公開日:2022.05.02
更新日:2024.07.24
まとめ
公開日:2022.05.02
更新日:2024.07.24
KDDIウェブコミュニケーションズ
自社のサービスを開発する時に、すべての機能を一から作るのは非常に大変です。しかし「API」を使えば、実装したい機能を簡単に自社サービスへ組み込むことができます。
この記事ではAPIの代表的な使い方について解説するとともに、自社サービスとAPIを連携することのメリット・デメリットや具体的な活用事例をご紹介いたします。
APIは「Application Programming Interface」の略語で、他のプログラムやサービスのアプリケーションに備わっている機能やデータを、一定の規則に従って活用できるようにするためのインタフェース(接点)の役割を担うものです。
ここでは、プログラム開発でAPIを使う代表的な方法についてご紹介します。
利用したいAPIを公開しているサービスに、会員登録を行います。提供会社によっては、利用するサービスやアプリケーションの情報を登録する必要があったり、利用権を得るための審査があったりします。
厳密な使用条件や利用回数の制限などが定められているケースもありますので、英文の規約であっても翻訳して内容を理解しておくとよいでしょう。
登録が完了したら、APIを利用するために「APIキー」や「シークレット」と呼ばれる認証コードを取得できます。
これらのコードは、APIを利用するための「パスワード」のような役割を果たします。サービスによって「APIキー」と「シークレット」が両方必要になったり、どちらか一方でよかったりするため、仕様書をしっかり確認してみてください。
取得した認証コードや必要な情報を載せて、APIリクエストを送ります。そうしてAPIが使えるようになったら、いよいよ自社のサービスに新しい機能を実装しましょう。
APIで取得したデータを利用したり、APIの機能でデータの処理を行ったり、自社サービスの開発を効率的に進めるために活用してみてください。
続いては、プログラム開発にAPIを使うことで得られるメリットについて、詳しく紹介します。
最もわかりやすいメリットは、APIの提供先サービスが持っている最新のデータを利用して開発ができることです。
APIの提供企業がデータ更新を行ってくれるため、自社で収集・更新する手間もなく、常に新しいデータを利用して開発を進められます。これによって実装したい機能の開発にのみ集中できるようになり、システムの機能拡大や精度の向上、またスピーディーな機能実装を実現できます。
また複数のAPIを活用し、相互に連携させていくことで、各々のAPIが持つデータをまとめて利用できます。サービスの機能に幅を持たせられるほか、開発スピードの向上も期待できるでしょう。
何か実装したい機能がある場合、その機能をあらかじめ持っているAPIを利用すれば、自社で新たに開発する必要がありません。そのため、開発にかかるコストが抑えられ、短時間で開発が進められます。
またAPI自体に機能が追加された場合は、そのAPIを利用している自社のサービスにも新機能を素早く導入できます。
自社サービスに機能を一から追加する場合と比較して、APIを活用するとセキュリティ面でもメリットが生まれます。
自社で機能を開発する場合、利便性や品質だけでなく、セキュリティ対策についても考慮して開発を始める必要があります。特に会員登録などが必要なサービスを運営している場合、顧客の個人情報や支払情報を漏洩させないよう、ひときわ注意しなければなりません。
しかし強固な認証機能やデータの暗号化など、クオリティの高いセキュリティ対策を行っているAPIサービスをログイン機能として利用すれば、会員情報はそれらのサービスのセキュリティレベルによって担保されます。
独自にセキュリティを高める開発をするより、有名企業のセキュリティレベルが高いAPIサービスを利用する方が強固になるケースもあるため、状況に応じて利用するとよいでしょう。
APIを使ってサービスの開発を行うと、ユーザビリティの向上も期待できます。
たとえばECサイトで、何かしらの商品をオンライン通販で購入するとしましょう。そのときAmazonなど大手ECサイトのAPIと連携されていれば、いちいち個別のサイトで会員登録せずとも、Amazonに登録してある会員情報を引用して購入手続きが行えるのです。
このように、ユーザーにとって使いやすいサービスの開発にAPIが活用されているケースが近年増加しています。
ここまではAPIを活用するメリットについて紹介してきました。続いては、APIを使うときに注意しておきたいデメリットについて紹介します。
APIの機能は提供事業者にとって、あくまで提供事業行っているサービスの一部です。そのためサービス自体の終了に伴い、API機能が停止される可能性を十分に考慮しておく必要があるでしょう。
APIが停止もしくは中止した場合、当然APIを利用している自社サービスの機能にも不具合が発生すると予想できます。自社サービスの機能低下や仕様変更にもつながりかねませんので、連携の際には注意しておきましょう。
