まとめ
日本のビジネスシーンにおいて、今なお欠かせない存在となっているFAX。視覚的な情報を素早く相手に伝えられること、またそれを証拠として残せることから、日常的に利用している業界も少なくありません。
しかし近年では、企業におけるペーパーレス化やDX化が国を挙げて推奨・推進されています。またコロナ禍以降、テレワークや在宅勤務などの柔軟な働き方が求められるようになりました。こうした時代の流れの中で、出社必須のFAX業務が大きな壁になってしまっている……という企業も多いのではないでしょうか?
今回の記事ではFAXを取り巻く現状と、実際にFAXを廃止できるのかどうか、またFAXを廃止した場合の代替方法などについてご紹介します。
情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が2022年度に行った「第4回ファクシミリの利用調査結果 」によると、企業や官公庁でのFAX利用について「日常的に使用している」と回答したのが18.5%、「たまに使用している」と回答したのが21.6%となりました。つまり現状でも、約4割の企業が FAXを使用していることがわかります。
出典:一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)「ファクシミリの利用調査結果」
一方で、この調査を時系列で追うと、FAXの利用率が年々減少していることもわかります。前年度の調査と比べると日常的に使用している」「たまに使用している」と回答した人の合計は2.6%低下しており、さらに2020年度の調査から推移を見ると、FAXの利用率は3年のうちに9.6%低下しているのです。ペーパーレス化・DX化が進んでいる社会情勢を受け、FAXを廃止して別の代替ツールに移行した企業が少しずつ増えていることがうかがえます。
さらに2022年12月に行われたデジタル庁・河野太郎大臣の記者会見でも、「デジタル庁として、デジタル社会の実現に向けてFAXの利用の廃止に取り組んでいく」という旨の発表がありました。
河野大臣はこの記者会見で、自身が行政改革担当大臣だった際に各府省にFAXの利用について見直しを求めていたこと、その結果、すぐには廃止できないとされていた336件のFAX業務のうち286件を廃止または廃止予定にできたことを発表しています。
デジタル化を進める国の方針として、各省庁もFAXの廃止、または利用縮小に取り組んでいます。
とはいえ、日本では今も4割近い企業でFAXが利用されています。社会情勢としてはFAXを廃止する向きになっていても、実業務を考えるとすぐにFAXを廃止するのが難しいという企業も多いのです。
ここでは企業がFAX廃止に踏み切れない理由、課題について考えていきましょう。
不動産業界や建築業界、医療業界など、「業務上現場にいることが多い」かつ「図面などを含む情報伝達や申し送りを書面でリアルタイムに送って証拠を残す必要がある」業界では、日常的に大量のFAXがやり取りされています。
取引先がそういった業界の企業である場合、FAXはむしろ電子メールなどよりも主要な通信手段になり得ます。たとえ自社ではさほどFAXを利用していないとしても、業務状況を考慮すれば、一方的に廃止に踏み切るのは難しいでしょう。
実際にFAXを廃止して代替ツールを導入するとなると、全体的な業務プロセスの見直しが必要になります。FAX業務の細かい洗い出しはもちろん、電子化・システム化した後の書類管理やデータ連携、承認フローの方法についても決め直さなくてはなりません。またそれに伴い、システム利用のための社員研修なども必要になってくるでしょう。
特に、日常的にFAXを利用している企業ほど、業務プロセスの改善に大幅な時間と労力がかかってしまいます。こうした背景もまた、FAX廃止が進まない要因のひとつとして考えられるでしょう。
FAXは「原稿をセットして、宛先となる電話番号をプッシュする」だけで必要な書類を送信できる機器です。誰でも簡単に、特別な知識も操作で操作できることが、FAXの持つ大きな強みと言えます。
