公開日:2025.01.16
更新日:2025.01.16
公開日:2025.01.16
更新日:2025.01.16
KDDIウェブコミュニケーションズ
顧客対応の現場では、電話対応にかかる時間やコストの削減、業務の効率化が求められています。そこで注目されているのが「オートコールシステム」です。
オートコールシステムは、顧客対応や業務効率化を目的として幅広い業界で利用されています。その設計や運用次第では大きな価値をもたらしますが、適切な設定と使用が重要です。
この記事では、オートコールシステムの概要や仕組み、導入するメリットについて詳しく解説します。
オートコールシステムとは、あらかじめ録音した音声や自動音声応答(IVR)を、指定した電話番号のリストへ一斉に自動発信できるシステムです。発信する内容やタイミング、宛先などを自由に指定して、大量の自動発信を行えるため、アウトバウンド業務の効率化が可能となります。
企業側が一方的に音声案内をするだけでなく、電話を受けた顧客がIVRのガイダンスに従ってプッシュボタンを操作することで、双方向のやり取りも可能です。ボタン操作によって特定の担当者や担当部署へつなげることもできるため、大量発信したあとの折り返し電話にも対応できます。
オートコールシステムを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
オートコールシステムの導入により、膨大な量の架電リストでも一度に電話をかけられます。オペレーターが架電する場合と比較すると、アウトバウンド業務の大幅な効率化が可能です。
また「電話をすぐに切った」、「音声ガイダンスに沿ってボタンを操作した」など、電話をかけた相手の行動を把握できるのもポイントです。これにより、見込み客を特定することもできます。
さらに、オートコールシステムは日時や曜日を指定した発信も可能です。対象とする顧客の行動傾向を把握していれば、電話がつながりやすい時間帯や曜日を狙って架電できます。
オートコールシステムは、事前に設定・録音した音声をそのまま流す点が特徴です。そのため、オペレーターのスキルや経験によってトーク内容が変わるといった属人化が発生しません。
膨大な量のリストに電話をかける場合でも、顧客一人ひとりに合わせて個別の内容を録音する必要はありません。発信される案内はすべて同じ内容となるため、一定レベルでの電話対応ができ、サービス品質を一定に保てます。またオートコールシステムなら、電話に出た相手の感情や気分、回答内容に惑わされることもありません。不要な情報にとらわれず、常に必要な質問が可能です。
コールセンターをはじめとした電話対応では、ぶっきらぼうな対応、即切り、会話の引き延ばしなど、さまざまな要因でオペレーターが負担を感じてしまう場合があります。
オートコールシステムの場合、電話の発信から応答、案内までの流れをシステムが対応します。案内に興味を持つ人のみをオペレーターへと転送するため、オペレーターの心理的負担が和らぐのがメリットです。
また、顧客側の負担軽減につながるのもポイントです。アウトバウンド業務では、興味のない話を聞かされたり、オペレーターが一方的に話をしたりと、顧客がストレスを感じることがあります。しかし録音の音声を使用したオートコールシステムであれば、案内に興味がないと感じた時点で通話を終了できるので、顧客の負担軽減にもつながるでしょう。
大規模なコールセンターでアウトバウンド業務を行うようなケースでは、1日に数多くの架電が必要です。その分オペレーターの人数も多くなり、人件費の増加につながります。
オートコールシステムがあればオペレーターが架電業務を担う必要がなくなります。また有人対応に切り替える場合でもオペレーターの業務量を減らせます。これにより確保すべき人員が減り、人件費の削減につながるでしょう。
オートコールシステムの活用が特に効果的なシーンについて、どのようなものがあるのか具体的に解説します。
テレアポをはじめとした電話での営業活動は、オートコールシステムの代表的な活用シーンの1つです。これらの活動では、以下のような課題が生じがちです。
