公開日:2025.03.11
更新日:2025.03.11

公開日:2025.03.11
更新日:2025.03.11
KDDIウェブコミュニケーションズ
昨今、デジタル技術の進化やスマートフォンの普及によってコミュニケーションのあり方も多様化しています。これに伴い、顧客との接点として設けられている企業の問い合わせ窓口はもちろん、社内におけるやり取りや取引先企業とのコミュニケーションについても、時代の流れに合わせて柔軟に変化していくことが求められています。
そうした状況下で近年注目を集めているのが「コミュニケーションDX」です。本記事ではコミュニケーションDXの基本的な定義やDX化のメリットなどについてご紹介します。
経済産業省が2020年11月に策定した「デジタルガバナンス・コード」において、DX(Digital Transformation)は以下のとおりに定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
そもそもとしてDXは、主に企業が「進化したIT技術を活用し、ビジネスモデルや業務プロセスをより良い状態へ変革する」取り組みのことを指します。契約業務のデジタル化やチャットボットの導入、オンライン予約システムの導入などが身近な例として挙げられるでしょう。単なる業務効率化だけにとどまらず、ビジネスフローや企業の社内文化を改善する、というのがポイントです。
つまりコミュニケーションDXとは、社内外で発生するコミュニケーションをDX化しビジネスフローや企業文化を改善することを指します。紙の資料や固定電話といった既存のコミュニケーションから、デジタル技術を活用した新しいコミュニケーションに移行し、ビジネスのあり方を大きく変えるものと捉えるとよいでしょう。
コミュニケーションDXとは具体的にどのようなものなのかは、以下の3つの定義を押さえることで理解できるでしょう。
コミュニケーションDXでは、社内SNSやチャットツール、オンライン会議など、さまざまなデジタル技術を活用したコミュニケーション手法を全社で用います。こうしたツールを導入することで、時間や場所に囚われない自由な働き方が実現できるとともに、必要な情報を必要なタイミングで共有しやすくなります。
またコミュニケーションDXでは、データに基づいた客観的な情報を踏まえて意思決定を行うことも大切です。テキストマイニングなどで分析を行うことで、自社のコミュニケーションの状況を可視化し、改善点を洗い出すことができます。
コミュニケーションDXは「単にコミュニケーションをデジタル化して効率化する」というだけでなく、企業全体の業務のあり方を改善するものだという認識を持てるとよいでしょう。
それでは、どのようにして企業でコミュニケーションDXが実現したのか、実際の例をいくつか見ていきましょう。
近年、多くの企業で活用されているWeb会議システム。インターネット環境さえあれば場所を選ばずにビデオ通話を行えることから、遠方の拠点にいる従業員とのやり取りはもちろん、テレワークを実現するうえでも欠かせない存在となっています。
Web会議システムの導入により、従業員は自宅からでも会議に参加できるようになります。会議のために出社する必要もなくなるため、通勤にかかるはずだった時間を有効活用して業務効率を上げることも可能です。また企業としても、従来であれば出社が可能な距離に住んでいる人材しか採用できなかったところを、居住地に関係なく優秀な人材を採用できるようになりました。
さらにWeb会議システムは社内だけでなく、取引先との打ち合わせや商談などにも活用できます。互いに訪問する必要がなくなり、勤務時間を有効活用できるようになります。また打ち合わせの心理的ハードルが下がることから、従来に比べてより密にやり取りをすることも可能です。
Web会議システムによって業務形態や採用基準が大きく変わったという点で、コミュニケーションのDX化に成功していると言えるでしょう。
内線電話やメールなどと比べて、チャットは連絡を取る心理的ハードルが低いコミュニケーション手段です。社内にチャットツールを導入すれば、従業員同士がちょっとしたアイデアや情報の共有などでも気軽にメッセージの送受信を行えるようになり、コミュニケーションを活性化できるでしょう。
またチャットツールは、スマートフォンやタブレットでも利用できるものが多いのも魅力です。社外に出ている従業員に連絡を取りたい場合でも気軽にメッセージを送れます。さらにチャットツールは個人ごと、グループごとでスレッドが分かれているケースがほとんどのため、メールのように連絡が埋もれてしまうといったことが起こりにくいというメリットもあります。
近年では、コールセンターやコンタクトセンターの運用にCTI(電話やFAXなどとコンピュータを統合させる)システムを活用している企業も少なくありません。このCTIシステムとCRMツールを連携させることで、電話応対や架電業務のさらなる効率化が可能です。
CRMのCTI連携により、顧客からの入電と同時にCRMに登録されている顧客情報をパソコンの画面上にポップアップで表示できるようになります。過去の応対履歴などをリアルタイムで確認できるため、オペレーターは受発信の際に手作業で顧客情報を参照する必要がなくなり、よりスムーズな課題解決が実現できます。
