株式会社FREEMINDは、教育分野を中心にDXソリューションを提供する企業です。学習塾向けシステムの受託開発や、子ども英語教室「Lepton(レプトン)」のフランチャイズ事業など、幅広い教育関連事業を展開してきました。
同社では自社開発のAI音声自動応答システム「AI Receipt Call」にVonageを導入し、自社の土日祝日の電話対応を完全自動化することに成功。今回は、その導入経緯と得られた成果についてお話を伺いました。

- 導入前の課題
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- 土日祝日の電話当番による出社負担が大きく、開発者の生産性が低下
- 電話対応に不慣れなスタッフによる応対品質のばらつきが発生
- 休日出社が社員のモチベーション低下の原因に
- 導入の決め手
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- 国内における実績の多さ
- 秒課金という料金体系による、コスト効率のよさ
- KDDIウェブコミュニケーションズによる日本語での手厚いサポート体制
- 導入の効果
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- 土日祝日の電話当番を完全廃止し、開発者の休日出社が不要に
- 通話内容の自動テキスト化と音声データ保存により、聞き漏れや対応漏れがゼロに
- 開発者が本来の業務に集中でき、業務効率が大幅に向上
休日・時間外の電話を完全自動化するAI応答サービス
Q:貴社の事業概要とAI Receipt Callについて教えてください
当社では教育・語学領域を中心に、子ども英語教室「Lepton」の運営、日本語能力試験「JPT」の提供、各種システム開発やAI活用サービスを展開しています。京都と東京に拠点を置き、現場のニーズに即した実用的なソリューション開発を得意としてきました。
AI Receipt Callは、企業の電話対応業務を自動化するAIボイスボットシステムです。これまで有人で対応していた営業時間外や休日の電話を、AIが代わりに受け付けます。これにより担当者は電話に出ることなく内容を確認し、適切なタイミングでお客様に折り返しの連絡を差し上げることができるようになります。

Q:AI Receipt Callのシステム構成について詳しく教えてください

AI Receipt Callでは、以下の流れで土日祝日の問い合わせ対応を処理しています。なお電話転送は基本的に土日祝日のみ行うように設定しており、電話番号自体は平日の問い合わせ先と同じものを使っています。
- 会社の電話番号にかかってきた通話が転送され、Vonageを経由してクラウドプラットフォーム上の当社システムにつながる
- AI音声が電話に対応する
- 通話終了後、内容の要点をまとめた形でテキスト化して担当者に通知する
通話の冒頭では、お客様に不安や不信感を与えないよう、自動音声によってAIオペレーターが応答している旨をアナウンスしています。これによりお客様も安心して、問い合わせの内容を最後まで伝えてくださるのです。
また通話内容は即座に音声認識でテキスト化され、要点をまとめた形でメールやチャットツールに通知が届きます。Vonageは、この一連の音声通話機能の基盤として、重要な役割を果たしています。
休日の電話当番が開発担当者の精神的負担になっていた
Q:AI Receipt Call開発の背景における課題を教えてください
弊社ではこれまで、開発部所属の社員による当番制で土日祝日の電話窓口を運用していました。当番が回ってくるのは半年に1~2回の頻度でしたが、これには主に3つの課題がありました。
FREEMIND様の3つの課題
開発部メンバーの精神的な負担
休日出社が発生することによる社員のモチベーション低下
電話対応品質のばらつき
そもそもとして、開発部には電話対応が苦手なメンバーが少なくありません。にもかかわらず、そう多くはない問い合わせの電話対応のために1日中オフィスで待機していなければいけない非効率な状況は、社員にとって大きな負担になっていました。
またお客様の名前や電話番号の聞き漏れ・聞き間違いが頻繁に発生し、対応品質にばらつきがあることも問題でした。こうした状況は、結果的に顧客の満足度を低下させることにもつながってしまいます。
しかしながら、システムトラブルが発生した際の緊急連絡もあるため、電話受付を完全に止めることもできません。そこで、この課題をテクノロジーで解決しようと考えたのです。
豊富な導入実績とユーザーフレンドリーな料金体系が決め手に
Q:Vonageを選ばれた理由をお聞かせください
私たちはサービスを開発する際、お客様に提供する前にまず自社で使って効果を実証する、という考え方を大切にしています。
自分達が実際に困っている電話対応の課題をAIで解決した、その実証が済んでいるソリューションなら、同じ悩みを持つ企業の皆様にも自信を持って提供できるでしょう。
そのため、まずは自分たちが実験台になって、本当に実用的なシステムかどうかを検証しました。
複数のCPaaSの中からVonageを選んだ決め手は、何よりも「信頼性の高さ」にありました。

