公開日:2022.04.04
更新日:2024.07.31
まとめ
公開日:2022.04.04
更新日:2024.07.31
KDDIウェブコミュニケーションズ
近年ではインターネット上で提供されているWebサービスの中に、「API」という単語を目にする機会も増えてきました。
APIはシステムの機能やデータを一部公開し、外部からも活用できるようにしてあるパーツのようなものですが、「API連携で開発を行う」ということについて具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
この記事では「API連携」について解説し、導入方法や利用するメリット、注意点を詳しくお伝えします。
そもそもAPI(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやプログラム、Webサービスを制作するにあたって、異なる二つのツールやサービスが連携しやすいようにプログラム間をつなぐインタフェースのことを指します。
プログラミングで使われるインタフェースという言葉には、アプリケーションをつなぐ「境界線」や「接点」の意味があります。APIはアプリケーション同士をつなぐための橋渡し役であり、事前に取り決められた接続方法であると覚えておくとよいでしょう。
APIの基本的な仕組みは、APIサービスが取り決めた仕様に準拠していれば、API利用者の「リクエスト」とAPI提供者の「レスポンス」から成り立ちます。
たとえば、あるサイトに「商品を検索するAPI」が埋め込まれている場合。利用者が探したい商品名やジャンル名を打ち込むと、提供者は検索条件に合った結果の一覧を出します。これがリクエストとレスポンスの関係です。
リクエストの出し方やレスポンスの形式は、開発者によってさまざまなパターンがあります。
API連携はその名の通り、APIを活用してアプリケーション同士を連携させることです。API連携を利用すると、開発者はアプリケーションの機能を一から開発する必要がなくなります。
たとえばGoogle社が提供する「Google MAPs API」を利用すると、自社のアプリケーション上でGoogleの高精細・高機能な地図を利用できます。地図のデータや住所情報等を独自に用意する必要がありません。
また開発側の企業にとっても、自社サービスのAPIを作成して公開することで活用の幅を大きく広げられます。自社だけではリーチできない層にも使ってもらえる可能性が生まれるのです。
ここでは、実際にAPIを利用する場合の簡単な手順を紹介します。具体的な手続きの方法はサービスによって異なりますので、各サイトのマニュアルを確認しましょう。
最初に、利用したいAPIを公開・提供しているサービスに登録します。自分のサービスにどのような機能を取り入れたいのか、といった観点で検索してみてください。
登録にはAPIの利用を考えているアプリケーションの「名前」「機能の概要」「トップページのURL」などが必要になります。
海外のサービスの場合は英語で入力したり、登録自体が許可制で審査をクリアしたりする必要があります。事前に登録するサイトの必要事項を調べておくとよいでしょう。
サービスへの登録が完了すると、APIを利用するためのAPIキーやシークレットが発行されます。
APIサービスではセキュリティ等の理由から、APIの利用に認証が必要になる制限がかけられているケースも少なくありません。多くの場合、APIキーやシークレットがAPIへのログイン情報のような役割を果たします。重要なものになりますので、厳重に保管しましょう。
事前準備が整い、審査を通過したら、いよいよ作成するアプリケーションに対してAPIを利用した機能を実装しましょう。アプリケーションからAPIにリクエストを行い、レスポンスにしたがって、表示する内容を変えることが可能になります。
APIを活用したサービスの連携は、私たちの身の回りでも目にする機会が増えてきました。ここでは、よくあるAPIの連携事例を紹介します。
生活の中でよく目にするのは、SNSにおける実装です。具体的なケースは次のようなものがあります。
SNSの認証情報を利用して、ログイン認証行います。
会員制のWebサイトに登録する際、FacebookやTwitterの登録情報を利用して登録やログインを行うサイトを見たことはありませんか?
これは、認証情報や登録情報の確認にSNSの認証用APIを活用している事例です。サービスの開発者はログイン機能を独自に作成する必要がなく、フォーマットに沿ったリクエストができれば簡単に導入できます。
TwitterやInstagramなど、SNSに投稿された記事の中から特定のキーワードやハッシュタグが付与された記事を抽出し、自社のサービス上に表示できます。
この機能を利用すれば、サービスに関連するキーワードやタグが付与された記事のみを自社のサービス内で紹介できます。SNS上でイベントやキャンペーンを展開する際によく見かける手法です。
近年では、複数のSNSアカウントを所持している人も少なくありません。その場合も、APIを活用すると同じ内容を異なるSNSに一斉投稿できて、時間の短縮になります。
例えばInstagramには投稿画面に「Facebookにも投稿」というチェックボックスが用意されています。このチェックボックスにチェックすることで、InstagramだけでなくFacebookにも同じ内容の投稿できます。この機能を実現するために、Instagramの処理の中でFacebookのAPIを活用しているのです。
APIを利用したシステムは、ECサイトでも多く活用されています。在庫管理や決済の実装例について、具体例を挙げながら紹介するのでイメージしてみてください。
通常、商品の売買を複数のECサイトで行う場合、それぞれのECサイトに商品を登録して管理する必要があります。しかしAPI連携を活用すれば、商品登録用のデータを1つ作成するだけで、複数のECサイトに一括登録できます。
またいずれかのサイトで商品が購入された場合、すべてのサイトで連動して在庫数を減らしたり、在庫が増えた場合には自動で追加したりする処理を作れます。
