まとめ
さる2024年10月12日(土)、弊社KDDIウェブコミュニケーションズが協賛する「Vonage ハッカソン2024」(主催:一般社団法人MA)の成果発表会が行われました。
Vonageハッカソンは、世界大手CPaaS「Vonage」を使用して、コミュニケーションの力で社会や地域の課題を解決するプロトタイプを開発することを目的としたハッカソンです。オンライン開催となったDay1:9/28(土)では20名の参加者が集まり、アイデアソンおよびチームビルディングを行いました。
本記事ではDay2である成果発表会の様子と、実際に発表された11作品についてご紹介いたします。
各チームの開発成果を発表するDay2は、オンライン・オフラインのハイブリット型で開催されました。オフライン会場となったのは東京都港区のオフィス街にある、KDDIウェブコミュニケーションズが独自で運営するコラボレーションスペース「FLAT BASE」です。
Day2の成果発表会はDay1に参加していなくとも見学可能となっていたこと、またオフライン会場では発表会の終了後に懇親会が用意されていたこともあり、当日はオンライン・オフラインあわせて約10名が会場に集まりました。
成果発表会の司会を務めたのは、一般社団法人MAの伴野智樹氏。応募されたプログラムを完成度・アイデア・Vonageらしさを基準として審査したのは、Vonage Japan合同会社の西村哲郎氏、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズの青木宏憲氏、そしてITイベントではおなじみの池澤あやか氏の3名です。
多彩なアイデアが集ったVonageハッカソン。どのような作品が発表されたのか、見ていきましょう。
ビデオ会議の画面を格闘ゲーム風のレイアウトに変更できるプログラムです。最初のひとりは「対戦相手を探しています」というマッチング画面でメンバーを待つ形となり、通話に人が入ってくると「挑戦者が現れました!」のカットインとともに相手のカメラの映像が流れます。そうして通話が始まると、画面を分割して中央にVSマークを置いた対戦画面のレイアウトに変更されます。
リモートワークが普及した昨今、ビジネスにおいて、ビデオ通話を用いたオンライン会議は当たり前のものとなりました。しかしそのどれもが無機質なレイアウトであることに疑問を持ち、より自由でワクワクするものを作ろうとしたのが今回の開発のきっかけとのことです。
Vonage Videoで作成したテレビ会議システムをもとに、生成された10行ほどのHTMLからVideoタグをハックして、自作の対戦画面を合成させて表示させています。なお参加者が大人数になっても、キャラクター選択画面のようなレイアウトにすることで目に楽しい会議を実現可能です。
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連絡先を交換したくない相手にやむを得ず電話番号やLINEのIDを教えなければいけないような状況で、自分の本当の連絡先とは別の、使い捨て用の連絡先を共有できるサービスです。
LINE上で使い捨て用のIDに遷移するQRコードを生成でき、ここから友達登録した相手からのテキストメッセージにはAIが自動応答で対応します。また電話番号のやり取りをする際も使い捨て用のものを教えておくことで、かかってきた電話はすべてTel柱を経由して転送されるようになります。
さらに電話の場合、obnizによるイベント送信で通話音声に介入できます。つまり会話を切り上げたいタイミングで雑音を流してフェードアウトする、といったことも可能です。
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ビデオチャットとマルチプレイ可能なゲームアプリケーション、カメラの映像からボディトラッキングを行うAIを組み合わせたランニングゲームです。オンライン上でリアルタイムに複数人と会話しながら運動ゲームを行えるため、孤独を回避しつつ運動不足を解消できます。さらにゲーム後は自身の動きをAIが診断してくれるため、運動の姿勢などについての改善サポートも受けられます。
先進国の中でワースト1となってしまうほど、昨今の日本では家族以外の付き合いがほとんどない「社会孤立」の状態にある人が増えています。また少子高齢化が進んでいることもあり、高齢者の孤独死が大きな社会課題となっています。
そうした状況下で、社会孤立の解消と健康寿命の向上を同時に叶えるソリューションとして生み出されたのがこの「体を動かすウェルネスチャレンジ~ 元気100歳、健康寿命UP! ~」です。簡単なゲームを複数人で一緒にやれるサービスの創造により、人々の孤独を癒すとともに運動不足を改善します。
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3人のユーザーが発した言葉をもとに、AIがストーリーを作り上げるプログラムです。Webサイトへアクセスして電話番号を登録すると、自分を含めた3名のユーザーにそれぞれ通話が発信され、異なるメッセージが再生されます。それに回答すると一度切れたのち再び電話がかかってきて、音声入力された単語からできあがった物語を聞ける、という仕組みです。
