
バックアップ運用とコスト削減を両立!

株式会社電脳交通は、全国のタクシー会社向けにクラウド型配車システムを開発・提供する企業です。地方を中心として「電話による配車受付」が主流となっている業界特性にあわせた、柔軟なカスタマイズ機能を有するシステムの開発・提供を強みとしています。
今回は取締役CTOの坂東勇気氏に、同社が取り組むクラウド電話のバックアップ体制構築とVonage活用による業務継続性の向上についてお話を伺いました。
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導入前の課題
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- クラウド電話を1社のみに依存しており、障害発生時のリスクがあった
- 大量コールに対応できる安定したバックアップ回線の構築が必要だった
- 通話料金などのコストを削減したかった
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導入の決め手
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- 秒単位の従量課金制により短時間通話が多い用途に最適
- APIの充実度と豊富な開発リファレンス
- KDDIウェブコミュニケーションズによる手厚いサポート
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導入の効果
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- システムの安定稼働を実現し、サービス信頼性が向上
- 秒課金による通話コストの大幅削減
- 短期間でのシステム実装が可能に

当社は全国のタクシー会社向けにクラウド型配車システムを開発・提供している会社です。主力サービスはクラウド型タクシー配車システム「DS」で、2015年の設立から10年目を迎えた現在、全国47都道府県で約600社、約2万1千台のタクシーに導入されています。
DSは、タクシーの配車オペレーター用画面とドライバー用車載タブレットをセットにした配車システムで、電話による配車受付からタクシー車両の動態管理、配車指示、ドライバーとオペレーター間の通話までを一括して行えます。
また当社では各タクシー会社にかかってきた配車注文の受電業務をアウトソーシングで受託するサービスも提供しており、その業務でもDSを活用することで、遠隔地からでも各タクシー会社への配車を可能にしています。
DSの大きな特徴として、クラウドシステムゆえに各地域のタクシー会社や特性にあわせた柔軟なカスタマイズ機能を持っている、という点が挙げられます。例えば、都市部と地方では配車のニーズや運用方法が大きく異なりますが、DSシステムには300項目以上の設定を各社が自社のルール等に沿ってカスタマイズ設定をすることで、小規模から大規模のタクシー会社まで同じシステムで対応できるようになっています。
都市部ではアプリを用いた配車依頼も普及していますが、地方ではまだ電話による依頼が主流です。DSをご利用いただくことで、お客様からの配車依頼に対しオペレーターが柔軟に対応できるようになるため、地域密着型のきめ細やかな移動サービスを提供できます。
創業以来、顧客であるタクシー会社の声に耳を傾け、現場のニーズに応えるシステム開発を心がけてきました。実際に、DSの基本的なUIは10年前に開発したものがベースになっていますが、皆様からのご要望に応じて日々機能を追加・改善し続けています。
障害リスクを最小限に抑えるバックアップ体制の必要性
Q:従来抱えていた課題を教えてください

当社のシステムは多くのタクシー会社の業務の中核を担っているため、システムが停止してしまうと配車業務が滞り、タクシー会社の売上に直結する問題になります。特に電話による配車受付では1日に何万件という膨大な注文を処理しており、これが止まってしまうと大きな影響が出てしまいます。
電脳交通様のお悩み
- 悩み1システム障害に備えた代替サービスの検討
- 悩み2運用コスト面の課題
以前まで、当社ではクラウド電話サービスを1社のみに依存していました。しかし2020年頃に一時的な障害が発生し、電話サービスの一部機能に影響が出た機関がありました。そのときは万が一の事態に備えて各タクシー会社が直接自社で電話を受けられる仕組みを残していたため、配車業務が停止する事態は避けられましたが、以降のリスク回避策として代替のクラウド電話サービスを探すこととなったのです。
また、運用コストの面でも課題がありました。それまで利用していたクラウド電話サービスは分単位での課金体系だったため、たとえばタクシーの到着通知といった数秒で終わる通話でも、1分間分の料金が発生していたのです。当社のシステム上、通話が1日に何万件も発生するため、この課金体系はコスト増加の原因となっていました。
コストの大幅削減を実現するVonageの「秒課金」
Q:Vonageを知った決め手、導入のきっかけを教えてください
代替のクラウド電話サービスを探すにあたり、最初は国産のクラウド電話サービスを中心に検討していました。しかし課金体系や機能過多など、当社のニーズにあうものがなかなか見つかりませんでした。
そのような中で、以前からAPIマネジメントサービスを通して名前を知っていたVonageがクラウド電話サービスとして利用できることを知り、導入を検討し始めたのです。
Vonageの魅力

