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CPaaSとは?実現できるサービスや導入メリットを詳しく紹介

公開日:2024.02.26

更新日:2024.10.24

KDDIウェブコミュニケーションズ

CPaaSとは?実現できるサービスや導入メリットを詳しく紹介

スマートフォンやタブレットの普及に伴い、コミュニケーションの手段も多様化した昨今。

企業がより多くの顧客と綿密につながっていくためには、 Webサイトのフォームやメールだけでなく、電話/SMSやチャット、ビデオ、SNSなど、あらゆるコミュニケーションチャネルを用意する必要が出てきました。

しかし多岐にわたる窓口を用意しようとすると、開発に膨大な手間とコストがかかります。一つひとつのチャネルについて、通信システムに対する複雑な知識やスキルも必要となります。

そのため近年では他社サービスを活用して、自社が元々持っていた窓口に新しいチャネルを連携させる企業が増えています。

そこで注目を集めているのが「CPaaS」です。

本記事では「CPaaS」について、基本的な説明や特徴、導入のメリットなどをご紹介します。

CPaaSとは?

CPaaSとは?

CPaaSは「Communications Platform as a Service」の略称で、コミュニケーションに関するさまざまな機能を提供するクラウドサービスのことをいいます。音声通話はもちろんSMSやビデオ会議、チャットボット、音声認識、IVRなど、連携させられる機能は多岐にわたります。

CPaaSではこうした通信機能を API(Application Programming Interface)によって連携させる仕組みになっています。APIとは他のプログラムやサービスのアプリケーションに備わっている機能やデータを、一定の規則に従って活用できるようにするためのインタフェース(接点)の役割を担うものです。

APIの詳細について知りたい方は、ぜひ「今さら聞けない「API」とは?初心者にもわかりやすく解説」の記事もご参照くださいませ。

またこれまでのCPaaSはプログラミングを前提とした提供でしたが、最近ではローコード・ノーコードでの開発ができるようになっています。専門的なコードが書けなくてもウェブ上でフロー設計を行えるビジュアルビルダーも登場しており、利用の幅がさらに広がっています。

CPaaSが注目されている理由

CPaaSが注目されている理由

スマートフォンの普及や感染症の流行に伴うテレワーク推進など、近年はコミュニケーションのあり方が大きく変わっています。それに伴い、顧客のコミュニケーションに対するニーズも多様化しました。

しかし求められるすべてのコミュニケーションチャネルを自社だけで用意するには膨大なコストがかかります。高度な通信技術の知識が必要になる点も、一般的な業務システム開発の担当者にとっては懸念事項でした。

CPaaSを利用すれば、通信に関する詳細な知識がなくとも、必要な機能を手軽かつスピーディーに自社サービスへ導入できます。システム開発の工数を省き、業務負担を増やすことなく、マルチチャネル化を実現できるのです。この手軽さから、CPaaSは注目を集めています。

企業が持つコミュニケーションツールを、音声や動画、SMSなど多様な範囲に広げることで、企業の業務効率化を推進するとともに顧客満足度を高められるでしょう。

CPaaSの主な通信機能

CPaaSで追加できる主な通信サービスは下記のとおりです。

  • 音声通話
  • SMS送信
  • ビデオ会議
  • 通話録音
  • 音声認識
  • 自動音声
  • チャットボット

など

コミュニケーションに関わる通信機能をひととおり揃えているため、これらを組み合わせることで既存のシステムやサービスをスムーズに拡張させられます。

数行のコードでコミュニケーションチャネルを連携!
クラウドAPIサービス「Vonage」

CPaaSでできること

API-usage-example

CPaaSを導入することでどのようなサービスを実現できるのか、いくつか例を紹介します。

システム障害通知

サーバーやネットワークの監視システムと連携することで、システム障害を検知した際、その結果を音声通話やSMS、メッセージなど複数のチャネルで通知できます。担当者が応答するまで連絡網に従って自動発信を行ったり、担当部署の全員に一斉通知を行ったりと、迅速かつ確実な障害通知が可能です。

システム障害は早期対応が必要となるため、適切なチャネルで即座に通知を行えるのは大きなメリットと言えるでしょう。

コンタクトセンター構築

感染症の流行や自然災害の頻発により、昨今ではテレワークを取り入れている企業も増えてきました。従業員の働き方が多様化するのにあわせて、コンタクトセンターを在宅化したい、というニーズも高まってきています。

しかし自社で一からコンタクトセンターを立ち上げるとなると、システム構築に多大なコストがかかります。マルチチャネル対応にする場合はチャネルごとにベンダーを選定し、それぞれでセキュリティチェックや契約、開発することになるため、工数もかかってしまいます。

CPaaSには、コンタクトセンターに欠かせない通話やSMS、ビデオチャットなどのコミュニケーション機能が一通り揃っています。自社に必要なものだけを選んで実装できるため、スピーディかつ低コストでコンタクトセンターを立ち上げられるでしょう。

予約リマインド

飲食店や美容院などの予約システムとCPaaSを連携させることで、予約のリマインドが行えるようになります。予約完了時にはメールで予約内容を連絡し、前日にはSMSでリマインドするなど、さまざまなチャネルで顧客とのコミュニケーションを行えます。これにより、当日の無断キャンセルなどを削減できます。