「言葉」が持つ力や奥深さ、その面白さを、マインド面でのプラスに活かせるサービスを作りたいという思いから開発されました。
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地震発生時に家族全員へ自動発信を行い、AIによる発話で避難指示を行えるサービスです。また避難中にも定期的に電話を発信して状況を確認したり、同時にSMSで避難先の情報や避難先への地図を送信したりもできます。そのほか、自宅に置いたBOCCOと連携することで、もし家族が自宅へ戻ってきていた場合にBOCCOからも避難指示が行えるようになっています。
地震大国である日本。中でも駿河湾から日向灘沖にかけての広範囲に影響を及ぼす「南海トラフ地震」は100年から150年の周期で発生しており、今後30年以内に70~80%の確率で再び発生すると予想されています。今後起こりうる災害を前に、「有事の際に家族で安否を伝えあえるサービスを考えたい」というのが開発のきっかけとなりました。
TelCallは決められた時間ごとに自動で電話を定期発信し、応答状況をkintone上に記録できるプログラムです。電話に出られたのか否か、そもそもつながったのか否かによって、相手の状況をおおまかに予測することができます。
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走るペースが近いランナー同士がランダムで選出され、通話でマッチングするプログラムです。ランニングコースなどで起こりうる通りすがりのランナーとの談笑を、オンライン上でも実現するサービスとなっています。
コロナ禍以降、リモートワークの普及もあり、サラリーマンの運動不足が社会課題になりつつあります。しかしいきなりひとりで黙々と運動をするのはハードルが高いため、ランナー同士が電話の自動発信によってつながるシステムを考案したとのことです。
通話がつながる条件は「走るペース」のみ。走るスピードに差ができると通話が切れて、また違った相手とつながります。周囲の人と声をかけあいながら追い越したり追い抜かされたりする実際のランニングのように、オンライン上でさまざまなランナーと通話できるのが大きな特徴です。
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LINEボットで家族が定期通話を設定することで、一人暮らしの高齢者に自動で電話が発信されるプログラムです。あらかじめ決められたフローどおりにAIが高齢者と会話して、その内容を自動要約してLINEボットに掲載します。そのため家族は離れて暮らす高齢者が日々きちんと電話に出たか、またどのような話をしたかをLINEボット上から確認できます。
少子高齢化が加速している近年の日本において、一人暮らしの高齢者は年々増加の一途を辿っています。2040年には3割近い高齢者が一人暮らしになると見込まれており、独居老人の孤独死が重篤な社会問題になろうとしているのです。しかし自治体の訪問や電話確認といった取り組みには人手もお金もかかってしまうため、今後は継続が困難になっていくと予想されます。
そうした現状とこれからの予測を踏まえて、今回のハッカソンにて、各家庭で電話による安否確認を行えるシステムを考案したとのことです。これにより孤独死の可能性を検知し、すぐに家族や自治体が介入できるようになるでしょう。
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雑誌やウェブでは得られない観光地のリアルタイムな情報(天気、気温など)や待ち時間、混雑状況を把握できる、匿名中継サービスです。ユーザーが場所と欲しい情報についてリクエストを出すことで、それに賛同した現地の中継者が配信を開始し、現地の風景や情報を伝えます。中継者は匿名かつ顔出しもしません。ユーザーの希望に対し、声での説明と現地の映像だけで応えます。
外国人観光客が増加の一途を辿っている昨今。今の待ち時間はどれくらいなのか、晴れているのか雨が降っているのかなど、観光地のリアルタイムな情報を把握することが難しくなっています。結果、せっかく観光地に行ったのに情報不足で計画に支障が出たり、混雑によるストレスを感じたりと、観光体験の質が低下してしまうことも。Vona-castはそうした課題を解決するために生まれたプログラムです。
Vona-castにソーシャルログインし、地図上で行きたい場所をクリック。そこから欲しい情報などを入力してリクエストを募集すると、近くにいる中継者の画面に募集が表示されます。中継者はその募集を選んでビデオミーティングに入ることで、中継配信を始められます。
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家で育てているミントに土壌水分センサーを接続し、土が乾いてきたタイミングでユーザーへ自動発信を行って水やりを促すプログラムです。水をあげすぎるとアラートがkintone上に記録され、電話がかかってこなくなります。
2.0と銘打たれた今回は、ユーザーから電話をかけることも可能になりました。通常時には「お世話してくれてありがとう」といったお礼のメッセージが流れますが、アラート中に電話をかけると通常時とは違う男声の人工音声で過干渉を咎められるなど、バリエーションに富んだ応答を楽しめます。ちなみにアラートは公衆電話から電話をかけるというひと手間を加えることで解除可能です。