しかし架電業務をオートコールシステムが担うことで、一次案内は音声ガイダンスが、その後興味を示した顧客のみオペレーターが対応するというフローを構築できます。これにより、オペレーターの精神的な負担を軽減できるほか、属人化の問題も解消しやすくなります。
オートコールシステムは、未払料金や期限切れの書類、返却期限が過ぎたレンタル製品などを回収するための督促業務でも活用されています。
督促業務はその性質上、オペレーターの心理的負担が大きくなりやすいという特徴があります。そもそも電話がつながりづらい、という特徴もあり、営業時間外に折り返しがあるケースも珍しくありません。そのため、組織全体の生産性の低下につながります。
しかし人手を介さずに案内が可能なオートコールシステムを活用すれば、電話がつながりやすい時間帯の指定が可能です。さらに、自動音声で営業時間を案内できるため、生産性低下のリスクを抑えられます。
オートコールシステムは、満足度調査や世論調査といったアンケートにも活用が可能です。
本来、電話によるアンケート調査は多くの人に電話をかける必要があり、一人ひとりに口頭で対応しなければならないため、どうしても手間がかかります。オートコールシステムなら、アンケートの案内から回答の収集まで、一連の作業を自動化できるため、大幅な効率化が見込めます。
また、オペレーターの言い回しによって回答が左右されるリスクを回避できるのも利点です。方法次第では、オペレーターが案内するよりも正確な調査結果を収集できるケースもあります。
美容室やエステ、クリニックなど、電話で予約確認を行うケースでもオートコールシステムの活用が可能です。
サービスの予約確認では、数ヶ月先に予約した場合などに、顧客が予約したことを忘れてしまうケースもあります。オートコールシステムを利用して、予約日が近付いたタイミングでリマインドの電話をかけるフローを構築すれば、予約忘れやドタキャンといった機会ロスを防ぐ効果が期待できます。
わざわざ有人対応せずとも済むため、オペレーターの心理的ハードルを下げられるのもメリットです。
高齢者への安否確認や災害時のアナウンスにも、オートコールシステムを活用できます。
安否確認は、地方自治体の職員や介護職員が電話をかけて、高齢者の様子や体調をうかがうのが一般的です。毎日複数人にかけることもあり、手間がかかるうえに、かけ忘れや間違い電話などのヒューマンエラーが起こる可能性も生じます。
オートコールシステムなら、事前に設定した日時に架電できるのはもちろん、電話に出たか否かといった情報も把握しやすいです。プッシュボタンで操作できるアンケート形式のものにすれば、高齢者の状況を把握するのにも役立ちます。
オートコールシステムを導入する際は、いくつか注意すべき点があります。ここではオートコールシステムならではの課題と、その対策について見ていきましょう。
オートコールシステムでは自動音声で対応するため、人間のような臨機応変な対応がしにくく、どうしても機械的な部分が残ってしまいます。
この問題の対策は、事前に細かなシナリオを用意しておくことです。さまざまなケースや回答を想定したシナリオを作成することで、完璧ではなくとも、ある程度のパターンには対応できるようになります。また有人対応へ切り替えられるようなルート設計も併せて行っておくと、無人対応ではどうしても難しいときでもスムーズに解決できるでしょう。
顧客によっては、電話に出た瞬間から自動音声による案内が始まるという状況に違和感を覚える場合もあります。どれほど高品質なシナリオを作成していても、機械音声の不自然さや人工的な響きに警戒心を持ってしまい、「早くオペレーターに切り替えてほしい」と考える顧客もいるでしょう。場合によっては途中で電話を切ってしまう可能性もあります。
したがって、オートコールシステムのシナリオを作成する際は、要点をできるだけ簡略的にまとめることが重要です。そのうえで、プッシュボタンの操作によってオペレーターにつながることを訴求できるとなおよいでしょう。
オートコールシステムは、以下のようなさまざまな観点から比較することが大切です。どのような点を意識して見ていくべきか、ポイントをいくつか紹介します。
最大コール数とは、1回の架電で同時にコールできる数のことです。コールセンターの規模や業務内容によっては、1日に数千件や数万件の架電が必要になるケースもあります。しかしシステムが対応できる最大コール数が少なければ、このような数を処理しきれません。
