内から電話で報告できるようになったため、記憶が鮮明なうちに報告を完了でき、情報の精度も向上しました。正確な記録が蓄積されるおかげで、定期的に開催される関係機関との報告会に向けた資料作りもかなり楽になったそうです。
さらに、ITツールの活用に不慣れだった高齢の支援員達がルスログを積極的に活用するようになった点には、役場の職員も驚いていました。
たとえば発話のスピードを抑えたり、正しく伝わるように言い回しを変えたりと、自発的に工夫して対策しているとのことでした。 また誤った認識結果をkintoneで修正する作業についても、スマホから簡単に実行できるため、負担になっていないとも聞いています。
当初は支援員からの報告だけに用途が限定されていたルスログですが、現在では役場の職員から支援員への指示連絡や情報共有の手段としても利用されており、活用の場が広がっています。
Vonage×kintoneの仕組みを活かした新たなサービスを検討
Q:今後に向けての展望はありますか
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ルスログの機能は、本来スマホ操作でも完結できるシンプルなものです。しかしkintoneという基盤とVonageの技術を組み合わせることで、通話までに必要なステップが圧縮可能になり、現場の負担を減らせる点が大きなメリットとなっています。
今後、こうしたツール活用における現場の負担感を減らしたいというユーザー様には、積極的に導入を呼びかけていきたいです。特に、高齢化が進んでいて人手不足が深刻な地域では、ルスログがお役に立てるのではないかと思います。
またルスログについても、AIを活用して、「電話で話した内容から特定の情報を自動的に抽出し、kintone内の適切なフィールドに振り分ける」といった追加機能の開発も検討しています。たとえば訪問先、滞在時間、得られた結果などを自動的に分類できれば、より効率的な報告が可能になるでしょう。
同時に、ルスログの仕組みを活かした別の新たなサービス開発の構想も進めています。その1つが「ステップコンタクト」と呼ばれるサービスで、電話をかけると自動音声で選択肢が提示され、数字キーで選んだ後に音声を残せるシステムです。これにより、よりカテゴライズされた情報収集が可能になります。
今回の取り組みは、テクノロジーの力を活用して地域の福祉活動を支援したよい例と言えます。Vonageとkintoneを組み合わせたシンプルながら効果的なソリューションは、ITに不慣れな利用者でも気軽に活用できる点が最大の強みです。
今後もKDDIウェブコミュニケーションズに協力いただきながら、地域や自治体のニーズに応える新たなサービス開発に取り組んでいきます。
取材協力
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会社名
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株式会社モノサス
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住所
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本社
〒151-0053 東京都渋谷区代々木3-9-5
神山サテライトオフィス
〒771-3311 徳島県名西郡神山町神領字北88-1 -
事業内容
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- Web制作
- マーケティング
- フード事業など
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本事例で導入されいる
主なサービス・API