部屋にあるミントの水やりを忘れないようにしたい、なおかつ話し相手が欲しいというニーズから開発されました。自動で水やりを行うIoT農業が普及しつつある今日において、あえて人間の行動を植物がコントロールするというユニークな作品となっています。
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電話で入力した音声をテキスト化し、そのテキストをもとにAIがポジティブな装飾を施して送信するプログラムです。できあがった文章を送るか、さらに修正するかは手動で選べるため、意図しない絵文字などがついた文章が勝手に送られることはありません。またメッセージのもととなった音声データを相手に送るかどうかも選べます。
テキストメッセージはどうしても内在する感情を伝えるのが難しく、誤解を与えてしまいがちなチャネルです。しかし気さくな文章を書くのにも相応の技術が必要ですし、そもそも慣れていないユーザーは絵文字を選ぶこと自体にも心理的なハードルを感じてしまいます。しかし声色コミュニケーションであれば、声をもとにして感情豊かなテキストを生成できます。話すだけでメッセージができあがるため、たとえば料理中など、手が離せないような場面でも活用できるでしょう。
なお現在の声色コミュニケーションはプロトタイプであり、音声から感情を読み取っているわけではありません(Vonageの感情分析AIが日本語非対応のため)。しかし今後Vonageの感情分析AIが日本語にも対応できるようになったり、あるいは感情分析を行える外部サービスを連携したりすれば、音声をもとにネガティブな内容などもマイルでに装飾できるようになります。そのほか、生成されたテキストをワンタップで修正できる機能も実装予定となっています。
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バーチャルオフィスの利用者が使える営業支援ツールとして、「営業電話をラップ楽曲化する」プログラムです。von.restに電話をかけることでVonage上に音声を録音し、RIFFUSION APIで楽曲にします。今は自身の電話にコールが返ってきて曲が再生されるようになっていますが、今後は完成したラップをそのまま顧客へ送れるようにブラッシュアップされる予定です。
バーチャルオフィスでもコワーキングスペースを借りている人と同じように営業支援を行いたい、というきっかけから、「電話営業が苦手な人でも、ラップで営業を行えばテンポよく話せるのではないか」というアイデアのもと、今回のプログラムが開発されました。
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今回は1チームが最優秀賞、3チームが優秀賞、3チームがサポート企業賞に選ばれました。
最優秀賞 |
Vona-cast |
優秀賞 |
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サポート企業賞 |
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最優秀賞を獲得したチームには「星野リゾート宿泊ギフト券20万円分」、優秀賞を獲得したチームには「星野リゾート宿泊ギフト券5万円分」が贈呈されました。またサポート企業賞に選ばれたチームには各企業のロゴ入りグッズが贈呈されています。
表彰式では記念撮影と各作品に対する講評が行われ、終始笑いの耐えない中、朗らかな雰囲気でハッカソンは幕を閉じました。
Vonageは、電話やSMS・ビデオ・チャット・SNSなど、さまざまなコミュニケーションチャネルをWeb・モバイルアプリケーションやビジネスへ組み込めるクラウドAPIサービスです。自動電話発信や電話転送、対話型IVR、自動SMS通知や二要素認証など、多岐にわたるサービスを実現できます。
今回のハッカソンで発表された11作品はすべて、VonageのAPIを利用して開発されています。Vonageはあらゆる外部サービスと連携し、組み合わせることで、無限の可能性を生み出せるコミュニケーションAPIサービスです。ぜひこの機会に、みなさまも触れてみてはいかがでしょうか? 次なる素敵なアイデアをお待ちしております!
Vonageハッカソン2024 成果発表会の当日の様子を動画でご覧いただけます。
まとめ
電話やSMS、ビデオ会議などのコミュニケーションチャネルを用いたサービスは、1から開発するのに多大な工数がかかってしまいます。通信の暗号化をはじめとするセキュリティ対策など、考慮しなければならない点も多く、そのために開発を諦めてしまうケースも少なくありません。
しかしVonage APIを利用すれば、それらの工数をすべてVonage側が担ってくれます。ユーザー側でのインフラ開発はもちろん、ネットワークの構築・維持コストも必要ありません。ただ数行のコードを書き加えるだけで、簡単にマルチチャネルのサービスを実現できるのです。
VonageはCPaaSで新たなサービスを生み出したい方にも、既存のサービスにコミュニケーションチャネルを追加してリニューアルしたい方にもおすすめのサービスです。ぜひ一度お試しくださいませ!