一方で最新のITツールは多機能な分、日頃からIT機器に慣れている人でないと、操作が難しいと感じることもあります。年配の社員など、長年FAXを利用していてその簡易性に慣れている人にとっては、FAXを廃止して新しいITツールに移行するというのはなかなかに受け入れがたいことでしょう。
実際に、先に触れたデジタル庁・河野太郎大臣の記者会見においても、各府省でFAXの廃止を進めているという説明の中で「高齢者あるいは障害者向けの手続や相談、また極度の遠隔離島で電子メールの利用が困難という特殊な環境の業務については対象から除く」という旨の発言がありました。
ITツールへの苦手意識や「FAXで充分」という意識が企業内で根強く残っている場合、FAX廃止に向けて向けて動いていくのは難しくなります。
実際の業務を考えるとFAXそのものをなくすことは難しいけれど、諸般のメリットを考えると既存のアナログなFAXは廃止したい! という企業におすすめなのが「インターネットFAX」です。
従来のFAXでは、電話回線を利用して複合機でFAXの送受信を行っていました。一方でインターネットFAXはその名のとおり、インターネット回線を通じてFAXをやり取りできるサービスです。FAXをPDF形式にして送受信しており、クラウド上で文書を確認できるほか、受信時にはメール通知を受け取ることもできます。
近年ではFAXのクラウド化を実現するさまざまなサービスが出てきており、世界的に見てもその市場は年々緩やかに拡大しています。
たとえば「自社での利用機会は少ないがFAXを受信する必要がある」といった場合には、ブラウザ上で簡単にFAXを利用できるWebサービスや、ある程度機能がまとまっているパッケージ製品を導入するのがよいでしょう。逆に「自社で頻繁にFAXを利用する」企業であれば、自社の既存システムと連携してFAX関連業務を自動化できるAPI製品の導入がおすすめです。
続いては、既存のFAXを廃止してクラウド製品を代替とすることにどのようなメリットがあるのかを整理してみましょう。
日常的にFAXを利用している企業の場合、毎日大量のFAXを扱うことになります。送る原稿の紙面をいちいち複合機でスキャンしたり、受信した書類の中から対象のものを探し出したりといった作業にはなかなか手間がかかります。
たとえばFAXの電子化によってこうした作業を自動化すれば、従業員の業務効率を改善できます。大量のFAX送信も手動でやるより素早く正確に行えるため、限られた人的リソースをより重要な仕事へ割り当てられるでしょう。
また送られてきた書類の管理についても、デジタル化してしまえばPC上で簡単に検索・確認できるようになります。情報を探す手間を省けるほか、関係者への共有が容易になるというのも魅力です。
従来のFAXでは、FAXを送受信するにあたって複合機が必要不可欠となります。しかし複合機は物理的に場所を取ってしまううえ、維持費用や電話回線の料金もかかってしまいます。また送られてきた原稿を紙で出力するため、コピー用紙やインクといった消耗品を購入する分の経費もかかります。
FAXを廃止すれば、それらのコストをすべて削減できます。ペーパーレス化によって従業員の工数が減るのはもちろん、金銭面においても節約することが可能です。
従来のFAXでは、書類を送るため、または書類が取引先から届いているかを確認するために、どうしても従業員が複合機のあるオフィスまで出社しなければなりません。
コロナ禍をきっかけとして、近年では多くの企業がテレワークや在宅勤務といった柔軟な働き方の実現に取り組んできました。しかし取引先がFAXを利用しているために複合機が手放せないという企業の場合、FAX関連業務のせいでテレワークを推進できない状況に陥りがちです。
FAXを廃止してクラウドサービスを利用できれば、場所を問わずに業務を行えるようになり、テレワークの促進につながります。
FAXを扱ううえでのセキュリティリスクとして、送信先の誤りによって機密情報が意図せず外部に流出してしまったり、送られてきた紙の文書を社外へ持ち出したことで情報漏洩してしまったりといったことが挙げられます。
そういったリスクを回避するうえでも、FAXを廃止してセキュリティの担保された通信手段に切り替えるのがおすすめです。暗号化されているチャットツールや、添付データに閲覧制限をかけられるサービスなど、機密情報の保護を強化できる電子ツールの導入を検討するのがよいでしょう。