二要素認証

会員登録やログイン時において、異なる2つ以上の要素を組み合わせて本人確認を行う認証方法を「二要素認証」といいます。顧客が自身で設定したID・パスワードに加え、スマートフォンへ送信されたワンタイムパスワードの入力を求めたり、指紋認証を行ったりするのが例として挙げられます。

より厳密な本人確認が行えるため、近年増加しているなりすまし・不正アクセスに有効です。

既存の認証システムとCPaaSを連携させれば、ワンタイムパスワードのSMS送信を簡単に実装できます。またサービスによっては、ワンタイムパスワードの生成・送付・正誤判定までをワンストップで提供しているものもあります。

CPaaSを導入するメリット

CPaaSを導入するメリット

CPaaSを導入することでどのようなメリットを得られるのか、また一般的なクラウドサービスと比べてCPaaSが優れている点はどこにあるのか。ここでは、4つほどご紹介します。

①マルチチャネルに対応し、最適な発信が行える

スマートフォンの普及に伴い、顧客とつながるコミュニケーションチャネルはさらに幅広くなりました。電話やSMS、メールといった既存のチャネルはもちろん、ビデオ、チャット、SNSなども選択肢に入ってくるようになりました。

CPaaSを導入することで、顧客に対してどのような方法でコミュニケーションを取るかを柔軟に選べるようになります。たとえば普段の情報発信はSNSやメールで、重要なリマインドはSMSや音声通話の自動発信で伝えるなど、内容に応じてコミュニケーション手段を使い分けられるのです。

②システム構築の工数を削減し、業務を効率化できる

自社サービスにコミュニケーション機能を連携させる場合、従来の方法では、利用したいチャネルの分だけサービスを契約する必要がありました。窓口を増やすごとにサービス選定をして問い合わせを行い、セキュリティチェックを実施して契約を締結します。そこから開発を始めて実装することになるため、工数がかかるのはもちろん、開発スケジュールの圧迫にもつながっていました。

しかしCPaaSなら、複数のコミュニケーションチャネルを提供しているケースがほとんどであるため、複数の機能を使いたい場合でも一回の契約で済みます。実装もAPI連携させるだけと簡単で、システム構築にかかる時間を大幅に削減できます。

こうしたシステム開発・システム保守の工数を減らせることで、エンジニアがより専門性の高い業務に集中して取り組めるなど、業務効率改善にも役立ちます。

③カスタマイズがしやすい

CPaaSは既存のシステムにAPIを組み込んで機能を拡張する仕組みのため、必要なコミュニケーションチャネルだけを実装できるのが大きな特徴です。また導入後も機能の追加や削除を簡単に行えるため、自社の業務や状況、ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできます。

サービス改善をスピーディに行えるという点で、カスタマイズの柔軟性は大きなメリットと言えるでしょう。

④コストを抑えられる

CPaaSはインターネット上でサービスを利用するクラウドサービスです。社内に専用の機器やサーバーを設置する必要がないため、設備投資などの初期費用を抑えられます。導入コストをかけずにサービス改善を始められるのもCPaaSの強みです。

またサービスによっては使った分だけしか料金が発生しない、従量課金制を設けているものもあります。これにより、導入後も運用コストを節約できます。

コミュニケーションAPIサービス
「Vonage」のご紹介

Vonage

Vonageは、電話やSMS・ビデオ・チャット・SNSなど、さまざまなコミュニケーションチャネルをWeb・モバイルアプリケーションやビジネスへ組み込めるクラウドAPIサービスです。自動電話発信や電話転送、対話型IVR、自動SMS通知や双方向メッセージ、二要素認証など、多岐にわたるサービスを実現できます。

コミュニケーションに関わる機能を自社で1から開発するのには多大な工数がかかります。通信の暗号化といったセキュリティ対策など考慮せねばならない点も多く、そのために実装を諦めてしまう企業も少なくありません。

しかしVonage APIと連携すれば、それらの工数をすべてVonage側が担ってくれます。お客様側でのインフラ開発はもちろん、ネットワークの構築・維持コストも必要ありません。ただ数行のコードを書き加えるだけで、自社サービスをマルチチャネル化できるのです。

まとめ

この記事では近年注目を集めているCPaaSについて、その特徴や導入のメリットを紹介しました。

コミュニケーションのあり方が多様化している現代。顧客の細かなニーズに応えて満足度を向上するには、企業側も柔軟に変わっていく必要があります。顧客とつながるチャネルを増やし、運用していくうえで、CPaaSは頼もしい味方となるでしょう。

自社に必要なコミュニケーションチャネルは何なのか。どのような形で取り入れるのが最適なのか。キチンと検討したうえで、ベストなサービスを選んでみてくださいね。

執筆者情報

KDDIウェブコミュニケーションズ
KDDIウェブコミュニケーションズ
2013年に、日本ではまだ黎明期であったCPaaSの取り扱いを開始。CPaaSやCCaaSなどコミュニケーションのDXの専門家として、「コミュニケーションの多様性」を活用するための記事をお届けします。


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