ほかにも、過去の発着信履歴がCRMに蓄積されて引き継ぎが楽になったり、CRMの画面上からワンクリックで架電できて架け間違いなどのミスをなくせたりと、あらゆるコールセンター・コンタクトセンター業務を効率化できます。顧客とのコミュニケーションおよびそれに付随する社内コミュニケーションを抜本的に変革する、コミュニケーションDXの成功例と言えるでしょう。
コミュニケーションDXは、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。具体的にどのような点が魅力なのか見ていきましょう。
従来であれば紙の資料やメールのやりとりをしていたところを、チャットツールなどを活用することで、社内における情報共有を迅速かつ簡単に行えるようになります。またWeb会議システムの導入により、対面で話す必要があるような内容についても、リアルタイムで共有しあえるようになります。これにより意思決定までのスピードも上がるため、業務全体を効率化できるでしょう。
社内チャットの導入により、従業員同士が気軽かつ綿密にコミュニケーションを行えるようになります。またWeb会議を利用すれば、一方的に言う・聞くだけではない双方向的なコミュニケーションをリアルタイムで実現できます。これにより従業員同士の関係性が深まり、チームとしての結束を強めることが可能です。
コミュニケーションDXによって、顧客に対しても最適なコミュニケーションを取れるようになります。
たとえばチャットボットやIVRなどを導入し、無人対応ができるようにしておけば、営業時間外であっても顧客からの問い合わせに迅速に回答できます。またリアルタイム性はもちろん、「営業時間内に問い合わせができない」や「電話でオペレーターと話すのはハードルが高い」といった顧客のニーズも満たせるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
また社内のコミュニケーションDXを実現するツールとして挙がった社内チャットを、顧客コミュニケーションの最適化にも活かすことができます。社内チャットとCRMシステムを組み合わせて活用すれば、顧客情報を組織全体で共有できます。結果、担当者が誰であっても、顧客一人ひとりに最適なサービスを提供できるようになるでしょう。
コミュニケーションをDX化するには、実際にどのような点に留意すればよいのでしょうか。ここではコミュニケーションDXを進めるうえでのポイントをいくつかご紹介いたします。
DXに取り組み際は、まず自社が抱えている課題が何なのかを洗い出し、それを解決できるツールを導入することが大切です。たとえば顧客情報の管理が煩雑化していたりチャネルごとにばらけていて社内連携ができなかったりする場合には、CRMなどのシステムを導入し、かつCTI連携させることで組織内での一元管理が可能です。またクレーム削減を目的とする場合には、録音機能や感情分析AIが搭載されたシステムを導入して、オペレーターへのフィードバックやVOCの収集に努めるとよいでしょう。
自社にどのような課題があって、どのようなツールを利用すれば解決できるのかは事前の整理が必要です。過不足なく必要な機能が揃っているツールを導入するためにも、見当は慎重に行えるとよいでしょう。
いきなり新規事業や新サービスの開発に関わるツールを導入してDX化を目指しても、実際に効果があったのかどうか、そもそもDXをきちんと実現できているのか、実感できるまでには時間がかかります。まずは社内コミュニケーションを円滑化するためのチャットツールや、顧客情報をクラウド上で一元管理するCRMなど、普段の業務に関わる部分からDX化していくとよいでしょう。
コミュニケーションをDX化するツールはさまざまなものがありますが、初めのうちは従量課金制のクラウドサービスを導入するのがおすすめです。使った分しか料金が発生しないため、導入にかかるコストはもちろん、運用コストも安価に抑えられます。ここではコミュニケーションDXにおすすめのサービスをご紹介いたします。
Vonageは、電話やSMS・チャット、ビデオといった、さまざまなコミュニケーションに関わる機能をAPIで扱えるCPaaSです。またコミュニケーション以外の、AIや認証といった機能も利用できます。
Vonageは国内外においてすでに12万社以上の企業で導入されているうえに、100万人以上の登録済みの開発者のグローバルなコミュニティを有しています。いまや世界的に注目を集めている大手CPaaSと言えるでしょう。
VonageのコミュニケーションAPIを導入することで、企業はWeb上での音声通話やSMSの大量一斉送信など、新しいコミュニケーション手段を顧客へ提供できます。ターゲットを絞って、最適なチャネルでタイミングよくコミュニケーションを取っていくことで、より多くのエンゲージメントを獲得できるでしょう。
本記事では、昨今の企業に求められるビジネスコミュニケーションのDX化についてご紹介しました。
業務全体をDX化させていくうえで、コミュニケーションの変革は避けて通れない課題です。DX化の第一歩として、組織全体で共通の目的意識を持ったうえで進めていけるとよいでしょう。