Vonageは世界中で豊富な実績があり、日本でも多くの企業が導入しています。さらに、KDDIウェブコミュニケーションズが日本の代理店として、日本語できめ細かなサポートを提供してくれる点も大きな魅力でした。海外のサービスを使う際の不安を解消してくれる、心強いパートナーの存在は重要だったのです。
Q:導入コストや運用面ではどのようなメリットがありましたか?
多くのCPaaSサービスが分単位での課金であるのに対し、秒単位での課金が可能であるという点も、Vonageを選ぶうえで大きな決め手となりました。
AI応答の場合、お客様が要件を伝えたら30秒程度で通話が終わることがほとんどです。分課金だと1秒でも1分相当の料金が発生しますが、秒課金なら実際の使用時間分だけの支払いで済みます。今後、利用が拡大して問い合わせ数が増えた場合、このコスト差は非常に大きいです。
将来的に外部へのサービス展開を考慮したときに、柔軟なサービス設計が可能ですし、お客様により良い価格でサービスを提供できると考えました。
休日の電話当番が完全廃止へ。自社の生産性が大幅向上
Q:運用開始後の効果についてお聞かせください
AI Receipt Call運用後の効果
土日祝日の電話当番を完全廃止
ワークライフバランスの改善にも貢献
対応漏れや聞き間違いによるトラブルを解消
最も大きな成果は、土日祝日の電話当番を完全に廃止できたことです。開発部のメンバーたちは休日出社から解放され、本来の開発業務に集中できるようになりました。生産性の向上はもちろん、ワークライフバランスの改善にも貢献しています。
また通話内容がすべて自動的にテキスト化され、音声データも保存される仕組みにより、対応品質も格段に向上しました。AIが全情報を確実に記録してくれるため、対応漏れや聞き間違いによるトラブルがなくなりました。お客様に対しても、週末の緊急的な対応をAIで行っている点を周知してあるため、通話途中で電話を切られることもなく、ほぼ全件で正しく情報を収集できています。
Q:導入時や運用開始後のサポートはいかがでしたか?
初期導入から現在まで、本当に手厚いサポートをいただいています。技術的な質問をすると、その日のうちに的確な回答が返ってきます。1日に何度も連絡することもありましたが、いつも丁寧に対応してくださいました。
特に助かったのは、日本特有の法規制への対応です。通信サービスの契約には複雑な法的手続きが必要です。しかしKDDIウェブコミュニケーションズは国内の通信事業に精通しているため、必要な手続きや注意点を適切にアドバイスしてくれました。
過去に海外のサービスを直接契約した際、こうした手続きの部分で苦労したこともあったため、丁寧なサポートがあることは当社にとってかなり大きかったですね。
こうした手厚いサポートがあったからこそ、短期間でシステムを構築し、スムーズに運用を開始できたのだと思います。
塾などを皮切りに、各業界に適した形のサービス展開を検討
Q:今後の事業展開についてお聞かせください
AI Receipt Callを業界ごとのニーズに合わせて展開していく予定で、まずは私たちがよく知る学習塾業界からスタートしようと考えています。
「午前中は職員が不在のケースが多い」、「講師1人で運営している教室では授業時間中に電話対応ができない」など、学習塾には特有の課題があります。しかもかかってくる電話のほとんどは、欠席連絡や振替依頼といった、AIで充分対応できる定期的な連絡です。
AI Receipt Callを展開することで、多くの学習塾で業務効率化を実現できるでしょう。
その後も不動産業界や飲食業界など、電話での予約や問い合わせが多い業界への展開も視野に入れたいと考えています。それぞれの業界特性に合わせたパッケージを開発し、中小企業でも導入しやすい価格設定にしたいですね。

将来的な構想としては、AIと人間のハイブリッド運用を目指しています。簡単な問い合わせはAIが即座に回答し、複雑な案件は適切なオペレーターに引き継ぐといった、質問の内容によって最適な対応方法を自動で判断するシステムを構想中です。
こうした野心的な展開を実現するためには、Vonageの高品質な音声基盤が不可欠です。今後もKDDIウェブコミュニケーションズの継続的なサポートをしていただきながら、お客様の業種・業態に合わせてカスタマイズできる柔軟なソリューションを開発し、日本の中小企業のDXを支援していきたいと考えています。
取材協力
- 会社名
- 株式会社FREEMIND
- 住所
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京都本社
〒604-0875
京都市中京区車屋町通竹屋町上ル砂金町403番地
東京本社
〒105-0014
東京都港区芝三丁目23番1号 セレスティン芝三井ビルディング 8F - 事業内容
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- 教育事業(子ども英語教室「Lepton」フランチャイズ展開)
- ITソリューション事業(システム受託開発、AI Receipt Call)
- 語学検定事業(JET、JPT)
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本事例で導入されている
主なサービス・API -
Vonage
Vonage Voice API