複数のECサイトで同じように処理を行えるため、商品管理にかかわる手間を大幅に削減できるでしょう。
ECサイトのシステム内で、決済システム事業者により提供されるAPIを活用してシステムを構築できます。具体的には、自社のシステム内で利用者からクレジットカード情報等の決済情報を入手し、決済システムのAPIへ情報を送信して処理を行います。
独自に決済システムを構築せずに済むだけなく、利用者のカード情報等の重要な情報を自社システムで管理する必要がなくなります。システム設計時に考慮すべきセキュリティ等のポイントを減らせるのです。
API連携を活用してシステムを構築すると、開発者には次のようなメリットがあります。
API連携を行うことで、API提供者が保持しているデータを二次利用してシステムを構築できます。
情報の二次利用を行うことで、膨大なデータの収集や登録、更新を新規で行う必要がなくなります。これによって実装したい機能の開発にのみ集中できるようになり、システムの機能拡大や精度の向上、またスピーディーな機能実装を実現できます。
APIによって実装済みの機能を活用することにより、開発効率を高められます。
作りたい機能が複雑な処理を必要とする場合でも、APIを活用することで機能の追加が容易になり、開発スピードを早められます。一部機能の開発を予定よりも早く終了できれば、他の機能の開発に時間やリソースを割り振ることも可能です。
結果としてシステム全体の開発効率が高まり、コスト削減につながるだけでなく、開発の品質向上にも役立てられます。
API連携の使用は、セキュリティ面の向上にもつながります。
例えば利用者の会員情報等を管理する場合、自社で独自に登録画面を作成するとなると、セキュリティを含めた機能についても一から構築しなくてはなりません。
しかしFacebookやTwitterといった世界基準の非常に高いセキュリティ対策を行っているAPIと連携すれば、会員情報はそれらのサービスのセキュリティレベルによって担保されます。独自に個人情報を管理するより、高いセキュリティを保つことが可能となる場合があるのです。
独自にセキュリティを高める開発をするより、有名企業のセキュリティレベルが高いAPIサービスを利用する方が強固になるケースもあるため、状況に応じて利用するとよいでしょう。
API連携を利用すると、システムの使いやすさの指標として利用されるユーザビリティの向上も見込めます。
たとえばWEBサービスに新規登録する際、登録情報を一から入力していくのを面倒だと感じるユーザーも多いでしょう。しかしAPI連携を利用してすでに登録済みのサービスの情報を再利用できれば、登録にかかる時間も短縮されます。
ここまでは、API連携を利用するメリットについて紹介しました。続いては、API連携を導入するにあたっての注意点を2つご紹介します。
利用するAPIサービス自体の停止が発生すると、連携する機能にも影響が出ます。場合によっては自社のシステムも停止する可能性が出てくるため、注意して活用しましょう。
APIの仕様変更やサービスの終了などに伴い、自社のシステムにも不具合が発生する可能性があります。それまでのように活用できなくなる可能性もあります。
定期的にAPIの仕様変更がないか定期的にチェックして、影響がありそうな場合は速やかに改修しましょう。
システム間のデータ連携方式として、従来はCSVでエクスポートしたデータを連携させる方法が多く活用されてきました。
CSV連携を利用するためには、連携先の仕様に合わせてCSVファイルを加工したり、取得したCSVファイルを使いやすいように整理したりする必要がありました。またCSVデータは更新・取得した時点における最新版のため、データを活用する時には手動で更新しなければならない可能性もあります。
しかしAPI連携を利用すれば、リクエストを送信するたびに常に最新のデータが提供されます。より簡単に、最新のデータを活用できるでしょう。
Vonageは、電話やSMS・ビデオ・チャット・SNSなど、さまざまなコミュニケーションチャネルをWeb・モバイルアプリケーションやビジネスへ組み込めるクラウドAPIサービスです。自動電話発信や電話転送、対話型IVR、自動SMS通知や二要素認証など、多岐にわたるサービスを実現できます。
コミュニケーションに関わる機能を自社で1から開発するのには多大な工数がかかります。通信の暗号化といったセキュリティ対策など考慮せねばならない点も多く、そのために実装を諦めてしまう企業も少なくありません。
しかしVonage APIと連携すれば、それらの工数をすべてVonage側が担ってくれます。お客様側でのインフラ開発はもちろん、ネットワークの構築・維持コストも必要ありません。ただ数行のコードを書き加えるだけで、自社サービスをマルチチャネル化できるのです。
「Vonage Conversational Commerce」はSNSやWEBプラットフォーム上で動作するエンドツーエンドの対話型コマースソリューションです。AIによるチャットボットや有人オペレーターによるライブチャットで、顧客への接客から購入決済までの一連の流れを、すべてそのプラットフォーム上だけで実現できます。
企業側が一斉通知でSNS上に公開した情報に対して顧客がコメントすると、 AIが即座にメッセージの意図を理解して、商品の詳細説明などを自動で応答します。そして顧客から購入の申し入れがあれば自動的にカートへ誘導し、決済完了までをサポートします。商品の認知から購入までがSNS上だけで完結するため、顧客の高まった購入意欲を維持したまま、快適な購入体験を演出できるのです。
まとめ
この記事では、API連携の特徴とAPI連携の方法を解説し、実際の活用事例についてご紹介しました。
API連携によって開発効率がアップしたり、システムの品質やユーザビリティが向上したりと、多くのメリットを享受できます。しかし外部システムと連携していることから来る注意点もあるため、その特性を十分に理解しておく必要があります。
API連携の特性を理解して、より良い活用方法を検討してみてくださいね。