特にアンケート調査などでオートコールを利用する場合、母数のサンプル数が多ければ情報の精度が高まりやすいため、同時コール数の多さが重要な要素になります。製品によって最大コール数は異なるため、架電リストをもとに適正な量を把握しましょう。
オートコールサービスの製品によって、利用される自動音声もさまざまです。あらかじめ用意されている人工音声によってアナウンスを行うものもあれば、自社の従業員の声を録音して流すように設定するものもあります。
声のトーンや話し方のテンポは、顧客がすぐに電話を切らずにいてくれるかどうかを左右する重要なポイントです。自社のブランドイメージや顧客の属性なども考慮しつつ、適切な音声パターンを備えた製品を選びましょう。近年ではAIを活用した、人工音声でありながら限りなく人間の肉声に近い自然な音声も少なくありません。また製品によっては、プロの声優やナレーターの音声を利用できるものもあります。
オートコールシステムでは、有人対応に切り替える際に分岐や転送が必要です。そのため製品を選ぶ際は、分岐や転送をどのように設定できるか確認しましょう。細かい設定内容を理解するために、無料トライアルを申し込むのも1つの方法です。また、サービス提供事業者から設定内容のアドバイスをもらえる場合もあるので、不安な場合は事前の相談をおすすめします。
オートコールにおいて、「スムーズに分岐するか」「適切な担当オペレーターへ電話がつながるか」はアンケートの回答率やアポ獲得率にも影響します。細かい部分にも着目して、自社の要件を満たせるサービスや製品を探しましょう。
オートコールサービスには、発信した電話の内容をSMSで送信できる機能があります。
たとえば未払金の督促をオートコールで行う場合、最初に電話案内を行ったのち、SMSで金額や振込先といった詳細情報を送るといったことが可能です。これにより、顧客は確認のために電話をかけ直す必要がなくなります。電話とSMSを組み合わせることで成約率が高まるようなケースには、特に求められる機能だと言えるでしょう。
ただしSMSと連携できるかどうかは製品によって異なります。検討時に事前確認しておきましょう。
オートコールシステムの料金体系を確認する際は、自社の運用状況に合ったプランを選択することが大切です。
料金は、一般的に「月額固定制」、「1コール接続ごと」、「通話時間ごと」の3つに分かれます。架電数や通話時間が少ない場合は通話時間制がコストを抑えやすい一方、頻繁に使用する場合は月額固定制が適していることもあります。
サービスごとの条件や料金設定に差があるため、一日の架電数や通話時間をもとに比較し、自社に最適なプランを選びましょう。
ここでは、オートコールシステムの導入を検討されている方へ向けて、おすすめのサービスをご紹介します。
Vonageは、電話やSMS・ビデオ・チャット・SNSなど、さまざまなコミュニケーションチャネルをWeb・モバイルアプリケーションやビジネスへ組み込めるクラウドAPIサービスです。自動電話発信や電話転送、対話型IVR、自動SMS通知や双方向メッセージ、二要素認証など、多岐にわたるサービスを実現できます。
中でも通話機能の制御を行える「Vonage Voice API」を活用すれば、オートコールシステムを簡単に構築できます。たとえばシステムの障害発生時に担当者へ自動架電を行い、発生した障害内容を音声合成で読み上げ、プッシュ信号によって対応可否状況を取得するといった運用も可能です。
また実際にVonage Voice APIを利用して、1日数万件の自動発信を実現するオートコールシステムを構築した企業の事例もございます。ぜひこちらも併せてご覧ください。
オートコールシステムは、電話による顧客対応の効率化やコスト削減につながるシステムです。アウトバウンド業務の効率化、サービス品質の維持、オペレーターと顧客双方の負担軽減、人件費の削減など、さまざまなメリットが期待できます。
一方で、臨機応変な対応が難しい点や、相手に警戒心を与えてしまう可能性があるのも事実です。オートコールシステムを導入する際は、これらの注意点を踏まえたうえで、自社の業務内容に合ったシステムを選びましょう。