サポートへの期待
日本法人があり、国内企業のKDDIウェブコミュニケーションズがリセールしている安心感

「秒単位」の課金体系
数秒で完了する通話が主なため、長期的に見て大きなコスト削減効果が期待できた
当社のシステムでは、タクシーの到着通知をはじめ、数秒で完了する通話が中心となっています。よって多くのCPaaSで一般的な「分単位」の課金体系だと、通話のたびに余分なコストが発生してしまうという課題がありました。
しかしVonageの秒単位課金であれば、長期的に見て、大きなコスト削減効果が期待できると判断したのです。
Q:使用した印象、具体的な成果をお聞かせください
秒単位課金には、想像していた以上のメリットがありました。
タクシーの到着を知らせる約3秒の通話は、従来のクラウド電話サービスと比べて、Vonageでは約20分の1のコストで済みます。 1日に何百件もの到着通知を送るタクシー会社にもたらすインパクトも大きかったため、発信機能に関してはバックアップとして利用予定だったVonageをすぐメイン使用に切り替えました。
障害発生時のバックアップシステムという点では、050番号をメインのクラウド電話サービスに接続しつつ、Vonageに転送先を切り替える仕組みを整備しています。現在はすべての既存のお客様にVonage用の番号を追加付与していますが、これもKDDIウェブコミュニケーションズ経由の契約によって基本料金を抑えられたため、サービスとして無料提供が可能となっています。
そういった背景もあり、システムの安定性に対しては、お客様からの信頼も向上していると感じています。
サポート品質の高さを担保するテクノロジーパートナー
Q:導入に関しての対応はいかがでしたか

KDDIウェブコミュニケーションズの対応は素晴らしかったです。
Vonageは海外企業のサービスであり、日本国内での導入事例もまだ比較的少ない方です。そのような状況下で、KDDIウェブコミュニケーションズの直接的なサポートが大きな支えとなりました。
たとえばシステムの実装にあたって、技術担当者が直接ついてくれて、さまざまな質問に答えてくれました。また通話に必要な電話番号の発行やその他の手続きもスムーズで、レスポンスも迅速だったため、ストレスなく導入作業を進められました。
海外企業のサービスでありながら、国内の専門家が間に入り、日本の商習慣に即したコミュニケーションを取れたことは非常にありがたいと感じています。
Q:今後の展望をお聞かせください
タクシー業界は、ライドシェアの普及や法規制の変化など、環境の変化が著しい状況です。これまでも当社はタクシー会社に寄り添い、現場の声に応えるシステム開発を行ってきました。今後業界がどのように変化しても、地域の特性や現場のニーズを理解し、それに応じたきめ細かなサービスを提供することの重要性は変わらないと考えています。当社はこれからも「交通空白の解消」を重要なミッションの1つとして捉え、そのためのテクノロジー開発を進めていきます。
具体的には、電話応対をAIで自動化する取り組みを検討中です。方言や特殊な地名といった、AI認識が難しい要素にも対応できる技術を持つ企業と連携して開発を進めています。
また通信技術の進化にあわせて、位置情報の取得精度を向上させることも取り組んでいる内容の1つです。ネットワークAPIなどの新技術を活用して、電話での配車依頼でもお客様の正確な位置を把握できるようにするなど、課題解決につなげたいと考えています。
さらに鉄道会社とも連携して、電車内から二次元コードを読み取って降車駅のタクシーを予約できるサービスも開始しました。こうした異業種との連携も積極的に進め、利用者の利便性向上を図っていきます。
現在はバックアップ回線として利用しているVonageについては、安定性が実証されれば、利用範囲を広げていきたいと考えています。拡張性の高いサービスのため、さまざまな新機能開発への活用も検討中です。たとえばタクシーの到着通知機能から発展させて、類似の通知サービスを拡充したり、SMS機能との連携による新しいコミュニケーション方法を開発したりといったことも可能性として挙げられるでしょう。Vonageとの協業を通じて、さらに安定したシステム提供と新たな価値創造に挑戦していきます。
取材協力
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会社名
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株式会社電脳交通
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住所
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本社
〒770-0831
徳島県徳島市寺島本町西1-5 アミコ東館6階 -
事業内容
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- タクシー配車システム開発・提供
- タクシー会社の配車業務受託運営サービス
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本事例で導入されいる
主なサービス・API