APIの提供会社側でサービス障害やメンテナンスが発生する場合、API機能が利用できなくなるケースが予想できます。利用できない時間帯は、自社サービスも停止するといった不具合が発生する可能性があります。
計画的なメンテナンスなど、事前に把握できる場合は関係者の合意のうえ、自社サービスもメンテナンス中に切り替えるなどの工夫が必要になるでしょう。また突発的な障害に備えて、APIサービスの障害情報はすぐに確認できるように備えておくことが重要です。
APIの障害には、APIサービス設備やアプリケーションの不具合だけでなく、過剰な処理リクエストや不正アクセスの可能性もあります。サービス停止が長期化する事態も想定した対策を検討しておくと良いでしょう。
APIを使ってみたくなったけれど、「どんなAPIがあるのかわからない」「APIをどうやって探したらいいかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
APIの中でもWeb APIの場合は、インターネット上にAPIのまとめサイトがあったり、APIを使いたい人とAPIを提供したい人をマッチングするサービスが多く公開されていたりします。またAPIの用途によって分類したサイトなどもありますので、そこから使いたい用途のAPIを探してみてください。
すでに利用したいサービスが決まっている場合には、Google検索を用いて、直接検索してみるのも有効です。多くの場合、Google検索の1件目には公開されているAPIのマニュアルサイトが表示されます。
続いては、実際にAPIを活用したWebサービスの例を紹介します。具体的な利用方法や用途を知り、API利用にどのような魅力があるのかをチェックしてみてください。
Googleは、開発者が使いやすいようにまとめたAPIを数多く公開しています。中でもGoogle MapのAPIは、多くの方に馴染みがあるのではないでしょうか。
Google Map APIは、他社のインターネットサービス上でもGoogleのサイトと同じように地図を表示できる仕組みです。飲食店やホテルのホームページで、地図が埋め込まれているのを見たことがある人も多いでしょう。Googleと同じ精度の地図が手軽に使えるため、多くのサービスで活用されています。
ネット通販大手のAmazonでも、数多くのAPIを公開しています。中でもAmazon PayのAPIはさまざまなサイトで活用されています。
導入しているショッピングサイトでは、支払いの画面に「Amazon Payで支払い」というメニューが表示されます。選択するとAmazonの認証情報を入力するページが表示され、ユーザーがログインに成功すると、Amazonに登録された会員情報を引用し、支払い方法や氏名および住所といった情報が自動で入力されるのです。
普段からショッピングに利用している情報をそのまま使えるため、ユーザーにとっての利便性が高く、Amazon Payを導入するサイトが増加しています。
Facebookでは、会員制サイト等のユーザー登録やログイン用に、Facebookのユーザー情報を提供するAPIを公開しています。
サイトの情報を閲覧するためだけにアカウント登録をしなければならない場合、利用者にとってその情報の重要度が低ければ、諦めて離脱してしまう可能性が高くなります。
しかしFacebookログイン情報APIを活用すれば、ユーザーがFacebookに登録したデータを利用して、会員登録に必要な情報を自動入力できるようになるのです。利用者が情報入力する手間を省けることから、会員登録のハードルを下げてくれる効果が期待できます。
Vonageは、電話やSMS・ビデオ・チャット・SNSなど、さまざまなコミュニケーションチャネルをWeb・モバイルアプリケーションやビジネスへ組み込めるクラウドAPIサービスです。自動電話発信や電話転送、対話型IVR、自動SMS通知や二要素認証など、多岐にわたるサービスを実現できます。
コミュニケーションに関わる機能を自社で1から開発するのには多大な工数がかかります。通信の暗号化といったセキュリティ対策など考慮せねばならない点も多く、そのために実装を諦めてしまう企業も少なくありません。
しかしVonage APIと連携すれば、それらの工数をすべてVonage側が担ってくれます。お客様側でのインフラ開発はもちろん、ネットワークの構築・維持コストも必要ありません。ただ数行のコードを書き加えるだけで、自社サービスをマルチチャネル化できるのです。
まとめ
この記事では、APIを活用するための基本的な準備の流れについて紹介し、APIを利用するメリットとデメリットを解説しました。APIの利便性だけでなく、利用にあたっての注意点についても理解いただけたのではないでしょうか。
実際にAPIを利用する場合には、用途やキーワードをもとに検索し、目的に合ったAPIを見つけ出すことが重要です。まとめサイト等を確認し、開発チームにとって使いやすく、自社サービスの利用者にとって利便性の高いAPIを選択するよう心がけましょう。
まずはこの記事で紹介した活用事例を参考に、APIに対する理解を深め、自社サービスに導入する際のきっかけにしてみてください。