FAXのクラウド化にはさまざまなメリットがありますが、実際に新しいサービスを導入する際には、いくつか気をつけなければならないポイントもあります。ここではインターネットFAXサービスを選ぶうえで意識したい点をご紹介します。
インターネットFAXの料金プランは、基本的には以下のような形になります。
ただし料金体系はサービスごとにそれぞれ異なります。サービスによっては送受信する枚数に応じて料金が変わるというケースもあるため、たとえば毎日大量のFAXを送受信する場合には、既存のFAXよりかえって割高になってしまうということもありえます。
自社におけるFAXの利用頻度にあわせてサービスを比較検討できるとよいでしょう。
インターネットFAXはインターネット回線を通じてFAXを送受信するため、それまで使用していた電話番号を継続するのではなく、新しいFAX番号を払い出すケースがほとんどです。そのためインターネットFAXの導入時には、取引先に新しい番号を周知しなくてはなりません。
連絡先が多い場合、一社ずつ連絡するだけで相当の手間がかかってしまいます。取引先への周知がスムーズにできる場合は問題ありませんが、FAX番号の変更が業務に著しい支障をきたす場合には、番号を引き継げるサービスを探すのがよいでしょう。
いきなり全社でFAXを廃止してクラウド化に移行してしまうと、社内外に混乱を招いたり思わぬトラブルが発生した際の対応が難しくなったりといったことが起こり得ます。インターネットFAXサービスを検討する際には、無料トライアル期間を設けているかどうかも判断材料にして、実際に使ってみてから決めるとよいでしょう。
またひとつの部署やひとつの拠点から導入できるサービスかどうかも重要です。まずは少人数で使ってみて、従業員がツールを使用するうえでどのような課題があるか、また取引先とのやりとりに問題がないかを洗い出しながら、最終的にクラウドFAXを全社へ展開できるのが理想です。
CROUD FAXは複合機を必要としない、クラウド型のインターネットFAXサービスです。インターネット環境とPCまたはスマートフォンさえあれば、FAXをいつでもどこでも送受信できます。紙やインクといった消耗品や高価な複合機が不要なのはもちろん送受信料も業界最安値を誇るため、コストの大幅削減も実現可能です。
CLOUD FAXには登録後すぐに利用を開始できるWEB版と、既存システムに連携するAPI版の2種類があります。
WEB版はWEBサービスのため、特定のアプリをインストールする必要もありません。PC・スマートフォン・タブレットのブラウザからダッシュボードにアクセスして、FAX番号と送信データを登録するだけですぐにFAXを送信できます。また受信したFAXもリアルタイムでメール通知されます。取引先がFAXを利用しているために複合機を手放せず、リモートワークが進められないといった企業におすすめです。
API版は初期費用が無料かつ運用コストも安価なFAX送受信APIを、抜群の安定性でご提供しています。既存のシステムと連携させてFAX機能を組み込むことで、FAX関連業務の自動化を実現できます。具体的にはWebhookにより、送受信のステータス確認やFAX受信時の自動処理が可能です。毎日大量のFAXを取り扱っていて、紙面のスキャンや溜まったFAXの整理に追われているといった企業におすすめです。
まとめ
本記事では企業におけるFAXの現状や課題、FAXをクラウド化することのメリットや注意点についてご紹介いたしました。
DX化やペーパーレス化が進む昨今の日本においても、FAXは少しずつ衰退しているものの、ビジネスシーンにおいてはいまだに大きな存在感を放っています。今後も全体数は緩やかに減少しつつも、需要自体はある程度維持されることでしょう。つまりFAXそのものがなくなることは当面ない、と予想されます。
これからはFAXをクラウド化して関連業務を効率化することが、企業にとっては必須かつ急務となってきます。自社のFAX利用状況をよく精査して、どのようなサービスを導入するべきなのか検討してみてくださいね。