導入事例
株式会社ローソンエンタテインメント(以下、ローソンエンタテインメント)は、ローソングループの一員として、幅広いエンタメサービスを展開しており、日本でトップクラスのシェアを誇るプレイガイド「ローソンチケット(以下、ローチケ)」も運営しています。
そんな中でローソンエンタテインメントはチケットの不正転売防止に注力し、独自の端末認証の仕組みを構築するなど、ローチケのセキュリティを追求し続けています。今回は2024年10月に実施された認証システムの刷新について、ねらいや成果をお聞きしました。
国際SMSによる認証は、ユーザーの利便性が高くなかった
サポート対応の即時性が向上し、運用効率が改善
当社が提供するローチケは、1998年に日本初のオンラインチケット販売を開始して以来、音楽・スポーツ・演劇・レジャー施設・映画など、幅広いエンターテインメントチケットを取り扱う日本でトップクラスのシェアを誇るプレイガイドとして成長してきました。
現在は全国約15,000店舗のローソンやミニストップで24時間365日チケット発券が可能なほか、電子チケットの導入やインバウンド需要への対応も積極的に進めています。
昨今のチケット販売では、アカウント情報を第三者に渡すことで不正な転売が行われるケースが課題となっています。そこで弊社は「1台の端末には1つの電話番号が紐づく」というスマートフォンの特性に着目し、「アプリのインストール時に端末の電話番号を認証して端末とチケットを紐づける」という仕組みを構築したのです。
ローチケアプリでは一般的なSMS認証で採用される「システムからSMSでパスコードを送信して認証する」方式ではなく、ユーザーからSMSを送信してもらう方式を採用しています。このような独自の認証方式により、興行主からも高い評価を得ています。
なお認証には、SMSと音声による2つの手段を用意しています。SMS認証が失敗した場合は音声認証に切り替え、認証の確実性を担保しています。
従来のシステムには、大きく分けて2つの課題がありました。
特定の環境下において、SMS認証システムが機能しないケースがありました。SMS認証が失敗した場合は音声認証に切り替えて対応する仕組みとなっていましたが、それはあくまでもバックアップ手段であり、ユーザー体験の低下を招いていました。
SMS認証操作がうまくできないとの、一部ユーザーからご意見をいただいておりました。
これらの課題を解決するために、認証システムの刷新が必要となったのです。特に不正転売防止という重要な機能を担う認証システムだけに、新たなCPaaSを導入するにあたっては安定性とサポート体制の充実度が特に重視されました。
Vonageを知ったきっかけは、以前から関わりのあったKDDIウェブコミュニケーションズの営業担当者からのご提案でした。まさに新たなソリューションを模索していた時期だったため、興味深く感じられました。
導入の決め手はいくつかありますが、まず挙げられるのはKDDIウェブコミュニケーションズによる迅速なサポート体制が期待できる点です。国内の通信業界に精通している企業がパートナーになってくれるのは、やはり安心感がありました。
またVonageの導入により、認証の処理速度が向上する点も魅力でした。ローチケはチケット販売開始時や大規模公演の直前などにトラフィックが集中する特性があるため、安心を得るうえで重要な要素だったのです。
あとは、国内双方向SMSの利用が可能であることも重視したポイントです。国際SMSの費用的な問題やユーザーに与える不安感の解消にもつながると考えました。
既存のシステムがあったため、大きな工数が新たにかかったわけではありません。最初に提案を受けたのが2月で、5月頃には社内の検証が開始されたと記憶しています。夏頃に双方向ショートコードの利用が可能となり、10月に本番環境への移行が完了したので、比較的短期間での導入を実現できました。
この間、KDDIウェブコミュニケーションズのサポートは心強かったですね。1日に複数回ほど連絡することもありましたが、とにかくレスポンスが迅速で、わからないこともすぐに解決できたのがありがたかったです。これは導入後も変わらず、おかげで大きな問題もなく運用できていると思います。
導入後、アプリ認証に関する問い合わせは従来と比較して大幅削減ができました。まずこの点が大きな成果として挙げられます。国内双方向SMSの採用により認証の成功率が向上したことや、国際SMSの通信料金の負担が解消されたことが大きかったと思います。
「SMS認証が失敗して電話発信に移行しました」といったユーザーからの声が少なくなったことから、ユーザー体験も大きく改善していると考えられます。
一時的なアクセスの集中は予測できるため、以前からシステム部門と連携して、事前にシステムのサーバーのスペックを上げておく対策をしています。
そのうえで、これまでは弊社のメンバーが現場に常駐して、アプリの動きが想定どおりにいかない場合にも代替手段を案内できるようバックアップを取っていました。しかしVonageに移行してからは、「現地で認証ができない」「アプリが機能しない」といったお問い合わせは、大幅に減ったと感じております。 Vonageの導入によって、アプリの安定性を向上できたと思います。
技術的な面では、生体認証など新しい認証方式の導入について議論が始まっています。たとえば近年、高いセキュリティを誇る顔認証が流行し始めていますよね。
昨今は技術革新が速く、認証方式だけでもさまざまな方法が新たに生み出されています。アンテナは常に張っておいて、動きに乗り遅れないようにしなくてはいけません。
一方で、ユーザビリティの面も考慮する必要があります。たとえば高齢者層をターゲットとするイベントの場合、顔認証を導入することでかえってユーザーの混乱を招いてしまう恐れがあるからです。
電子チケットアプリに対して認証をかけ過ぎると、利便性を損ない、結局ユーザビリティの低下につながりかねません。
プラットフォーマーが安心な環境を守るのは当然の責務です。利便性とセキュリティの両立を今後も大切にしていくために、サービス開発やブラッシュアップについては慎重に考えたいと思っています。
そのうえでKDDIウェブコミュニケーションズには、日本のビジネス環境に即した技術支援とサポート体制を維持していただきながら、さらなる認証技術の進化と利便性の向上について一緒に取り組んでいけることを期待しています。
株式会社ローソンエンタテインメント
Lawson Entertainment, Inc.
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